2012.1.1(日)ニュースの深層2時間スペシャル「2012年 原発の運命」より
2012年1月1日、ニュースの深層2時間スペシャルにて報道された「2012年 原発の運命」です。
こういった放送こそ、バラエティ番組など代わりに、あるいはせめてNHKなどで報道されるべきものだと思います。
Youtubeでは7分割してUPされています。続きはこちらにて。
その2:http://www.youtube.com/embed/Tgdaoxa7Igs
その3:http://www.youtube.com/embed/eLN4J4_fCC0
その4:http://www.youtube.com/embed/HxBiBkO3Mv4
その5:http://www.youtube.com/embed/GBAP08KGpJM
その6:http://www.youtube.com/embed/BDuilRw5fe4
その7:http://www.youtube.com/embed/eFqMLP4Jm3k
内容は、ぼちぼちいこか。。。さんで全文文字起こしがされています。
動画、あるいは文字起こしについて、どちらかはご覧になって頂ければと思います。
【内容起こし】ニュースの深層SP『2012年原発の運命』【その①】~隠され続けている真相~
【内容起こし】ニュースの深層SP『2012年原発の運命』【その②】~飯舘村のお米の実験では汚染が9割以上移行していた~
そこから、非常に印象的な部分を抜き出してみました。
テレビが本当のことをいわないことが怖かった
(マコ氏)そうなんです。まぁ地震と原発がすごく怖かったんですけど、一番怖かったのが、テレビが本当のことを言わないという最初の1週間がすごく怖かったので、私は内部被曝、ヨウ素を吸うことを一番すごく怖くって。で、もう原発がまだ爆発してない時に、とろろ昆布を買い占めて、もうなんか知り合いのちびっ子に、
「1日50g食べて」
って配ってたくらい、ヨウ素を吸い込むことを恐れてたので・・・
(今西氏)とろろ昆布屋の回しもんかい?
(マコ氏)まだ皆が水を買い占めてないのに、とろろ昆布だけ買い占めてたんですよ。そのくらい怖かったので。
(上杉氏)その知識というのは、実はマコさんが鳥取大学の医学部で・・・
(マコ氏)はい。鳥取医学部生命科学科を中退をしまして。
(上杉氏)その知識があったので。
(マコ氏)そうなんですね。なのに、テレビではずっと『レントゲン1回分屋から大丈夫です』とかいうのを言い続けてたのが、一番怖かったんです。
(上杉氏)あの飛行機、『ニューヨーク‐東京往復の被曝だから』・・・
(マコ氏)『だから大丈夫です』っていうのが、怖かったです。
国会内ですら情報は隠蔽されていた
(柿沢氏)私は震災対策本部の事務局長というのを、渡部代表からご指名いただいて、私の議員会館の部屋が、みんなの党震災対策本部になってます。
あの時3月12日の午後に、菅総理と与野党の党首の初めての与野党党首会談があって、事故の状況はこうだこうだということを菅総理から渡部代表が聞いて来て、それを所属議員にブリーフィングをしてる最中だったんです。
その時に、NHKで1号機の爆発の映像が流れたんですよ。
渡部代表がそのテレビを見て、
「あ、あの時のメモは、これだったんだな」
って言ったんです。要するに、菅総理はそのブリーフィングをしてる最中に、官邸の職員から1枚メモをもらった。そこに何かが書いてあって、そのメモを見た瞬間に、
「ちょっと次の予定があるので」
っていって、会議が終わっちゃったんです。
(上杉氏)なるほど。まさにその瞬間だったんですね。
(柿沢氏)その事実を、結局、菅総理も枝野官房長官も、あの時5時間くらい言わなかったんですからね。
渡部代表は、その与野党党首会談の時に、菅総理に
「メルトダウンをしてるんじゃないんですか?」
という話、問いかけをしたわけです。そしたら、
「大丈夫です。メルトダウンはしてません。斑目委員長にも確認しました。」
こういうことを言っていた。まず最初から、こうやって事実を、ある意味では隠ぺいするようなそうした言動を与野党の党首に対してもしていた。
こういうことが非常に衝撃的でした。
公式に危険性(メルトダウン)を認めた中村氏は更迭された
(柿沢氏)私もまさにそこの一線にいましたので、ありありと思いだすんですけど、まずそのメルトダウンしているということを認めてしまった保安院の中村審議官は、即座にその日の直後に首を飛ばされちゃうわけですよね。あの西山さんが登場するようになるわけです。
しかも確か3月11日の深夜公表された震災も含めた災害対策本部の情報発信のペーパーにはですね、当時事故進展予測のERSSっていう機械の解析で、これから時系列でどういうふうに事故が進展していくかという予測が書き込まれていて、そこには確か、3月11日の深夜には、
『もう炉心損傷が始まる』
って書いてあるわけですよ。
第二報になったら、そこの進展予測が全部削除されている。
もうまさに深刻な可能性を、深刻化する可能性を全て目をつむって、より安全に情報を発信しようとするその姿勢は、事故の直後から始まってたというふうに思うんですよね。
(今西氏)だから、中村さんはね、
「あ、正しいこと、本当のことをしゃべってはるわ」
ということで、福島第一原発はその周辺の現場の人は、
「あぁ、ちゃんとアナウンスするんだな」
と、いうふうに安心したというふうに思ったらしいんですよね。当時は。
(柿沢氏)それをやったことの影響は計り知れなくてですね、
(柿沢氏)そもそも、『危険性を公式に認めるような発言をすると、ああいうふうになっちゃうんだ』ということですから、結局官僚の自己保身的本能からすれば、
『中村さんみたいに本当のことを言うと左遷されちゃうから、やっぱり言わないほうがいいや』
って、みんな口をつぐむようになっちゃうわけですよ。ああいうのを見たら。
官邸はSPEEDIも、放射性物質がどのように飛散するかも把握していた
(柿沢氏)その後ですね、与野党の合同会議というのが始まって、私も実務者として毎回出席していたわけですけれども、
「SPEEDIというものがあるはずだ。」
という話が、私たちの関係者からあったんですよね。
「その放射性物質が外に放出された。それが風に乗ってどう飛ぶかということを予測するシステムを百数十億円もかけて整備してあるはずなんだから、そのデータどうなったんだって聞いてください」
って言われて、聞いてみたんです。
その時も細野さんが担当の補佐官をやっていて、
「あれはあるんだけれども、もともとのデータが不正確なので、使い物になりません」
というふうに答えていたわけです。そのシミュレーションの地図は『出せ!出せ!』といえども全くでないまま、結局5月の連休になってから、何千枚も一気に出されるようなことになって、その頃にはもう手遅れですよね。
(上杉氏)そのSPEEDIに関しては、実は今年からですけど、私が40万ページもの懇談オフレコメモというのを実は、この12年間、昨年までのジャーナリストとしてやってるときに持ってるわけです。3.11以降のものも当然ながらあるわけですね。
ざっと見直したところ、正直な話、ほとんど官邸の中の人間は知ってましたね。
(マコ氏)SPEEDIを?
(上杉氏)SPEEDIも知ってますし、そしてその情報。SPEEDIという固有名詞は知らなくても、どういうふうに飛散するかというのも知ってました。モニタリングポストのことも知ってました。
(柿沢氏)あのころ、政府の外側に居る私たち、ジャーナリストもそうですし、一般の国民もそうですけど、どうしていたか思いだしてほしいんですよ。
あの時SPEEDIのデータは全く公開はされない。
一方で、ドイツの気象庁とかが、まさに放射性物質がどう拡散するかというのを、気象データから解析をして、それを公表する。
「ヨーロッパでは本当のことが発信されてるぞ」
といって、そのHPをみんな見てたわけですから。
飯舘村では毎時136マイクロシーベルトの放射線量が検出されていた
(上杉氏)飯舘村については、マコさんにも聞きたいんですが、その前にSPEEDIは、実はドイツの今柿沢さんがおっしゃった情報に関しては、もともとの根拠は、日本の気象学会が出してるものなんですね。しかも文科省経由のSPEEDI、モニタリングポスト、移動の本体は壊れてると。東電の会見にずっと私入ってましたけど、壊れてるといったんですが、移動の可動式のモニタリングポストは既に設置されていたんです。11日に。
(柿沢氏)そのことについて、一言申し上げたいんですけども、そのモニタリングポストによる文科省がやった空間線量のモニタリングのマップが、最初に公表されたのは確か3月19日だったと思うんですよ。3月19日のデータが3月20日の与野党合同会議に出てきた。
そのデータを見て、保安院のあの時寺坂委員長が何を言ったかというと、
「見てのとおり、特に問題となるような高い線量は観測されておりません」
と言ったんですよ。
しかし、マップを見ると、今日持ってくれば良かったな。
31っていう地点で、毎時136マイクロシーベルトというのが観測されてる・・・
(上杉氏)百・・・うわ・・・
(マコ氏)うわーーー
(今西氏)もうとんでもない数字ですよね。
(柿沢氏)32番が50マイクロシーベルト。
130って言ったら、計算すればわかりますけど、1日で30ミリシーベルトですよ。こういうのを見てですね、与野党の議員も、それ見て『ふんふん』って言ってて、何も言わないんですよ。
私、計算して、
「これ、一日で30ミリシーベルトじゃないですか!なんでこんな『総じて低い値だ』なんて言えるんですか!?」
って言ったら、
「ここはちょっと地形が谷間になってて、特異的に高い値が出てる。でもそこの周辺の人たちは30㎞圏内だけど、住民を念のため避難させたから大丈夫だ」
って言ったんですよ。
その後つっこんだらですね、住民は避難させてないし、しかも、そこだけ特異的に高いわけでもなく、全面的に高かったんですね。そこは飯舘村だったんですね。
(マコ氏)そうです、そうです。
(柿沢氏)そういうふうにして、本当に事実を捻じ曲げて、ある意味では『安心させよう、安心させよう』という方向に情報を発信していた。
与野党の国会議員もそれを無批判に、無検証に受け入れてしまっていたという状況だったと思うんです。
ヨウ素剤は配布されず、一歳児に換算すると100ミリシーベルトレベルの被曝した
(マコ氏)そうです、そうです。
でも、SPEEDIが活用されなくて、すごいショックだったことの一つに、去年の12月7日に安全委員会の被ばく医療分科会っていうのがあって、それは安定ヨウ素剤の投与がこれからの指針でどうするかっていう話だったんですけど、もう直接福島に直後に入ってた委員の方がおられて、そのお話が衝撃的で、本当に日本は
『1歳児の甲状腺の等価線量で予測線量で100mSvになったときに、安定ヨウ素剤を投与する』
ってことだったんですよ。
でも、諸外国は50mSvなんですね。
それでWHOの基準では、子供さんとか妊婦さんとか18歳今は10mSVで投与だったんですよ。それは実測の回避線量での値なんですけど、
『日本はSPEEDIがあるから、予測線量で100になる地点で服用させようということで、実際は100以下で投与されるだろう』
という判断だったんですけど、SPEEDIが活用されなかったから、全然投与指示が出なくって、その委員の方は自分が何ミリ被曝したかおっしゃって、
『1歳児に換算したら、100です』
っておっしゃってました。
東電は、日本国内のメディアに対する情報発信と、海外メディアに対する情報発信を使い分けていた
(柿沢氏)大体、3号機の爆発した映像を私たちどうやって見たかって言ったら、これも海外のメディアじゃないですか。
(一同)そうですねぇ。
(柿沢氏)当時の爆発した映像は、確かあの当時、日本のマスメディアは全く流さなかったはずですよ。
(上杉氏)最初、日本テレビの福島系列局が撮ったものを日テレが1回だけ流しました。ただ、それ以降はこれはマズイ。何故ならば、爆発して閃光がひかり、そしてキノコ雲か突き抜けてるわけですね。
(今西氏)そうですね。
(上杉氏)どう考えてもこれは危ないという映像になってしまうと。それで流さなくなったんですが、それはドイツのテレビなどがそれを使って流したんですが、すぐ福島のテレビ、日本の方から『流さないでくれ』という抗議が行ってます。
私自身もYOUTUBEなどに、自分のHPにのっけたんですが、それに対しても抗議来たんですね。
(柿沢氏)今でも思いだしますけどね、その爆発の後、やっぱり1号機、3号機、4号機、まぁ2号機もそうか。あの、それぞれプラントがあんなめちゃめちゃな状態になってたんです。あの画面みたいに。その写真も公表されなかったんですよ。
どういう形でそれを私が一番最初に見たかというと、実は東京電力は、日本国内のメディアに対する情報発信と、海外メディアに対する情報発信を使い分けていて、海外メディア向けの英語のページでは、ものすごい解像度の高いプラントのめちゃめちゃの写真を英語で公開してたんですよ。
それを私が見つけて
「おかしいじゃないか」
と言ったら、ようやく公開されるようになったんですけども。
(今西氏)それでもね、やっぱり僕実際行って現場見ました。この写真撮りましたけれども、やっぱりかなりね、軽く見えるような写真しか公表してないし、そういう角度の写真を優先的に出してると思いますね。
(柿沢氏)海外メディアが確か無人機飛ばしたりして、撮った写真とかも出てますよね。
(上杉氏)BBCが撮ったのとアメリカ軍が撮ったやつがありましたね。
3月に私ずっと東電会見に行ってたんですが、柿沢さんがおっしゃるように、こっそりですね、英語のHPだけに出てたんですよ。もう会見中に大問題になって、
「なんで日本版で配ったCD-ROMのほうに入ってなくて、こっちには入ってるんだ」
って言って、1回大問題になったんですよ。
そのときも、
「やはりこれは参考までに」
ということで、何が参考なのかよく判らないんですけど、とにかく隠ぺいが多い。
そして・・・
(柿沢氏)統合本部まで作っておきながら、細野補佐官に「おかしいじゃないか」って言ったら、
「私はそれは知りませんでした。今すぐ変えさせます」
とか言うわけですよ。
(上杉氏)細野さんに関しては、3月の時点では、3月、4月、5月までは、正直なところ情報は入ってないんですが、情報を入れるとすぐ対応してたんですね。
11月、12月になって変わりましたけど。速やかに対応すると。
それと比べて、枝野さんは全く酷かったというのは、現在の検証で今振り返ってみるとそのあたりは多分、同じ思いだと思いますけど。
報道されなかった2号炉の爆発
(上杉氏)あと、原発の事故の内部について、今西さんにお伺いしたいんですが、これですね、このざっとこれ朝日新聞のデータを元にしてるんですけど、重要なことが抜けてるんです。
1号機の原子炉建屋で爆発、14日3号機原子炉建屋で爆発があるんですが、実はですね、3月23日だったと思います。22かな?にですね、自由報道協会のメンバーでもある木野さんとか日隅さんとか私で、たまたまですね、当日配られた原子炉の圧力のデータが毎日配られるんですよ。パッと見たら14日の2号炉の17時の時点が7.いくつという圧力なんですよ。7.いくつというと危ないですよね。
それがわずか2時間後の19時に0.63になったんです。
「これば爆発じゃないか?」
14日に。爆発したんだったら、危ないから。炉が。
「これは何か対応したのか?」
と言ったら、
「自然な現象です」
と言った。ところが先ほど言ったようにメモを見返してみると、そこで格納容器もしくは圧力容器が破損して、2号炉は建物的にはあんまり大したこと無いんですけど、高濃度のガスが出てるというのがわかりまして、つまり、飯舘村は15日、16日に風が行きますから、実は2号炉の爆発で完全に汚染されたんじゃないかと。
(今西氏)はいはい。確かにその辺もありますし、これ、作業員の方に聞いたんですけど、
「事故があって地震があってしばらくずーっと居た。それでまぁまぁ久しぶりに出てきてニュースを見る機会があった。あれ?2号炉爆発したのに、なんで報道されてないんやろ?おかしいな?おかしいな?」
ってずーっと思ったそうです。1か月くらい。
(マコ氏)1か月くらい?
(今西氏)「爆発やなかったんか。あれは?」みたいな感じだったみたいですね。
本当は1号機から4号機まで全部爆発していた
(上杉氏)2号炉のですね、問題があったのはもう一個あるんですね。この3月26日ですね、タービン建屋のたまり水、毎時1000ミリシーベルト超、これ超ですね。飛ばしてますけど、超えてるっていうものが検出されたんです。
「これ、なんで超なんだ?ちゃんと測れ」
ということで、
「(計測器を)持ってない」
という発言を引き出したんですが、その後4月2日、2号炉で高濃度。
実はですね、計測した時に、作業員がいってるんですが、作業員の健康検査もやってないんですよ。どうもこの2号炉がおかしいっていうのは、3月の後半の時点からほとんどの会見に出てる人間が、みんな言いだしたんです。
おっしゃるとおり、「全く問題はない」と。
(今西氏)そうですね。
(上杉氏)こういう重要な要素、つまりこれが結局多く被曝者を生み出したことになると思うんですが、ここを隠ぺいしたっていうのは、このあたりはどうですかな?政府・東電の姿勢として。またマスコミもそうですが。
(今西氏)僕は、現場の人に聞くと、1,3,4が爆発したと。これ、2も爆発した。4基が並んでますよね。1列に。そういうところから全部爆発したっていうと、これはやっぱり「えらいことや」と。「もうどうしようもない」「いや、日本自身が大丈夫なのか?」という印象を与えるというところで、
「まぁなんとか『爆発でない』という見解がまとめられないか」
というような思惑があったっていうようなのは、いろいろ聞きましたね。
(上杉氏)枝野長官の会見は、『爆発的事象』。建屋が倒れた時は『ポンッと建屋が飛んだ』と。
(今西氏)その『爆発的事象』とかね、その日本語の意味が、日本語がわからへんのですよ。
(上杉氏)そういうものだったんですか?お二方、中に入られて。
(今西氏)全然違いますよ。よくポンという本当にポップコーンが爆発するみたいな感じに言いますけども、あれ見たら、そりゃ到底そんなふうには思えません。
(柿沢氏)あと、確か『格納容器の健全性は保たれている』ということを官房長官は繰り返し、繰り返しおっしゃってたと思うんですね。これも事実でないことを、まぁ確認不足だったのか意図的だったのかわかりませんけれども、発信をしていたわけで、こうしたある意味では責任は免れないと思います。
(上杉氏)確認不足だとしたら、政治家としては愚かですよね。政治家の体をなしていない。つまり情報をきちんと取れなかった。もし、確認してたとしたら、これは犯罪行為ですから。
(マコ氏)そうですね。
(上杉氏)国民を被曝させ、多くの国民を被曝させた上で、国家の信用を失ったわけですから、やはり先ほどおっしゃったように、先ほど訴追されてもおかしくない。まぁ海外だったら訴追ですね。
口の中が金属の味がする
(マコ氏)そうですね、5月から飯舘村と仲良くなって、事故直後のお話を聞いてたんですけど、3月15日に、すごく線量が高くなった時、普通に村で暮らしていて、その時に海側の津波の被害に遭った方が日本海側に逃げるのに、飯舘村が中継基地になって避難所がたくさんあったんですね。
でも、初めは津波の被害だったのに、だんだん原発事故で逃げる方々がすごく多くなって、それでやっと
「あ!原発の事故って影響があるんだ!?」
飯舘って結構離れてるので、全然なんとも思ってなかったんですって。それで、こんなに離れてるから影響はないって思ってたんですけど、15日にすごく線量が高くなって、それで南の方の地区の方が何人も
『口の中が金属の味がする』
って言いだして、それで・・・
(上杉氏)そんなすごかったんですか?
(マコ氏)すごかったんですって。
それを始めに聞いた時は、「そんなオカルト的な話」って思ってたんですけど、数人ではなく、100人200人の単位だったので・・・
(今西氏)なんか爆発した時はね、なんか灰みたいなんが飛んでたっていう人がいましたよね。
(マコ氏)そう。居ましたよね。頭から降ってきた・・・
(上杉氏)きらきらした・・・
(今西氏)「これ、何でっしゃろ?」みたいな感じで思ったらしいです。
(上杉氏)それはYOUTUBEでも撮られたりしてましたよね。
(マコ氏)そうです。
(柿沢氏)マコさんの言ったことは非常に重要でですね、あの当時、まず真っ先に津波だったわけですよ。津波で避難した方々、そして津波の被害、地震の被害によって、何が起きたかというと、断水が起きたわけです。例えば飯舘に居る人、給水車が来たといって、給水車の給水に並んで、3時間とか外で子供連れで待ってた。
こういうことがあったわけです。
あとから『こうした状況だったんだ、あの当時は』ということが報じられて、もうあの時子連れで手を引いて寒い中水を待ってたお母さんは、
「あそこで子供と一緒に居たばっかりに、この子に不必要な被曝をさせてしまった」
こういうことを後で思い悩むような事態を結局起こさせてしまったわけですよね。
とてつもなく深刻なレベルだった内部被曝
(柿沢氏)実際どういう状況だったのかっていうことが、わかるまで非常に時間がかかったということがあったと思うんですよ。
先ほどモニタリングポストの結果が、3月19日に出てきて、130マイクロシーベルト/時なんていうのが、平気で公表されてたっていうのはあったんですけど、この時点でもまだ十分にその数字の意味が理解されてなかった。
私はその直後に、北陸地方の原発から福島にいる家族を助け出しに1回福島県内に入ったという人が、戻って原発に入るときに、入域登録のためにWBCやるんですよね。そしたら、1500cpm超えちゃって、精密検査が必要なレベルになって、びっくり仰天したって、こういう話を聞いたんです。
その人は、3月11日の午後に入って、12日には郡山のほうに抜けて、郡山のほうから3月14日の午前中には出てる。
要するに3号機の水素爆発は経験してない人なんです。経験してない人でも、そんな被曝をしていた。
『これは大変なことなので、もし仮に原発作業員で、他の原発で働いている人で、福島にたまたまあの時いた、WBCを受けたら、精密検査が必要な1500cpmを超えた人がどのくらいいたか。』
これを出せ出せと言ってきたら、結局5月16日の予算委員会でその数字が出てきて、4400件あって、それ、10,000cpm超えている人が1100人居た。
これは大変な数字で、これが私は恐らく唯一事故直後の福島県内に居た人たちの内部被曝がどのくらい深刻だったかということを物語る、直接の数字の・・・
チェルノブイリにおいても、除染という活動は困難で、結局それを断念している
(上杉氏)そのことに関しては、除染に関しては、人類はたまたま先輩となる教訓があるわけですね。チェルノブイリ、ウクライナ。ベラルーシ。
柿沢さん、昨年行かれてますが、今、現在、チェルノブイリの状況はどうなのか。それから、これは恐らく考えてみると25年後の日本ということなんですね。今の。
そしてそのウクライナ・ベラルーシがどういう対応をしているかというのが、特にこの健康被害について、この報告っていうのをちょっと簡単にお伺いしたいのですが。
(柿沢氏)はい。10月にチェルノブイリに視察に行ってきたわけですけど、一つはっきりわかったのが、ちょうど日本でも除染が始まるところだったんですけど、チェルノブイリにおいて、『除染という活動がいかに困難で、結局それを断念してる』ということが判りましたね。
30㎞圏内は、今もなお立ち入り禁止区域になっていて、その30㎞圏内も除染の活動をやって帰れそうということはあったわけですけれども、ちょっとプルトニウムが非常に高い濃度で検出されたせいもあって、もう諦めて、未来永劫、25年間、立ち入り禁止区域が続いている、こういう状況なんですね。
チェルノブイリの場合、実はそもそも当初、事故をそれこそ小さく見せようとして、原発、爆発した4号機以外は再稼働させようとして、運転を続けてたわけです。
だから、徹底的な除染をやろうとして、しかも原発労働者のために作ったプリピャチという町がありますけれども、ここなんかはもう、3日分の荷物だけもって逃げてくださいということで、3日後には戻そうみたいなことをやってたわけです。
だけどやっぱり除染をしてみると、下がらない。
こういうことがはっきりして、30㎞圏内を、いわば人が住める地域としては捨ててしまう。こういうことになったわけです。
これから日本は1兆円以上の費用をかけて、この警戒区域内の除染をやるわけですけど、早くも自衛隊がやってる除染も、下がるところもあれば、下がらないところもある。
家の室内で除染の活動をやって住めるような線量に戻すには、それこそセシウムがべったりついた屋根を全部剥いで取り替えなきゃいけないとか、こういうことが言われている状況ですので、本当に除染した結果として、『線量が充分に下がって、安心して帰ってきてください。生活できますよ』ということが、本当に実現できるのか?ということを、どこかの段階できちんと見極めなければいけないと思うんです。
それをやらないまま、帰れるかのようなことを言いながら、何年も経ってから、『結局ダメでした』ということになれば、その何年間の間、避難してる住民のみなさんは、いわば生活の見通しも立たないまま、言葉は悪いですけど、生殺しになっちゃうわけですから。
(今西氏)そうですね。やっぱり政治決断ですよね。
(マコ氏)そうですね。
願望表であった事故収束工程表
(上杉氏)それについては、除染についてですが、その前に4月17日、ここですね。一番下です。事故収束工程表発表。これ最初の工程表発表です。この後、5月17日、6月17日と東京電力が発表しますが、4月17日発表したことをよく覚えています。
なぜかというと、ジャーナリストの日隅一雄さんと、木野さんと、この工程表を見てびっくりして、日隅さんの言葉でいうと、
「これは願望表だね」
と言ったんです。
なぜなら、データも何もない。そして驚いたことに、この当時は、『冷温停止』という言葉は無くて、『安定冷却』これを完成したステップ2の9か月後には、皆さんお帰り頂く。除染も済んでいると最初言ったんです。ところが・・・
(柿沢氏)菅総理が確か避難所に行って、
「年内には帰れる見通しを立てます」
というお話されましたよね。
(マコ氏)はい。されてましたね。
(上杉氏)それは実は真っ赤なウソだというのは、その日のうちに攻撃したんですね。「有り得ない」と。ところが、大手メディアは一切逆のことを報じ、伝わらないでそのままやはり騙された。つまり騙されたんです。
除染という名の人体実験
(上杉氏)除染したところからお帰りになるということが、戻ってから除染しましょうといって発表したのが、『冷温停止状態』。この前の年末。
そしてそれも、驚いたことに、チェルノブイリ、ウクライナ・ベラルーシは少なくとも3週間後にはキエフ市民も含めて、子供と女性だけは逃げたわけですね。
日本は戻してるんですよ。
これについてどうですか?除染の立場から。除染という対応に関して、マコさん、その後に今西さんに伺います。
(マコ氏)はい。除染の立場。
(上杉氏)除染という方法について。
(マコ氏)そうなんですよ。あの、可能なのかどうなのかっていうのは、まず何も除染に対する学問がないので、その環境中に散らばった放射性物質を取り除くという学者さんは誰もいらっしゃらないので、実験でしかないんですよね。なので、その除染実験をするのにあたって、住民の方々を巻き込むっていうのは、やっぱり実験は学者さんたちでやってくださいって思うのと・・・
(上杉氏)人体実験ですよね。
(マコ氏)人体実験ですよ。本当に。
除染ができる会社は日本に2社しかない
(今西氏)それとさ、除染を日本でできるのは実は会社二つしかないらしいですよ。
(上杉氏)あぁ、そうなんですか?
(今西氏)まぁまぁ、名前は言わないですけどね、東電の系列の会社が二つ。
チェルノブイリの事例を学ぼうとせず、手探りで除染活動をする日本政府
(上杉氏)セシウムはできるけど、先ほどおっしゃったように2万4千年という半減期を持つ、プルトニウムとかストロンチウムは、水溶性で入っちゃってますから。
(マコ氏)そうです。挙動が全然違うので。
(柿沢氏)あの、マコさんがおっしゃってることに、やや反論めいたことを言いたいんですけど、実は除染の活動というのは、人類が初めて行う活動では全然ないんです。
アメリカにもロシアにも核兵器の工場とかがあって、その核兵器の工場の近くで、汚水等によってかなり深刻に土壌汚染されてしまった場所とかあって、そこの除染の活動っていうのは、アメリカもロシアもノウハウ持ってるんですよ。
尚且つチェルノブイリ事故があって、25年前にほぼ全く同じ経験をした国が、同じようなことをやって知見を蓄えているにもかかわらず、そうしたところの知見を全く生かさずに、いきなりなんか白紙で、目隠しをしたような状態のまま、手探りで除染の活動を始めちゃってる、そのやり方そのものが、おかしいでしょ?過去の教訓から学んでないでしょと。こういうことなんだということに思うんです。
チェルノブイリに行って、ウクライナの専門家の当時の非常事態省の副大臣っていうクリステルさんという方が居て、いきなり除染の質問をしたときに、
「そもそも、除染をやりたいというのは、住民を安心させたいから言うんだろうけれども、それよりも食品を摂取した時の内部被曝の防止のほうが大事ですよ」
「それは除染が不可能だということを、あなたは言ってるんですか?」
質問をしたら、
「結局、私たちの経験から言えば、除染の活動は、なかなか功を奏さない。私たちの経験から学んでほしい」
とまで、私、言われたんですよ。
(マコ氏)除染ができないということ・・・
(柿沢氏)そうしたことをチェルノブイリに政府の役人を派遣すれば、同じことを聞くに決まってるわけです。そういうこと、聞いてるのか、聞いてないのか。
聞いてないとすれば、それは怠慢だし、聞いた上で『除染です』って言って何兆円も使う。こういう計画を立ててるんですよ。
(マコ氏)ほんと、そうなんですよ。
(今西氏)だから、事故直後もチェルノブイリでこうでしたよっていうデータは、国交省を通じて、結構入ってるんですよ。政府に。
けども、そこは経産省との軋轢とかいろいろあって、それが伝わらなかったっていうのは、事実あるんですよね。
除染は住民の希望だった?
(マコ氏)除染が住民の希望にまとめられているっていうのも、すごく不満があって、この間12月にICRPが来て話してたんですけど、放射線防護委員会として、
「チェルノブイリの時住民はすぐ逃げたいと、避難したいという判断をしたけど、ICRPとして実際福島の住民の方々にお話を聞いたら、ガッツがあった」
って言うんですよね。ガッツ。
「どんなに線量が高くても、自分たちで除染をして住むという前向きな希望とガッツを持っていた」
というんですけど、
「いや、そのガッツで何とかなるものなのかな?」
っていうのと、そのことを飯舘村の村民に聞いたので、すぐ電話して、「誰が言ったの?」って聞いたんですけど、
「いやー、村長が言ってたよ・・・」
っていう話を聞いて、
「誰も住みたいと思ってない」
という話を聞いたので・・・。
放射能に関して精神論がまかり通る国、日本
(上杉氏)日本では兎角、放射能に関しては、精神論がまかり通る世界で唯一の国ですから、総理大臣も昨年の所信表明だったと思いますが、福島の高校生が
『福島で生まれ、福島で育ち、福島で結婚し、子供を産み孫を産み死んでいきたい』
といったんですが、それをあたかもすばらしいことかのように扱ってですね、まず、高校生、被曝しやすいんだったら、まず逃がすことが大事なのに、
『みんな放射能を浴びながら頑張りましょう』
というのを、内閣総理大臣が行ってしまう国というのが、日本と。
ここが少しちょっと感覚・・・というか感性が違うのかなと思うんですが。
草木やスギ花粉などに放射能は含まれている
(上杉氏)先ほど除染の話ですけど、除染というのは基本的にはできないというのが、東京電力会見に出てる人は、大体わかるんですね。
これ、『移染』なんですね。
除染じゃなくて『移染』で。
結局川に流れたり、土に浸みこんだり、海に流れ、そしてまたグルグル回る。
(今西氏)それとね、今聞いた話ではね、例えば草だとか木にかなり溜まってるんですよね。恐らくこれからの季節、スギ花粉というのが出てきますね。2月、3月になると。
そうすると、それがどれくらい飛散するのか。
それと今地元の消防署で一番危惧してるのが、火災です。火災が起こる。草にたっぷりいろんな放射性物質が含まれている。それが飛散するというと、要するに、首都圏もどうなのか?という論議になってくるわけですよね。
果たして農産物とか海産物とか安全なのか?
(上杉氏)それは瓦礫の話もですが、瓦礫の話の前に、除染で除去できないもの。つまり生活するのは人ですから、柿沢さんがおっしゃったように、今後長い内部被曝。これには、やはり食品なんですよね。
その食品、『果たして農産物とか海産物とか安全なのか?』
根本的な疑問があるんですが、政府は3月の後半の段階で、枝野長官、
「食品に関しては、安全が確認されております」
蓮舫消費者担当大臣も同じように言いましたし、皆言ったわけです。
本当に安全なのかどうかというのは、非常に微妙なとこだと思うんですが、その辺りはどうですかね?お三方。マコさん、どうですかね?
(マコ氏)全然安全じゃないと思います。
まずさっきの除染とかの話にも繋がるんですけど、去年の秋に、いわきの方々とか福島の方々で、すごく住民の話し合いで問題になってたのが、収穫の後に稲の稲わらともみ殻を燃やすんですね。そしたら風下がすごく線量が高くなって、一応野焼きをしてはダメというルールがあるですけど、毎年皆さん燃やしてて、それですごく住民同士の争いがあって、それだけ線量が簡単に高くなるのに・・・。
(今西氏)僕もあれやね、11月17日ですよ。マスコミが原発に入る前日ですかね。20㎞圏内に視察に行ったときに、まさに一時帰宅で帰ってきて、
「いや、冷蔵庫にいろんなものがありますから、ちょっと燃やすんですわ」
って燃やしてる人がおるんですよね。
やっぱりその近所で、消防の人が線量測ってくれまして。そしたらすごい上がりました。線量がいっぺんに。
あれ、本当に典型的な例ですよね。
放射性物質の食品に関する基準値は妥当なのか?
(柿沢氏)そもそも放射性物質の食品に関する基準値というのは、あの時点で無かったわけです。無かったところで、いきなりヨウ素が出てきて、あの時野菜の一部で放射性ヨウ素がこれだけ出てきたということになって、規制値が出て、『食品500ベクレル/㎏、飲み物200ベクレル/㎏』と、今もこの数値を使ってるわけですよ。4月に改定するとは言ってるけれども。
(上杉氏)チェルノブイリの数値に合わせたという発表が最初なされたんですが、どうなんですか?実際は。
(柿沢氏)いや、それはチェルノブイリの数値に合わせたといってもですよ、結局ウクライナでは、内部被曝による健康影響が深刻化して、10年後になって数値をがくんと下げてるわけですよ。
例えば肉でいえば200、或いはパンでいえば20、野菜でいえば40。幼児用食品という特別カテゴリーを作って、40ベクレル。飲料水なんで2ベクレルですよね。
こういうふうにして細分化した基準値を食品ごとに詳細なものを10年経ってですけど作ってる。これもチェルノブイリの教訓から全く学ばずに、ある意味では食品流通がそれだとできなくなるという事情もあったんですけど、500、200という大雑把で尚且つ荒い、甘い、そういう数値を今も使い続けてる。
コメは9割以上、作物に移行する場合も…
(マコ氏)そう、主食のお米は、もう下げてきっちり検査をしてほしいですよね。
(上杉氏)お米は500ですよね。
(今西氏)500ですね。
(マコ氏)500ですね。お米は5000ベクレル/㎏のところで作付けをして、作付けする前に測って、それで出荷する前に測るっていう形なんですけど、飯舘村の方で、一度実験としてどういう除染をしたら、ゼオライトが効くのか、活性炭が効くのか、実験をしようということで、1万2700/㎏のところで作って、いろいろなことをやって、どれだけ減るかっていう実験をして。
秋くらいに仮の実験データを見せていただいたんですが、まぁそれなりにゼオライトとかで減るんですけど、でも、何もしてなかったところは、比較のために出したら、1万2700/㎏のところが、1万2400ベクレル/㎏って出てたんです。
(今西氏)あー、もうもうほとんどそのままですねぇー、はいはい。
(マコ氏)そうなんです。これ、移行係数、米は10%以下のはずなんのに、もう9割以上というので、それに一番愕然として、じゃあ5000ベクレル/㎏で作付けをしたところのコメは、一体どれだけの値が出るんだろうって震え上がったことがありました。
(一同)うーーーーん・・・。
ほとんどが検査からすり抜けてしまっている
(マコ氏)もう全品検査とかの考え方とかどうなんだろう?というか・・・
(柿沢氏)そもそもだから、放射性物質の基準値が無かったということは、それを検査するつもりもなかったということで、検査体制が全く無かったですよね。突然あのキャンベラっていう会社から、ゲルマニウム測定器、こんな寸胴みたいなのを買ってきて、バカバカ福島県の農業センターみたいなところに置いて、それで測り始めるんですけど、あれ、測るのにサンプル検査だけでも、ものすごい時間がかかるわけです。つまり、市場に出ていくすべての農産物を全量検査するなんていうのは、もう夢のまた夢で、結局一部のサンプルで引っ掛かったものの数値だけが公表されて、あとの大半は、残念ながらすり抜けてしまっている。
(今西氏)かなり流通してしまっている分、あると思いますね。
とてつもない数値が出そうだから検査しなかった
(上杉氏)3月の終わりから東電会見を含めて、
「ベクレル検査をしてくれ」
とずーっと申し入れを政府の方に行ってました。自由報道協会としてもそうですね。
4月には、そういう意味では民間の調査団体が始めたこと、例えばグリーンピースなどが海産物調査をやったんですが、その時に時点での数値が、既にわかめ・昆布12万ベクレルを超えると。更には、10月くらいに大手5スーパーの食品を発表した時には、ユニーさんのタラですね。今冬の食べ物。タラは50ベクレルを超えるんですが、実はそれは北海道産だったとか、或いは鯖の缶詰からも軒並み出てます。
そういうのも、政府がやるんじゃなくて、実はずっと民間なんですよね。更には自治体。政府の発表で出すものは、水産庁の、当時そうです、4月も。それから文科省もそうですが、例えば魚だったら、この番組でも何度も取り上げましたが、頭と内臓と骨をとって検査して、それを取らないコウナゴだけは出て、あとはセーフ=NDと。こういうことを繰り返してきて・・・
(今西氏)いや、ちょうどね、秋になると鮭が上がってくるんですよね。あの20㎞圏内には木戸川という鮭があがってくる有名な川があるんですね。
「その上がってきた鮭を捕獲して検査したい」
という地元の要望がすごくあったわけですよ。ものすごくあって。
いや、それはそりゃそのとおりですよね。それで一回検査しておかないと、後々、立ち返れるようになったときに、当然皆さん鮭の漁獲高が多いわけですから、それで生計を立てたいわけですよ。
そのデータのためにも、とにかくデータを採ってくれと何回言ってもダメだったんですね。
(上杉氏)採らない?
(今西氏)採らないですね。鮭は勝手に取れないんですよ。許可が無いと。採捕許可っていうのが必要で、それが無ければ捕獲できないんですね。『それを出してください』って何十回言ったかわからないですけれども、もうそれやらなくていいですということで、こっそり聞いた話ですが、それをやってとんでもない数値が出そうですねと。そういうことをやめておきましょうと。
(マコ氏)そうですよね。その12万ベクレルがグリーンピースで見つけた海藻があった時に、グリーンピースの会見に行って、その資料を持って水産庁の会見にも行ったんですよ。
「こんなん出ましたけど、この辺りの魚、調べてるんですか?」
って水産庁に聞いたら、
「いや、それは私もグリーンピースの資料を見ましたが、その海藻は食べれる海藻ではございません」
って言われて、ズコッてなって、
「食べれる海藻が汚染されていないっていう証拠になりませんよね?」
って聞いたんですけれども。
(今西氏)それで鮭やれへんかったんやねぇ。鮭食べれるからねぇ。
(マコ氏)そうなんですよ。そうなんですよ!かなりびっくりしました。
(上杉氏)日本の放射能っていうのは、食用の魚とかには付かないということがいうことが。
(マコ氏)びっくりな回答でしたよ。
(今西氏)それとね、川でしょ?どうしても放射性物質が流れ込んでくるじゃないですか、周りから。結構ね、周りにある『やな』という本来鮭をせき止めるような罠が全部破壊されて、どんどん上に行くんですよね。だから、恐らくかなりの数値が出たとみられるんでね。
それでやっぱり鮭は・・・うーん・・・。
東京湾の北部で、相当数のベクレルがあがってる魚が獲れてる
(上杉氏)しかもそれは福島だけじゃなくて、実は5月に週刊文春にはチラッと書いたんですけど、あまりにも圧力が酷くて書けなかった。実は。
それは東京湾の北部で、相当数のベクレルがあがってる魚が獲れてる。何故ならば、江東区、地元ですけど、江東区・大田区にある、いわゆる下水処理センターで燃やした主灰・飛灰を4月から中央防波堤の外にそのままやってるんですね。東京では。それによって漏れたストロンチウムなどが東京湾を汚染してる。ですから、築地も含めたそこに大きなベクレル数の高い魚が売ってるということを書いたわけです。一部。
(柿沢氏)私はそれは、ちょっともう少し検証する必要があると思うんですけど、いずれにしても安全だとも危険だとも判断がつかない状態のまま、消費者が置かれているということが、やっぱり一番大きな問題だと思うんです。
海外の日本の農作物に対する目が一変してしまった
(柿沢氏)たとえばBSEのときの対応は、政府で十分だったかどうかはわかりませんけれども、全頭検査なんていうことをやって、『あんなことやってコストがかかりすぎる、無駄だ』と言われましたけれども、やったからこそBSE騒ぎも一応鎮静化すると。そこまでやるかというところまで姿勢を見せないといけないにもかかわらず、むしろ判らないほうが幸せだと言わんばかりの対応をとっているということが、今の本当に消費者の不安をもたらしてると思いますし、一番ここの部分で大きいと思うのは、私は
「TPPで農業を輸出産業にすべきだ」
みたいなことを言っている立場なんですけれども、海外の日本の農産物に対する目が一変してしまった。中国から輸入停止措置なんかを採られるような『日本の農産物は危険だ』なんて言われる状況が生まれてしまった。これがやっぱり一番大きいというふうに思います。
(今西氏)これね、今ちゃんとやっとかないと、やっぱり高度成長の途中に、やっぱり水俣病とかたくさんの公害病がありましたよ。それで後にものすごいたくさんの方々が訴訟で裁判に訴えて『被害を受けました、被害を受けました。』それで、国も、やっぱりすごいお金を使って、まぁまぁ和解していった歴史があるわけですよね。
やっぱりそういう同じようなことが、僕は繰り返されるような気がしてならないんですよね。
因果関係が証明できない
(今西氏)というのが大事かなと思うんですよね。それで国民全体についてもそうなんですよ。結局、『後でお金払って和解したらいいじゃないですか』って、凄まじい税金がかかるじゃないですか。今その税金、先かけたほうがいいじゃないですか。
(柿沢氏)あと、呼吸による内部被曝と全く同じ話ですけど、結局それが30年後にガンを発病させたとして、その因果関係が立証できるのか?という話になるわけですね。
「自分がこのガンになったのは、あの原発事故によるものだ」
と言って国を訴えたとしても、国は恐らく因果関係を否定して、そういう暗い国に対する恨みの残る、そういう裁判を水俣病と同じように戦わなければいけなくなる。
(今西氏)もう公害病の裁判、みんなそうですよね。
「そんなん因果関係どこにあったんですか?」
広島の原爆の訴訟でも一緒ですよね。
(マコ氏)そうなんです。飯舘村の方々と動いてる時に、水俣病にすごくそっくりだからっていって、そのお話を聞きに行ったりするんですけど、本当にそっくりで、もともと水俣病の裁判の記録も、
「水銀は、もともと環境中に存在しています」
から始まるので、
「あ、放射性物質と同じこと言われてる」
と思って、それで検査してくれるところがどこにもなくって、因果関係が証明できないんですよ。水俣病が。
(上杉氏)因果関係に関しては、もう既に裁判が二つ出てますね。
一つは『ゴルフ場のセシウムは無主物だ』ということで判決で出て、これはもう賠償の責任はない。
それからあと、集団児童の疎開の13人裁判。あれも『子供たちには、避難するということは認められる』と、丸めて言うと、『県内全体の子供たちに影響するんで認められない』といって敗訴するという、もう司法は司法の役割を満たしてないような裁判になってしまうわけですが。
ただ問題は、結局、国賠になったときも、戦う材料としては因果関係を認めない政府とやるのは、それはもう4月からニュースの深層でもキャスターはずっと言ってましたけど、メモをとって、広島・長崎と同じようにメモをとって、自己防衛するしかないという、この悲しい状況になってるわけですね。
ですからお母さんとか、お子さんをお持ちのお母さんは、繰り返しになりますが、是非とも3月11日から食べたものを思いだしたことだけでもいいので、メモにとっておくと。
(今西氏)今から思いだしてもおかしくないですからね。
『風評』というより、放射能が出てるのは実害。風評でもなんでもない
(上杉氏)今食べてるものもそうですね。継続なんで。
それとあと、先ほど作物の汚染についてですが、早い話が測ればいいんですね。だから、言いたいことは、大手スーパーが測ったところは逆に信頼があって、そこにお客さんは戻ってるんですね。こういう形で放射能と付き合っていかなきゃいけないのが今後の日本なんですが、そういう意味では、政府、それからメディアが、私が先ほど言ったようなことを言うと、まず『風評だ。デマを流すな。』これが不健全ですね。
『風評』というよりも、放射能が出てるのは実害ですから、風評でもなんでもないんです。国際的に言えば、全く風評でもなんでもない。
それに対してどう対抗するかということが、非常に重要なんですが、ただ情報を出すもの、それから測る人たち、この人たちも本当に事を言いたいと思ってるんじゃないかと思うんです。
原発作業員の健康状態
(上杉氏)あの、原発の作業員の方が実は今一番放射能レベルが高いところにいらっしゃるわけですよね。
(今西氏)そうですね。
(上杉氏)そういう人たちの健康状態っていうのは非常に気になるんです。
例えば事故で何人か命を落としたりされてる方もいますし、あとは中で心臓マヒとか急性白血病になってますよね。政府は因果関係ないと断言してますが、無いのもおかしいし、有るのもおかしいんですけど、わからないのが普通だと思うんですが、そのあたりどうなんですか?
(今西氏)僕はね、5月にお亡くなりになられた作業員の方について、ちょっとかなり詳しく取材したんですけれども、やはり一緒に仕事してた方ですとか、同じ現場で作業してた方から聞くと、マスクですか、全面マスク。やはりあれがかなりキツイんですよね。柿沢さんも多分着けられたから。
(柿沢氏)写真がありますけどね、この全面マスクは、一時間つけるだけ、しかも12月という寒い時期ですよ。それでも1時間いるともう本当に苦しくて、尚且つ酸欠のようになって、頭がぼーっとしてきて、
「もう早く脱ぎたい」
本当に思いました。
(今西氏)ほんと圧迫されますからね。
(柿沢氏)それを夏のものすごい暑い時期に、これをずーっとつけて1日中作業してたわけですから、もうそれが体に与える単純な負担だけでも、それは大変なものだというふうに思います。
とてつもない高線量の中、人の手で作業がされている
(今西氏)僕は夏に行って一番最初に着けたときは、これもう血が止まるなと思いました。それくらいきついです。これ着けてますと、やっぱりすごく汗をかきます。脱水症状に近いものも多々あります。
実際、その5月に亡くなられた方なんかは、要するに中で作業されて、かなり厚い状況でされておられて、それまでにない予期せぬ発汗というかな、あれがあったと思うんですよね。当然ここを締め付けられるから、やっぱり血流なんかもだいぶ変わったと思うんです。やっぱそういう負的な要因があって、お亡くなりになられたのかなというのがあるんですね。
だからそこもしっかり検証してやらないと、いくら優秀なロボットがあろうが、優秀な機械があろうが、最後は人の手ですから。
ベントもそうでしょ!?
『できますよ、できますよ』って言って、できなくて、わざわざ高線量、とんでもないとこ行って人がやったわけですよ。それでもうまくいかなかったんだけども、やっぱ最後は人の手ですから、作業員の方の健康っていうのは、最優先でやっぱりチェックしていかないと。
(上杉氏)初期の段階で汚染された水にお二方、被曝した方が二人いましたね。それからその後にも何人かいらっしゃいましたが、そういう方々はどうされてるんですか?
(今西氏)そうですね。あの時に被曝された方は、少しルートがあって、当時の現状を聞くような機会もあったんですけれども、症状としてはそんなに大きなあれじゃなかったんですけど、ああいうことはまた同じようなことが何度も起こる得るというような話をされてましたね。
やはりそれはなぜかというと、やっぱり写真もひょっとしたらあるかもしれませんけど、中は塩化ビニールのホースをどんどん通して、汚染水をあちこちに流して回してるわけですよ。そういう中で、いつそのホースが破損するかわからない。
どこから汚染水が漏れてくるかわからない。これなんかも、これはつなぎ目なんかがあったら、そこはビニールで、ビニール袋で上からかぶせてるだけなんですね。どこでどんな事故があるかわからないわけですよね。
健康も生命も守られない原発作業員
(柿沢氏)こういう状態の中で作業員の健康を守るために、造血細胞の事前採取というのをずっと言ってきたわけですけれども、しかしそうやって事前摂取をやって、急性白血病、放射線障害に対する備えをすべきだというと、
「『そんなところに人を出すんだ』ということを公式に認めてしまうことになる。だからそんなことはできない」
とか。
(マコ氏)すごい心配な話が。
お亡くなりになったのは3人の作業員なんですけど、それは勤務中にお亡くなりになった方が3人というだけで、緊急時作業員で3月以降福島第一原発に入って、年間線量限度を超えて、自宅勤務になって、それで亡くなった方っていうのも何人か聞いてるんです。
でも、それは東京電力に会見中に聞いても
「把握しておりません」
という回答で、
「交通事故で死のうが他の病気で死のうが知りません。」
っていう回答なんです。
原発管内では治外法権
(上杉氏)これに関しては、この4月の段階からずっと言ってますけど、これだけは言うなと途中で怒られましたけど、東電には捜査は入らない。朝生でも言いましたけど、なんで入んないんですか?
ほかはね、生ユッケだろうが、天竜川の事故だろうが、オリンパスだろうがすぐ捜査が入って、交通事故があっても現場検証しますよね。人がこんだけ死んでるのに一人も入らない。1回も。さらに東京電力本店の証拠保全もしない。
「なんでですか?」
というと、こればっかりは
「あれは言うな」
と様々なところから来るんですね。
日本は東京電力管内、つまり原発管内で事故を起こすと、何が起こっても、自殺だろうが他殺だろうが関係ないという国なのかなと。それは実は園田政務官に会見で聞いたわけですよ。そしたら、
「東京電力さんのことに関しては、東京電力さんにおまかせします」
という回答が来たわけです。
(マコ氏)ほぉーーー。治外法権ですよ。
(上杉氏)つまり治外法権です。
工作費用が電気料金に転嫁されている
(上杉氏)マスコミも書かない。マスコミのことに関しては、まぁ去年言いつくしたんですが、これは基本的に記者クラブというのがあって、そして電事連全体から860億円もの広告費をもらう。2位のパナソニックは700、トヨタが500。しかもトヨタとパナソニックさんは、ライバル会社がいて更に海外に展開してる。日本の電力会社は、ライバル無し!海外展開無し!広告費はいらない!
にもかかわらず、マスコミが最大のクライアントとしてるのはなぜかというと、それが賄賂だからです。
もう最後だから言ってしまいました。
(上杉氏)そういうような国に住んでいるということを、まず考えると、これは政府の責任じゃないんですね。マスコミ含めた日本のパワーエリート構造、ここの責任じゃないかと。
(柿沢氏)しかも、そういう部分が電気料金に転嫁されてるわけですから、こないだ予算委員会で質問取り上げさせていただいたんですけれども、実はJヴィレッジを作ったりとかああいう形で施設を作って、自治体に寄付をする。また自治体にそもそも例えば幼保一体化の設備を作るとかいってお金を出す。
こういうことが実は自治体に対する寄付が、総括原価の中に入ってたということが明らかになって、要するに、言葉は悪いですけど、原発周辺の市町村を丸め込むための費用が電気料金に転嫁されてたっていう話ですから。
(今西氏)あれね、20㎞圏内に入って、柿沢さんの行かれたからわかると思うんですが、やっぱり建ってるもんが桁違いに立派ですよね。やっぱりそういう関連の施設。
(柿沢氏)こればっかりは福島にとどまらず例えば柏崎刈羽だってそうですし、全国の原発立地自治体に共通する問題なわけですよね。
尚且つ、ここはそれこそ上杉さんじゃないですけど、敢えて言います。
(今西氏)言いましょう!
(柿沢氏)敢えて取り上げましたけど、電力関係の経営陣は、個人献金を装って自民党に2億、3億、年間個人献金してるわけです。労働組合はどうかといえば、電力総連の関連の労働組合は、政治団体を作って、民主党議員に、いいですか、昨年の政治資金収支報告書見ると、7億5000万も政治活動費で使ってるんですよ!?
7億5000万円。
これは、やっぱり民主党も自民党もそろって、電力会社の利益に反することっていうのは、国会では表だって言えなくなるようなふうに思いますよね。
大声で訴えてもなかなか通らない
(マコ氏)はい。そう思ってたんですけど、飯舘の方と一緒に小児甲状腺サーベイのことだとか、飯舘がプルームに包まれたんじゃないかとか、あと、東京大学の環境解析科学の方の論文を読んで、ネプツニウムというプルトニウムの前のものがすごく広がってたんじゃないかっていう記事を書いたことによって、文科省がプルトニウムのマップを出したりだとか、小児・・・
(上杉氏)それは8月でしたっけ?
(マコ氏)8月です。はい。
小児甲状腺サーベイの説明会を結果すら皆返ってなかったので、それを欲しいって質問したり、飯舘の方と言い続けることで説明会を開いていただいたりしたので、でも、去年1年、すごく敗北感が多かったんですけど、ちょっとだけど動かすようなことがあったよねって言ってたんですけど、でも自分たちで言わないと切り捨てられるっていうのは、被災者の人たちが大声で訴えないと何もしてもらえないというのはすごく身に沁みました。
(今西氏)その『大声』もなかなか届かない・・・ほとんどの場合届かへんもんねぇ・・・。
(マコ氏)届かないんですよ~。本当に。
大声も挙げる必要性を感じさせてもらえない。
それはプロパガンダで『安心なんじゃないか』って思ってる人たちが大勢なので。
自分たちが被曝していることを知らない
(マコ氏)そうです、そうです。
あと、自分たちが被曝してることを知らない怖さっていうのもあって、去年の10月にアメリカの国家核安全保障局、NNSAっていうのが生データをHP上にリリースしたんですね。それは事故直後、文科省は完璧なモニタリングができなくって、でも、米軍が来て3月15日から航空モニタリングと1000か所以上のモニタリングをしていて、その生データをエクセルに落としたら見やすいのにっていうくらいの生データを公表してて、それを安全委員会や文科省は知らなかったんですね。
それを見たら、3月の事故直後はいわきと北茨城のヨウ素の汚染が一番酷くって、それでひょっとしたら飯舘方向より汚染されてて、それでなぜ小児甲状腺サーベイが、いわき・川俣・飯舘の順番で行われたか、そして最高値がなぜいわきの4歳児だったかっていうのをずっと調べてたんですけど、そのNNSAのデータを見たら、いわき・北茨城へのプルームが一番濃かったんですよ。
これがあって、それを聞いてたら、文科省の方も
「個人的見解だけど、そのデータを見て、恐らくSPEEDIでもヨウ素は一番酷かったから、いわきからやったんじゃないか」
っていう話で。
でも、飯舘はプルームで覆われた時に雪が降ったので、土壌に沈着をして、その町の空間線量がずっと高かったので、計画的避難区域になったり住民たちが「うわ!線量高い」って気づいたんですけども。
いわきは、プルームが通った時、天気が良かったので、そのまま通り過ぎたので、土壌に沈着してなかったんですね。なので、でも、その後空間線量が高くならなかったんですけど、その当時、ガソリンとか水をもらうために外に出た人たちがすごく多くて、気づかないうちに・・・
(柿沢氏)小児甲状腺サーベイがなんで対象がいわき市だったのかっていうのは、本当に不思議な感じはしますよね。
(マコ氏)そうなんです。だから、いわきの方が自分たちがご存じないまま、ひょっとしたら事故直後、ものすごい内部被曝をしてるんじゃないかというのを、去年の秋に気づいて、それでずっといわきに通ってるんですけど。
情報を出せと言うべきメディアが、政府の情報隠蔽に加担
(上杉氏)あと、こうやってジャーナリスト、マコさんはジャーナリストじゃないんですけど、含めて出してる情報に関して、まずそんなことは無いというところどころ雰囲気が入るんですよね。これは3月ずーっと続いてます。そのためにデマだとか、そういうことやるのは、その雰囲気に加担する、空気に加担するのは実はマスコミなんですね。
例えばマコさんが言ったNNSAの部分のデータも出た後に政府の方は慌てるわけです。
「なんだ!あれは!?」
と大騒ぎになるわけですね。調べたんですけど。行政もやって、そしてマスコミは知ってて無視するんです。
(マコ氏)そうなんですよ・・・。会見で私言ったのに。
(上杉氏)なぜかと言うと、自分たちがこれまで全員知ってますからね。3月からずっと続いてます。
どうしてかというと、自分たちが安全だという誤報を3月に散々垂れ流したために、誤報の訂正をしたくないもんだから、フリーのジャーナリスト、とりわけ自由報道協会所属の面々がずーっとやってきたことを、日隅さんも含めて、全部ないことにしたんですね。
これは相当罪が大きいというのは、情報を出せと言うべきメディアが、逆に政府の情報隠ぺいに加担してきた。それが昨年の9か月。
この部分だけでもなんとか変えなくちゃいけない。
これは構造的な問題の、私はずっと言ってきてる最大の問題だと思うんですが。
(今西氏)僕もさっき言ったGWの時に出したサーベイマップについても、最初はある記者から、
「それ、あんたガセのデータですよ」
って言われましたから。
(上杉氏)そうですよね。私もデマとガセが・・・
(今西氏)「ガセですよ。それ絶対違いますから、そんな1000ミリ近い瓦礫なんかあるわけない!」
ってはっきり言われました。
「いや、違う、あるんだ」
「それはきっとあんた、ガセので報道やめてください」
って言われましたから。
(上杉氏)一番驚くのは、テレビに出てるコメンテータや評論家やキャスターや論説員・解説員と呼ばれる世間に影響力のある人たちが、現場に行きもしない。記者会見にも来ないで、散々政府のいうことだけを発表して、東京電力の記者会見で、こういう危険な数字を自ら出して、それを言うと「デタラメ言うな」と。
これがやはり日本の言論の今回の大問題。
つまり、ジャーナリストが居ないわけです。ジャーナリスズムが無いということによって、多くの方が被害を受けた。最大の根幹じゃないかと思うんですけど。
(今西氏)僕も、これ写真撮った時に、
『君、入って写真撮るのは違法や』
まずその論議からですからね。
現代の原子力国家、『原子力帝国』である日本
(上杉氏)その、この原子力国家、『原子力帝国』っていう本は、実は1979年にドイツのユングが書いたことですね。要するに原子力を元に、権力がそれをつかむと本当にとんでもない国家が出現する。実はそれはドイツでは妨げることができたのですが、7年後にソビエト連邦で事故としてそれが見えてきた。
それが30年後になんと日本で、そこにマスコミというものがくっついて、さらに強力なものができたのが、今回の事故の真相じゃないかと思うんですが、その中でとりわけ構造の部分で、先ほど私メディアのこと申し上げましたけど、柿沢議員が電事連並びに電力総連などの献金、まぁ選挙の手伝いもありますけど、それもあったんですが、そもそも経産省という役所、原子力保安院含めて。これもやはり電力会社が、つまり原発を作れば作るほど、儲かるという仕組みになってるということが大きな問題になってるんじゃないかと思うわけです。
それはやはりコストの3%を利益として計上できるという、とんでもないこと。
それから、経産省の天下り先もありますけれども、自らの特別会計は、これは電力コストの方からもらえる。つまり原発を作れば、一基3000億円以上の原発を作れば、1000億円の火力よりも、自分たちが儲かる。
こういう構造をチェックできなかったというのは、実は端的にいうと、その法律を作った国会の議員の責任。そしてそれも与野党関係ないんじゃないかと思うんですが、そのあたり、柿沢さんどうですかね?そういう構造を変える可能性はあるんですか?
(柿沢氏)まぁ、私は昨年2月の予算委員会で一つの予言めいた質問をしてるんですけども、
『昨年の1月4日付で東京電力に資源エネルギー庁長官だった方が顧問として天下ってる、そもそも天下り根絶を言っていた民主党が、この所管業界のど真ん中に、いきなり退官直後に天下っていいというのはどういうことなんだ?』
この時、枝野さんが官房長官だったんで、お尋ねをしたら、
「形式的には役所の斡旋なのでOKだ」
みたいな話をされているわけです。
『だけど、こういう形で結局最終的には退官後に東京電力にお世話になるから、やっぱり津波の想定が、たったの5.7mでもそれは、まぁ、東電側がいいて言ってるんだからいいでしょう』
といって、スルーしてしまう。
こういう馴れ合いを生み出してきたことは、構造的な要因としては、もはや明らかだと思うんですよね。
それで、今回、形の上では保安院を切り離して、環境省の下に置くというこういう形にするわけですけれども、実際問題として、やっぱりこの原発推進の中で、通産省、経済産業省と電力会社の間が、どういうふうになってきたのかっていうことを、ここで検証しないとですね、もう何年か経ってみたら、実は気がついたら、また天下りが再開してましたみたいなことになりかねないと思うんです。
除染で一番活躍するのは東電の資本が入っている会社
(今西氏)だからそこでね、今『除染、除染』ということで、除染をやり始めたじゃないですか。一番活躍するのは、東電の資本が入ってる会社なんですよ。
(マコ氏)そうですよー。
(今西氏)そしたら、結局そこにお金回ってまた東電に上がっていくわけですよ。ということですよね。
(マコ氏)それ、住民の方々が一番怒ってます。
事故をしても、やっぱりそっちも儲けるっていう。
(今西氏)だから自分とこはバーッと撒き散らして、
「あー、あとうちがなんとかします。なんとかします。」
いうて、もう???ですよね。
原発には業務上過失に関する法はない?
(上杉氏)あとは放射能事故が起こった時に政府とか国がどういう責任を取るかっていうのを実は法律では、そうなんですよ。ちゃんと決まってるようで、実はものすごい抜け道があったんですよね。
(マコ氏)法律が無さ過ぎてびっくりして、これ平成19年の法律なんですけど。放射線障害防止法関係法令という本なんですけど、この中にテロとかで環境中に放射線を発散させて、人の生命、身体、または財産に危険を生じさせる行為などを処罰する法律がちゃんとあるんですけど、これ、今の状態そのままじゃないですか。でも、これはテロの場合なんですね。ものすごい厳しい処罰があるんですけど、過失の場合は無いんです。処罰法が。でも、ハイジャックはもちろん犯罪ですけど、飛行機事故とか交通事故でも、業務上過失は責任は問われますよね。でも原発は業務上過失がないのと、あと、環境相の公健法、公害と健康に関する法律でも、環境省に聞いた時に
『PPPという汚染者負担の法則は、今回は当てはまる』
っておっしゃるんですけど、
『PPPから発生した公健法には、公害物質にこの法律の中に放射性物質は入っていないので、当てはまらないです』
って言われるんですよ。
こんなに法律の抜け道があったか!と。
異常な天災であることを強調した理由
(柿沢氏)そもそも一番驚いたのは、やっぱり去年の国会審議の中でいうと、東電救済法とも言われた原子力損害賠償支援機構法案のまず第一の立論として、
『今回異常な天災地変にはあたらないので、一義的には東電が賠償義務を負うんだ』
と、ここから始まったことからして驚きだと思うんですよね。
尚且つ、国の責任は1200億円という限定税があってという話から始まって、結局最終的には、東京電力という会社を絶対に債務超過で破綻状態に陥らせないように、交付国債を使い、資金支援の抜け穴まで使ってジャブジャブお金を突っ込んで、東京電力を絶対破綻させない。
こういうことをアプリオリに決めてしまった。
しかも民主党と自民党と公明党が合意をしてそれを法案として通した。
こういう形で、なりふり構わず東京電力をある種の地域独占の電力企業として存続をさせる、これを第一義においた対応をこれまでしてきたということだと思うんですよね。
(上杉氏)そういう意味では、もっと遡れば、昨年3月の事故発生直後に原賠法の論議が出そうになったんです。それが3月に。
それもずっとこのニュースの深層でも言いましたけど、必ず賠償逃れをする。それは原賠法の基づく、いわゆる『未曽有の天災、戦争以外は、その時に関しては免責される』1200億円ですね。それ以外は免責される。これは事業者が。
まさにここに狙うために繰り返し繰り返し、マスコミも『想定外』『未曽有の』っていう言葉を使いだしたんです。
それはもう政府の方が発表するんです。それに乗っかる。
でも蓋を開けてみれば、あの時騙されてましたけど、津波じゃなかったんですね。今回の・・・
日本にはチェック機能がない
(今西氏)そうなんです。僕もいろんな原発関係の記事を昨年書きましたけど、その中で地震であの建屋の一部崩れてます、ひび割れてます、なんか地下水が入ってきてますとかですね、そういう類の原稿を書いた時はですね、やっぱり東京電力とかその周辺者、マスコミも含めていろんな人が、
「いや、君のは間違ってるよ。絶対にそんな潰れるわけはないんだ。コンクリートはこんなに分厚いんだ。」
「いや、いい加減な工事をしたって言ってましたよ?工事会社。あんた見たんですか?」
って言ったら、結局黙ってしまいましたけどね。
(上杉氏)やっぱり恐ろしいのは、そこにマスコミがあるので、チェックしないんですね。マスコミはやっぱり自分たちの放送、それから新聞の広告が欲しいわけです。事故が起こった後も、まだお詫び広告として20億も入ってるわけですから。
普通だったら、普通のジャーナリストだったら海外だったら、絶対拒否しますね、それを。
(今西氏)そうですね。
(上杉氏)それにもかかわらず、まだもらって、しかもまた再開してますけど。
そういうようなマスコミを持って、チェック機能が働かないので当然ながら一体となって原発国家というものを作り上げた。誰も反論できない。そして反論する小さな声は、番組降板や或いは追放という形で、吉本興業追放はされてませんが・・・
日本はこの原発事故から何を学んだのか?
(柿沢氏)結局競争が無いところで、官による独占的な免許ではないですけれども、そういう事業として、この電力供給の事業が行われてるということに、本質的な問題があるというように思うんです。
我々が当初から、発送電の分離、電力の自由化を通じて、やはり競争を導入することによって、そもそも事故前から一般家庭に対する電力料金は、世界で一番高かったんですから。
『原発は安上がりな、クリーンなエネルギーだ』
といいながら、一般家庭に対する電力供給はお隣の韓国の3倍も高い、そういう電気料金を課してきたわけですから、それだけを見ても、競争によって電力供給の自由化をやれば、必ずコストも下げることができますし、そもそも私たちに選択の自由が与えられる。
こういうことをこの事故を通じて実現できなければ、これは世界的に見ても、
『日本はこの原発事故から何を学んだのかな?』
とこういうことになってしまうと思うんですね。
世界からの評価は4月4日で終わった
(上杉氏)正直なところ、残念ながら世界からの評価っていうのは、4月4日で終わったかな。昨年の。やはり海洋リークという、世界、人類公共の財産を意図的に汚し、更には事前通告もロクにしてない。まさに70年前のパールハーバーと同じようなことをやってしまったというのは、日本がどう思うかじゃなくて、世界がどう思うかが一番重要なのであって・・・
(今西氏)世界の評価ですからね。
(上杉氏)評価っていうのは、ほぼ確定したなっていうのは、その後アメリカ、フランス、中国と私行ってきたんですが、どこも印象としては、
「日本はそういう意味では国際的なプレーヤーとしては脱落してるな。国家は」
(柿沢氏)その日本がですよ、脱原発宣言がどうだはともかくとして、今ね、年末に野田総理がインドを訪問してるわけですけれども、核兵器保有国であり、核実験をやった国でもあり、NPTにもCTBTにも加盟してないインドに対して、
『原子力協定を早く結んで原発輸出をさせてください』
とこういう話をしてるわけですよ。
そもそも自らの原発をコントロールできないでこんな事故を起こしてしまった国ですよ。原発輸出で成長戦略だなんて、ちゃんちゃらおかしい・・・
国際的な恥をさらす日本
(今西氏)こんな欠陥商品出したらダメですよ。とんでもないことですよ。
(マコ氏)アホですよね。すごいセールス。
(今西氏)やっぱ結果責任ですよ。原発が爆発して、日本の存亡にもかかわる、いや世界の存亡にも。4つですから。爆破してるのが。
(マコ氏)そうですよ。
(今西氏)関わる中で、それ『はい、輸出します。買ってください』それを総理大臣がやってるようでは、やっぱり日本とはどういう国や!?みたいになりますわなぁ。
(柿沢氏)今回の事故を起こして、なおほとぼりが冷めたら元通りと、結局東京電力を始めとする9電力体制の地域独占が温存されて、日本は原発輸出で頑張りますみたいな話になり、尚且つ経済産業省か環境省か知りませんけど、お役人が退官後には、その電力企業に再就職をしていくような話になったら、これは本当にもう国際的な恥さらしだと思います。
(今西氏)一体ね、この事故で何を学んだかということになりますわね。
逆にこれくらいの事故があったから、そこにものすごく今、目がいって『なんとかせなあかん』という機運が国民的に盛り上がってるのに、また同じことやってたら、なんちゅう馬鹿な国や!!ってなりますわな。日本はね。
それでもなお原発の再稼働をするんですか?
(柿沢氏)去年1年間、3月11日以降の検証というのは、やはり非常に必要だと思うんですよね。ただ、国会にしろ政府にしろ、そうしたところの検証だけではなくて、民間ベースで一体何が行われて、どういうふうな形で報じられて、それがどうやって受け止められてきたのか。
こういうことも含めた包括的な検証を民間ベースでやらなきゃいけない。民間事故調じゃないですけど、そういうことが必要になってくるんじゃないかと思います。
今年の最大のテーマは何かと言えば、この状況を踏まえて、『それでもなお原発の再稼働をするんですか?』
こういう問いだと思うんですよ。
私はやっぱり原発の国民投票というのは、実はポピュリズムで非常に重要な問題になってくると思いますし、そこに向けて、本当に国民が政府にお任せをして、『安全だから大丈夫です』という政府のお墨付きで、原発が次々に再稼働していく。こういことを認めるのか?
こういうことが、私たち一人一人の国民に突き付けられていく。
そこで声を挙げていくことが求められる。
そういう1年になるだろうと思います。