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原発事故がもたらすもの

2012-06-30 | 震災・原発 | By: sorakuma


原発の危険から子供を守る北陸医師の会より、『チェルノブイリの健康被害』の翻訳が進められています。
その研究要約を紹介させて頂きます。

チェルノブイリの健康被害 概要
http://isinokai.blogspot.jp/2012/03/1986-iaea.html

特に気になったのはこのあたり。

1.100mSv以下の被ばく線量でも奇形の発生は起こりうる
2.放射線被曝を直接受けなかった細胞の遺伝子にも異常が起こりうる
3.被ばく線量が少ないほど、ガンの潜伏期間が長くなる
→低線量被曝も十分なリスクがある

4.染色体異常は世代ごとに急速に増大していく
5.がん以外の疾患も増加している
→心血管疾患、胃、精神系疾患など
6.汚染作業員の90%以上が何らかの疾患
→老化、がん、白血病、精神病疾患、白内障
11.男女比の割合にも変化、男児の割合の増加
18.がん以外の病気は、数倍から数十倍増加
19.ここ数年で子どもの糖尿病が増加

日本では、去年の熱中症や、呼吸器系の病気の増加、心筋梗塞などの増加が報告されています。
白内障や、子どもの糖尿病の増加についても、因果関係はわかりませんが増加していると言われています。

チェルノブイリで起きた事故が日本でそのまま起こっているわけではありませんが、低線量被曝の影響が続けば、世代を重ねる毎に如実にその影響があらわれるといいます。

恐ろしいことに、これらは原発事故がもたらすもののほんの一部に過ぎないのです。

—-
研究(要約)

1. 低線量被ばく(0-500 mSv)の影響が体系的にモニタ-され、研究された。実は、遺伝子への影響はチェルノブイリ事故前にはよくわかっていなかった。現在、この研究は細胞レベルから、さらには細胞内の分子構造にまで及んでいる。ICRP(国際放射線防護委員会)は、催奇性のしきい値(訳注:ある値以上で効果が現れ、それ以下では効果が現れないことをいう。閾値ともいう)を100 mSvと主張し続けている。しかし、多くの研究はそれが間違っていることを証明している

2. “遺伝的不安定性” や“バイスタンダ-効果”-すなわち放射線を直接照射されていない細胞の遺伝子にも異常が現れる現象が発見されている

(訳注1:遺伝的不安定性とは、放射線被ばくによって生じた損傷を乗り越え、生き残った細胞集団がその後被ばくしなくても長期間にわたって遺伝子障害を起こす状態)
(訳注2:バイスタンダ-効果とは、細胞を照射してDNA二重鎖の切断などの変異を起こさせると、照射を受けていない隣接する細胞にも変異が起こる。何らかの液性因子が関与していると考えられている)
(訳注3:これらの現象が本当であれば低線量被ばくによる健康リスクは考えられている以上に高いということになる)

3. 被ばく線量が少なければ少ないほど、がん発生の潜伏期間が長くなる(ピア-スとプレストン; RERF-放射線影響研究所、2000年)。

4. “遺伝的不安定性”は遺伝子内で継承され、世代ごとに急速に増大する。汚染除去作業員と被ばくを受けていない母親とのあいだに生まれた子どもに染色体異常が認められるという研究報告が多数あり、3つの共和国のリサ-チセンタ-(モスクワ、ミンスク、キエフ)で閲覧することができる。累積効果の最初の兆候は、被ばくを受けた両親から生まれた子どもたちの甲状腺がんであろう。しかしながら、このことはまだ確証がえられていない。

5. がん以外の疾患が増えていることもわかった。主に心血管疾患と胃の病気、そして精神神経疾患などは低線量被ばくの身体への影響であることがわかってきた。精神神経疾患は、おもに汚染除去作業員とその子どもたちの研究で解明された。

6. ロシア当局の発表によれば、汚染除去作業員の90%以上が何らかの病気を抱えている;すなわち、少なく見積もっても740,000人が重篤な疾患をわずらっている。彼らは老化が早く進み、一般人の平均以上にさまざまながんや白血病、精神的身体的疾患などにかかっている。また白内障を病(や)んでいる人もかなり多い。がんについては潜伏期間が長いため、これから著明な増加が予想される。

7. 独自の研究(訳注:政府やWHOなどのバイアスのかかった研究ではないという意味と思われる)によれば、2005年までに112,000から125,000人の汚染除去作業員が死亡するであろうと推定されている。

8. 入手できた複数の研究によれば、チェルノブイリ事故の結果として、およそ5,000人の乳幼児が死亡した推定されている。

9.   遺伝性および催奇性障害(奇形)は、直接被害を受けた3国(ロシア、ベラル-シ、ウクライナ)だけでなく多くのヨ-ロッパ諸国で、明らかに増加した。ドイツのバイエルン州ではチェルノブイリ事故以来先天性異常が1,000人から3,000人も増加した。私たちは、ヨ-ロッパでの10,000人以上にのぼる重篤な奇形は放射線によってもたらされたのではないかと危惧している。人工中絶は未報告例が多いと思われるが、あのIAEA(国際原子力機関)でさえ、チェルノブイリ事故によって西ヨ-ロッパで100,000人~200,000人の人工中絶があったという結論に達した。

10. UNSCEAR(放射線の影響に関する国連科学委員会)のデータをもとに計算すると、チェルノブイリ地域で12,000人から83,000人の子どもが奇形を持って生まれ、全世界では30,000人から207,500人の子どもが遺伝子の障害を受けると予想されている。第一世代ではみられる障害者数は、予想されるすべての障害者数のわずか10%にすぎないことも銘記しておかなければならない。

11. チェルノブイリ事故の余波はヨ-ロッパで死産や奇形が増えただけでなく、男女比の割合にまで影響を及ぼした;1986年以降明らかに女児の出産が減少したのである。クリスチ-ナ・フォイクトとハ-ゲン・シェルブの論文によれば、1986年以降、チェルノブイリの影響でヨ-ロッパでの子どもの出産数は、予想より80万人も少なかった。シェルブは、この論文ではすべての国をカバ-することができなかったが、これも入れるとチェルノブイリ事故後、失われた子どもの総数はおよそ100万人に達するであろうと推定した。出産数の減少は、地上核実験後にも観察された。

12. ベラル-シだけでも、事故以来12,000人以上が甲状腺がんになった(パベル・ベスパルチュク、2007年)。 WHOの予測によると、ベラル-シのホメリ(ゴメリ)地域だけで今後50,000人以上の子どもたちが甲状腺がんになるだろう。 この予測にすべての年齢層分を追加すると、その数はおよそ10万人に達すると計算される。

13. ベラル-シとウクライナにおける甲状腺がんの実際数をもとに、マルコ(2007)は予測される将来の発生数を計算した。それによれば1986年から2056年のあいだに92,627人が甲状腺がんになるという。この数字には、汚染除去作業員の甲状腺がんは含まれていない。

14. チェルノブイリ事故後スウェ-デンおよびフィンランド、ノルウェ-では乳児死亡率が、1976年~2006年の予測死亡率と比較すると15.8パ-セント有意に増加していた。アルフレ-ト・ケルブラインの計算では、1987年から1992年の6年間に1,209人の乳児が余分に死亡していた (95%信頼区間:875人から1,556人)。
(訳注:95%信頼区間とは、真の値がその区間に含まれる確率が 95%ということである)。

15. ドイツの科学者たちが次のことを発見した。チェルノブイリ事故の9ヶ月後に生まれた子どものあいだで21トリソミ-(訳注:ダウン症)が有意に増加していた。この傾向は、特に西ベルリンと南ドイツで著しかった。

16. オルロフとシャヴェルスキ-は、ウクライナの3歳未満の子どもで脳腫瘍が188例あったと報告した。その内訳はチェルノブイリ事故前(1981年~1985年)には5年間で9例であった-1年あたり2例以下。ところが事故後(1986年~2002年)の16年間では、脳腫瘍と診断された子どもは179人に達した-1年あたり10人以上。

17. 南ドイツのより多く汚染された地域では、小児腫瘍の中でも比較的少ないタイプ-神経芽細胞腫-が有意に増えていた。

18. ウクライナのチェルノブイリ省によって発行された資料によると、各疾患が以下のごとく大幅に増加していた。1987年から 1992年の6年間で、内分泌系(25倍)、中枢神経系(6倍)、循環器系(44倍)、消化器系(60倍)、皮膚と皮下組織(50倍以上)、筋肉・骨格系と精神的障害がともに(53倍)であった。1987年から1996年の10年間で、避難者のうち健康な人々の割合は59%から18%へと減少した汚染地域に住む人々では52%から21%と変化した。特に悲惨なのは、両親が高レベル放射能にさらされた子どもたちで、自らは放射性降下物の被ばくを免れたにもかかわらず、健康な子どもの割合が81%から1996年には30%に減少した。

19. ここ数年間、小児および青少年のあいだでI型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)が急激に増えていると報告されている。

20. 白血病やがんなどの悪性疾患よりもがん以外の病気がはるかに多い。

チェルノブイリ地域において被災者全体でいかに健康状態に異変が起きたのか、残念ながらその全貌は現在に至るまで結論が出ていない。そして、北半球の人々にとってこの大惨事の全容は何であったのかも述べられていない。この報告書で述べられた数字は一方でひどく高く、他方ではかなり低いと思われるかもしれない。しかし、ここに集められたほぼすべての研究は人口の比較的小さな集団を対象にしていることを考慮する必要がある。得られた数字を大規模な人口集団に当てはめた時に、病気の発症率が推定上わずかな変化であっても、深刻な健康被害と大規模な人的被害となって現れるのである。

結論

大規模で独立した(訳注:WHOなどの権威から独立した)長期的研究が不足しているため、現在の全体の状況を正確に表すことはできないが、いくつかの概要を示すことができる;高レベル放射線にさらされた人々(たとえば汚染除去作業員)の死亡率は高く、罹患率はほぼ100%である。原子炉事故から25年後、がんやその他の疾患が長い潜伏期間を経て事故直後には想像もつかなかった規模で現れてきた。

がん以外の病気の数はかつて想像されていたよりもはるかに劇的なものだ。しかし、汚染除去作業員の早期老化のような “新規”の症状について、研究はいまだなにも答えることができない。

2050年までにさらに数千人以上の患者が、チェルノブイリ原子力事故が原因であると診断されるだろう。原因から身体的症状が現れるまでに長い時間差があるため油断ができない。チェルノブイリは決して終わってはいないのである。

特に悲劇的なのは何千人もの子どもたちの運命である。あるものは死産、乳児期の死亡、奇形や遺伝性疾患を持って生まれ、あるいは通常の状況下では起きないような病気とともに暮らすことを強いられている。

チェルノブイリ事故によって引き起こされた遺伝的欠陥は全世界を長期にわたって苦しめ続けるだろう-影響のほとんどは、2代目または3代目の世代まで明らかにならない。

健康被害の程度はまだ明らかでないとしても、福島の原子力災禍によってもたらされた苦難は同等の規模であり、将来同じような展開になるだろうと予想される
(訳注:フクシマ原発事故がどのように進展するか不透明な段階(2011年4月)での予想である。現時点(2012年3月)で考えれば、この予想よりも被害は少ないと思われる)。

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