大飯原発再稼働へ
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政府は16日午前、野田首相と関係閣僚による会合を開き、定期検査で停止している関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を正式決定した。
福井県の西川一誠知事が、再稼働に同意すると首相に伝えた。昨年3月の東京電力福島第一原発の事故後、国内の原発再稼働が決まったのは初めて。2基がフル稼働するのは7月24日以降になる見通しだ。
西川知事は、首相官邸で首相と会談し、「主な電力消費地である関西の皆さんの生活と産業の安定に資するため、(再稼働に)同意する決意を伝えたい」と述べた。首相は「知事の決断に深く感謝を申し上げたい」と謝意を表明した。
関係閣僚会合で、首相は「立地自治体の理解を得られた今、再起動することを政府の最終判断とする」と述べ、再稼働を指示した。
枝野経済産業相は同会合で、「政府の最終判断を私から関西電力に速やかに伝達し、再起動に向けた準備作業に取りかからせる」と述べた。再稼働に向けては、安全に万全を期すよう、関電側に直接伝える機会を早期に設ける考えを表明した。
関電は、3号機について配管の洗浄など再稼働の準備作業を16日午後に着手する。最短で7月4日に発電を始め、7月8日にフル稼働する。3号機が稼働した後、4号機に着手し、早ければ7月20日に発電を開始する。順調にいけば2基ともフル稼働するのは、早くて7月24日、遅ければ8月2日になる見通しだ。準備作業の遅れなどで電力不足に陥る懸念が残るため、計画停電に向けた準備は継続する。
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大飯再稼働、政府が決定…7月下旬にもフル稼働(6.16 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120616-OYT1T00378.htm
福井新聞でも大飯原発の再稼働を号外として取り上げています。
—-大飯原発をめぐる経過—-
■2011年
03月11日:東日本大震災・東京電力福島第一原発事故。
03月18日:関西電力大飯原発3号機が定期検査入りで停止。
07月11日:政府が原発再稼働の条件として安全評価(ストレステスト)の導入を発表。
07月22日:大飯原発4号機が定検入で停止。
10月28日:関電が3号機の安全評価の一次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出。
11月17日:4号機の結果を提出。
■2012年
02月13日:保安院が2基の評価を妥当とする審査書を原子力安全委員会に報告。
03月23日:安全委が2基の審査書を確認し、一次評価が終了。
04月06日:野田佳彦首相と3閣僚が再稼働を判断する新たな安全基準を決定。
04月09日:野田首相と3閣僚が2基の安全性を確認。
04月14日:枝野幸男経産省が福井県とおおい町に2基の再稼働への同意を要請。
05月14日:おおい町議会が再稼働に同意。
05月30日:細野豪志原発事故担当相が、経産副大臣ら政務三役を現地に常駐させるなど新たな安全監視体制を提示、関西広域連合が再稼働を事実上容認。
06月04日:福井県の西川一誠知事が細野原発相と会談し、野田首相が再稼働の必要性を国民に直接説明することを要求。
06月08日:野田首相が再稼働に理解を求める記者会見。
06月10日:福井県原子力安全専門委員会が「必要な対策はできている」との報告書を了承。
06月11日:県専門医が西川知事に報告書を提出。
06月12日:西川知事が大飯原発を視察。
06月14日:福井県議会が全員協議会で知事に判断を一任。おおい町の時岡忍町長が再稼働に同意を表明
こうして大飯原発の再稼働が決定されました。
しかし、大飯原発の安全対策は万全なのでしょうか?
津波の対策が実施されるのは、平成25年度までに。
地震の対策が実施されるのは、平成27年度までに。
ベント設備のフィルターが整備されるのは、平成27年度までに。
つまりは、現時点で安全対策は全く十分であるとは言えないのです。
先月実施された世論調査は、過半数を超える人々が原発の運転再開に不安を抱えています。
万が一原発が事故を起こしたらどうなるでしょうか。
大飯原発の再稼働の立役者は、この4人です。
彼らには、人々の声は届きません。
Start Your Engines: Japan Gets Ready to Return to Nuclear Power
海外メディアでは、先日行われた首相への抗議活動が大きく取り上げられています。
しかし、日本のマスメディアがこれを取り上げることはありません。
人々の声を伝えず、対策の不備を伝えず、政府の声だけを知らせる。
それは、原発の再稼働を決めた立役者たちと、立場を同じくするものです…。