福島第1原発 停電関連 燃料プール冷却停止
18日午後7時頃、福島第1原子力発電所で原因不明の停電が起きたと発表がありました。
1、3、4号機の使用済み燃料プールと共用プールの冷却装置、放射性物質を含む汚染水の処理装置が停止しました。
–Update–
19日23時現在、1号機に続き、3・4号機も冷却復旧したとのこと。
公表の遅れ、原因究明は依然として不明ながらも、当面の危機は脱したと言えそうです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG1903K_Z10C13A3CR8000/
東電によると、19日午後2時過ぎ、1号機燃料プールの冷却システムの運転を再開。
4号機の燃料プール:19日午後1時20分頃、水の循環システムを復旧完了。冷却システムについても午後8時ごろ復旧予定。
3号機の燃料プール:冷却システムについて午後8時ごろ復旧予定。
共用プール:冷却システムについて20日午前8時ごろ復旧予定。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130319/t10013309321000.html
–Update–
福島第1原発、原因不明の停電 原子炉注水は続く 燃料プール冷却装置など停止
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1805Q_Y3A310C1CC1000/
燃料プール、共用プールには、それぞれ使用済み核燃料が保管されています。
NHKによると、燃料プールに保管されている使用済み燃料は、2100本あまり。
共同通信によると、共用プールに保管されている燃料は、6377本。
この使用済み燃料については、かねてより危険性が指摘されており、プールから燃料を取り出す工事が進められていました。
東電は3月18日に電源二重化の工事を行なっており、その記録が残されています。
1号炉は15.5度で、冷却停止時の温度上昇は0.08度。若干余裕があります。
2号炉も15.5度で、冷却停止時の温度上昇は0.19度。1号炉の倍以上温度の上昇が見込まれます。
3号炉は13度、そして一番リスクの高い4号炉は25度。温度上昇の見込は記載されていません。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130318_02-j.pdf
※NJapanの報道によると、4号炉の温度上昇は、108時間後に25度→65度に達するとのこと。
これは毎時0.37度なので、最大幅の毎時0.37度の温度上昇はやはり4号炉であると思われます。
東電によれば、冷却が停止した場合についても、複数対応策があると言います。
プールの冷却が2日以上停止するような状況になれば、非常時に備えて用意されている注水施設を使い、消防ポンプ車などで冷却を開始することになっています。
この方法が使えない場合も、福島第1原発の敷地内には、原発事故直後にプールに注水を行ったコンクリートポンプ車が数台待機しており、プール上部から注水することも可能であるそうです。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130319/dst13031901280002-n2.htm
1部施設の発電、冷却装置の停止に関して、19日午前6時30分現在、原因の特定はできておらず、復旧の目処はたっていません。
http://www.asahi.com/national/update/0319/TKY201303190016.html
東京電力は、19日午前10時より東京都千代田区の本店で記者会見を開くようです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK19008_Z10C13A3000000/?dg=1
東電によると、「配電盤か、接続されたケーブルが原因の可能性がある」とみて点検や復旧作業を順次進めており、午前3時すぎには格納容器に窒素を供給する装置が復旧したとのこと。ただ、電源の系統が異なる冷却システムなどの復旧のめどは午前8時の時点で立っていないようです。
http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013031901001329.html
東電の記者会見では、午前10時現在でも1、3、4号機の使用済み核燃料のプールの冷却装置や、放射性物質を含む汚染水の処理装置などが停止中であると発表がありました。
原因は調査中ですが、配電盤付近に異常が発生した可能性がある模様。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG19016_Z10C13A3MM0000/
—-
東電によると19日午前10時の水温はセ氏約17~29度で、1時間に約0.08~0.37度ずつ上昇している。
—-
4号機の燃料プールは29度。0.37度ずつ上昇していることも変更ないようです。
記者会見で公開された資料はこちら。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130319_01-j.pdf
発生から17時間たった19日12時現在でも、原因を特定できていません…。今のところ、猶予はあと4日。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130319/k10013302101000.html
東電によると、19日午後2時過ぎ、1号機燃料プールの冷却システムの運転を再開。
4号機の燃料プール:19日午後1時20分頃、水の循環システムを復旧完了。冷却システムについても午後8時ごろ復旧予定。
3号機の燃料プール:冷却システムについて午後8時ごろ復旧予定。
共用プール:冷却システムについて20日午前8時ごろ復旧予定。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130319/t10013309321000.html
19日23時現在、1号機に続き、3・4号機も冷却復旧したとのこと。
公表の遅れ、原因究明は依然として不明ながらも、当面の危機は脱したと言えそうです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG1903K_Z10C13A3CR8000/
原因の一部は配電盤のトラブルにあったようです。
復旧に目処がたち、大惨事となるリスクは避けられました…。
夜を徹して作業にあたっていただいた関係者・作業員の方々にこころから感謝致します…。
———
もしこのまま温度上昇が続くとどうなってしまうのでしょうか?
東電によると、プールの水温はセ氏14~25度。水温は1時間に約0.08~0.37度上昇し、保安規定上の管理温度であるセ氏65度に達するまでには4日半~27日間かかるといいます。
プールの温度が上がり続けた場合、水はゆっくりと蒸発していき、ついには核燃料が直接大気に触れることになります。
そうなった場合のリスクはどのようなものでしょうか。
4号機の使用済み燃料プールが崩壊した場合の影響について記載されている論文があります。
—-
The results of this analysis suggest that a nominal release of 10% of the SFP 4 inventory of cesium and strontium would represent 3 – 10 times the March 2011 release amounts, substantially increasing risk levels in Japan and impacting marine life. Release of 100% of the SFP 4 inventory, or 30 – 100 times the March 2011 release amounts, could result in significant global impact.
—-
Estimating the Potential Impact of Failure of the Fukushima Daiichi Unit 4 Spent Fuel Pool
http://www.holophi.ch/resources/Holophi-Special-Report-on-Fukushima-SFP-4-r.pdf
仮に使用済み燃料プールの10%が崩壊したら、その規模は2011年3月の福島第一原発事故の放出量の3倍~10倍の規模となり、日本がや海洋の生命に重大なリスクを与える。使用済み燃料プールの100%が崩壊したら、30倍~100倍の規模となり、地球規模での影響を与える…というものです。
4号機燃料プールに含まれる放射性物質は、下記のように推測されています。
その使用済み核燃料集合体は1300~1500本、
重金属は228トン、
セシウム137は10の18乗→100京ベクレル
セシウム134は10の18乗→100京ベクレル
ストロンチウム90は6×10の17乗→60京ベクレル
プルトニウム238から241は、10の16乗→1京ベクレル・・・
今回は1、3、4号機燃料プールのおよそ2100本のほか、共用プールの6377本もの使用済み燃料が冷却停止状況にあります。
実は、昨年6月30日にも、4号機の燃料プールの冷却が停止する事故がありました。
それは予備電源の停止によるものでしたが、30時間の冷却停止により40数度まで温度上昇を許すも、その後なんとか復旧しています。
今回についても、東電は文字通り死力を尽くして事態の回収にあたり、おそらくは無事に復旧することと思います。
しかし、事故から2年経っても、いまだ原因不明のトラブルで冷却が止まる不安定な状態にあることは、記事で指摘されているとおりです。
そのトラブルはただの事故ではなく、大惨事に繋がる可能性のある事故であることを考えなければなりません。
燃料プールに関しては危険性が指摘され、対策・工事が継続されている状況にもかかわらず、事態の収束ができていません。
完全に廃炉にするまで何年かかるかわかりませんが、その間中ずっと、このようなリスクを抱えた運用を続ける必要があるのです。