『プルトニウム元年』 年間『たった』5mSvの被曝で白血病を起こした
1993年に作成、放送された『プルトニウム元年』というドキュメンタリーの中で、原発作業への9年間の従事で、年間『たった』5mSvの被曝をした作業員が白血病で亡くなっているというくだり(4:58~)があります。
年間で5mSvの被曝とは、時間当たりに直すと0.57μSv/hにあたります。
空間線量だけを見た場合、0.57μSv/hを超えている地域はそう多くないかもしれません。
しかし、内部被曝を考えると状況は全く変わります。
現状、私たちが暫定基準値レベルの食事を続けると仮定すると、年間17mSvの被曝します。
勿論全員が発症するわけではないとしても、食事だけで3年で同じ基準に達します。
この『プルトニウム元年』という番組は、もともと5作まで作られる予定でした。ですが、3作まで作成、放送された時点でスポンサーである電力会社からの圧力がかかり、放送されず、制作費用さえ払われなかったという経緯があるといいます。
* * * *
電力会社から多額のスポンサー料を貰っているメディア。原発政策を批判出来なくなっている構図が1992年に広島テレビで放映された原発を扱ったドキュメンタリーをきっかけにして見えてくる。
広島テレビ報道部ディレクター(当時)岡原氏を中心に制作された「プルトニウム元年」は、原発の問題に正面から取り組んだ番組で珍しかったため、放送後は大変な反響があったという。1993年までに3本が制作されたが、3本目を放送した後に問題が起こったという。当時を知る広島テレビの関係者は、「放送終了から間もなく、中国電力の広報担当者が番組制作者のところをたずねてきて、第3作目の原発で働く労働者の健康問題について触れた内容が一方的過ぎるということを伝えに来た」という。その後、中国電力が広島テレビの新番組のスポンサーを降りると通告。中国電力からはスポンサー料として数千万円が支払われる予定だったため、かなりの打撃だった。「プルトニウム元年に問題があったのは明らかだった(当時の広島テレビ関係者)」。「プルトニウム元年」は第4作目の構想もあったが作られることはなかった。(週刊現代)
* * * *
広島テレビ「プルトニウム元年」放送で中国電力スポンサー降りる
放送は、プルサーマルや高速増殖炉についての危険性や、原発作業者、環境への影響など、今の私たちに降りかかっている問題を予見するかのような内容でした。
『プルトニウム元年』とは、言葉の通り、電力会社からすれば、環境や住民への配慮などより、高価で費用のかかる開発を行えば料金に転嫁できる統括原価方式により、電力のコストを釣り上げることによって企業としての収益性を高めるという負の循環が始まった『元年』であるのかもしれません。
1993年当時、プルサーマル計画や高速増殖炉もんじゅの危険性について、あるいは六ヶ所村の処理工場に対する付近の住民の反対活動について、はっきり鳴らされていた警鐘を電力会社は握りつぶしてきました。
その対価として支払われるのが国の責任、国民の血税であるというのは、果たして許されることなのでしょうか…。
『プルトニウム元年』は下記のような内容でまとめられた凄まじい内容です。
今の日本で必要なのは、こういった番組を再度放送し、その危険性を知らしめ、人々に注意喚起をはかるべきなのではないでしょうか。
健康状況を無視した業務が行われていた実態について
チェルノブイリ事故が広島原爆投下後の再現であったことについて
原爆投下後の原爆症やぶらぶら病について
ABCCの『原爆病はない』という姿勢と広島の町医者の『原爆と癌の多発の関連性の証明』について
白血病とがん患者の増大について
チェルノブイリ事故に対するIAEAの過小評価について
海外(セラフィールド)における放射線被害の実態について
放射線被害による遺伝子異常、奇形の可能性について
高速増殖炉もんじゅとその危険性について
六ヶ所村再処理工場の放射性廃棄の危険性について
プルトニウム、プルサーマル計画について