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東京電力からの電力契約シフトの動き

2012-03-13 | 震災・原発 | By: sorakuma

東京電力からの企業電力契約シフトの動きが加速しています。

東京都水道局 PPS(特定規模電気事業者)と電力契約締結!
http://news.mynavi.jp/c_cobs/news/topbrain/2012/03/post-108.html
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一昨日(8日)、東京都水道局11,600キロワット(練馬給水所 10,000キロワット、板橋給水所 1,600キロワット)をPPSと契約締結致しました。
そのことで東京電力の4月の値上げ後の東京電力の想定料金より、約3%の経費節減(約2,000万円)となる見込みです。
契約期間は2012年4月1日~2013年3月31日。
また先月2月26日には、東京都 都庁舎での契約電力1万1000キロワットの内、8000キロワットを中部電力へ切り替えられないか既に中部電力に打診していることが明らかになりました。
ただ、中部電力から「今は応じられない」(恐らく西日本への電力融通の必要性から)という回答が出、昨日(9日)、東京都は東京電力との契約更新が迫っている中、都庁舎電力を含め、契約電力500キロワット以上の都有施設 約260ヵ所、計約83万キロワットについて、基本的に値上げを受け入れる方向にしました。
ただ取引条件面につきましては、東京電力と契約を結んでいる施設ごとに、値上げの幅や料金を抑えるための契約の見直しなどについて交渉を進めていくことにしています。
また東京都は大株主として今後も引き続き東電の経営体質の改革を提案していく姿勢です。

参照:
東京都:特定規模電気事業者(PPS)との電気需給契約締結について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/03/20m39100.htm
東京都 庁舎の電力契約を東電から一部を東京ガスに切り替え決定。残りも中部電との契約を検討へ!
http://www.costdown.co.jp/blog/2012/02/post_2268.html
 東電 値上げに物申す人達・黙る人達
http://www.costdown.co.jp/blog/2012/02/post_2259.html

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東京都水道局では、東京電力から別の電力事業会社にシフトすることで、電力料金の3%、およそ2000万円のコスト削減を可能とするとしています。
東京都も庁舎の中部電力との契約は流れてしまったものの電力契約の一部を東京ガスに切り替えることで、東京電力の値上げに対抗、牽制する動きを見せています。

東京電力は1月、企業向け電力コストを大幅に上昇させる方針を見せています。

東電、企業向け値上げ発表へ 上げ幅20%未満
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011601002396.html

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東京電力は17日、企業向け電気料金の値上げについて料金体系を発表する。値上げ幅は平均で20%未満とする。対象は、契約電力が50キロワット以上のオフィスビルや工場など政府の認可が要らない「自由化部門」の約24万件で、4月から適用する。
東電が発表する料金体系は、顧客企業と個別に価格交渉する際のたたき台となる。実際の値上げ幅は企業と交渉して決まるため一律ではなく、競合他社に契約を奪われる可能性もあるが、料金収入は年間で数千億円増える見込みだ。
福島第1原発事故に伴う火力発電の増強で、2011年度の燃料費が前年度から大幅に増えるのに対処する。
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当然、東京電力も、競合となる他社と契約を奪われる可能性を危惧しています。
しかし、これだけ迅速に値上げを牽制されるとまでは想像していなかったのかもしれません。

また、その値上げの根拠なる東京電力の試算について、埼玉県から指摘が上がっています。

埼玉県 東電値上げ幅圧縮を試算
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120308/k10013588151000.html
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東京電力が企業向けの電気料金を平均で17%程度値上げする方針を示しているのに対し、埼玉県の上田知事は、値上げ幅をさらに圧縮できるとする県独自の試算を公表しました。
これは8日、埼玉県庁で上田知事が会見して明らかにしたもので、値上げのベースとなる今の電気料金の妥当性に疑問があるとして、値上げ幅を圧縮できるとする県独自の試算を公表しました。
それによりますと、東京電力は来年度の石油系燃料の調達コストの為替レートを1ドル107円としていますが、今と同じ程度の1ドル80円とすれば914億円削減できるとしています。 また、一般職社員の給与の削減を現在の2割から3割に増やし、随意契約を見直せば合わせて1850億円の削減となり、企業向けの電気料金の値上げ幅を6%程度に抑えられるとしています。 さらに、東京電力に送電料金などを支払っても安い電気料金を実現しているPPSと比べれば、東京電力は5000億円程度のコストを削減できるとしています。 上田知事は試算結果を近く東京電力に示したうえで、一層の経営の合理化や値上げの根拠についての説明を求めていくことにしています。
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参考:東京電力株式会社の電気料金値上げに対する埼玉県の主張

東電以外にも選択肢が…【PPS(特定規模電気事業者)と契約し電気代が3割減った】
http://atmc-tokyo.com/status_of_tokyo/4203/

東京:立川市 【特定規模電気事業者(PPS)で電気料金大幅値下げ…東電と比べ26.5%安】
http://atmc-tokyo.com/electricity/7673/

今回の値上げ、埼玉県の試算を契機に、東京電力との契約から、より安価なPPSとの契約にシフトしていく流れが主流となるかもしれません。
電力自由化、PPSへのシフトについては、Wikipediaでは次のように記載されています。
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2006年2月16日付『日経産業新聞』によると、新規事業者は確実に顧客を掴みつつあり、これまでに東京電力は1,100件(220万kW)関西電力は270件(58万kW)の顧客を新規事業者に奪われている。既存会社は危機感を募らせ、電力自由化を阻止しようと政治力の行使や、マンションの電力一括供給契約を行っている。
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電力自由化阻止の動きとは、具体的には次のようなものです。

[第4回] 経産官僚が仕掛けた電力改革 「発送電分離」は時を経て蘇るのか|朝日新聞グローブ(2009年10月5日)
10年前に東電が政治力で潰した「発送電分離」案が電力業界を大変革する 原発と独占による高収益は表裏一体|現代ビジネス(2011年4月7日)
盛り上がる「東電解体」論議で発送電の分離は実現するか|ニューズウィーク日本版(2011年4月7日)

いずれの項目でも取り上げられ、最大のネックとなる発送電分離の実現。送電網が保護されている限り、真の意味での自由競争などあり得ません。
PPSは既存の電力会社の送電線を借用しなければならず、その対価として電力会社に支払う託送料金の水準が高く、算定方法が不透明であり、価格決定権を得ることが出来ません。
脱原発、脱東電からのシフトをより確実なものとするため、あるいは原発コストの対価、東電が負った責務のツケを私たちが支払わされないため、発送電分離を推進しなければなりません。

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