金価格の高騰が止まらない
金価格の高騰が止まりません。
歴史的な金の高騰の背景には、歴史的なドル価格の崩壊、ユーロの危機があると言われています。
ここ1年の値動きは下記のグラフのようになります。
金の高騰が続く要因をいくつか挙げてみました。
まずはドル安、ユーロ安に始まる通貨不安です。
最近の為替の動きは従来までのような円高に対するドル安ではなく、ドルの大幅な供給過多、単純に言えばドルが増刷につぐ増刷が影響していると言われています。直近ではデフォルトの危機があり、継続してドルの下落は続いています。
アメリカ国民から見れば、収入は変わらないのに物価がだけが加速度的に上昇しています。資産をドルで持ち続けていると、資産はどんどん目減りしていくことになります。そこで、リスク回避として円が買われていました。
円は日本人の膨大な貯蓄高に根差した不動の価値が存在していましたが、日本円についても大震災、放射能による影響があり万全なものではありません。そしてなにより、日本はアメリカの膨大な国債を購入しています。アメリカドルが万が一にも倒れようものなら、日本経済に与えるダメージは尋常ではなく、日本経済のダメージ=日本円の弱体化に繋がります。
米ドルと日本円はあくまで別物ではありますが、米ドルが倒れた場合は共倒れになる可能性はないとは言い切れません。ドルから換えられる安全な通貨的存在、その代表的なひとつが金となっているわけです。
ユーロについては、ギリシャ危機に端を発し、ユーロ経済圏を維持するため、ギリシャに大量の資金が必要となりました。現在その影響はスペインやイタリアに及び、中核国の一つであるフランスにも影を落としています。
現状各国はユーロという同一通貨、同一の経済圏でくくられていますが、各国の経済状況の格差は広がる一方であり、ユーロの崩壊へとつながる恐れも出ています。
ユーロ圏であってもリスク回避の動きは同様です。ユーロに対してもドルは下がっていましたが、ここへ来てドルもユーロもともに下がる事態に。
ソロス氏:ユーロ崩壊は制御不可能な世界金融危機を誘発も-レブド
そして、なにより最大の原因は、世界的な景気の失速に伴う株安です。
ニューヨーク市場もアジア市場も、欧州市場も株価の下落が続き、株式は世界的な全面安の局面です。
株式から流れた投機マネーはどこに向かうか?その行き先が、最も代表的な先物であるGOLDとなるわけです。株価の下落が続く限り、株式から引き上げられた膨大な投機マネーが金に流入していきます。それが金のさらなる上昇、底上げに続く底上げの下地となっています。
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ダウ・コールドレシオという指標があります。これは、ダウ価格を金価格で割った比率で、レシオが高いほど相対的に株価が強く、低いほど金価格の騰勢が強いことを示しています。
簡単にいえば、ダウに反比例して金が変動するというものですが、現状の株価の下落傾向が続く限り、金の上昇は続くと見ることができます。
世界経済が安定、正常化する見通しが立たない以上、金相場の高騰も続く…という見方です。
この指標によれば、金は現状の価格からさらに上昇の気配を見せているようです。
円高ドル安、円高ユーロ安と言われている強力な日本円ですが、唯一円安となっているものが金相場です。
米ドルと金で比較した場合、1オンス1200ドル台から1800ドル台となり、1.5倍の推移ですが、
日本円と金で比較した場合、1グラム3600円台から4800円台となり、実に1.25倍の推移です。
本来、円高が進んだ場合、金の価格は下落してもおかしくないのですが、円高と金の価格がともにあがっているということは、ドルも円も金に対しては大幅に下落しているということになります。
日本では今高騰する金相場に対し、金を売る動きが取り上げられて話題になっていますが、世界的には金を買う動きが主流となっています。
長期的な資産、株式や金融不安の状況での逃避先として選ばれている以上、世界的には投機マネーの集中もあり、歴史的にないほど金が買われている状態で、ますます金価格の高騰、暴騰が続くと言われています。
このまま金価格の上昇が進み、貨幣経済の崩壊や、金本位制の導入のような事態を招くのか、それとも何らかの政策が打ち出され、歯止めがかかるのか、今後の動向に目が離せない状態が続きそうです。