放射性物質、セシウム以外も精密測定へ
食品に含まれる放射性物質について、セシウム以外の放射性物質もようやく検査されることになりました。
ストロンチウムやプルトニウム、アメリシウムなど、非常にリスクが高いとされる放射性物質の検査は
公には今までされることはなく、数値が公表されるのは正しいことではあるのですが…
いくつか気になることがあります。
食品の放射性物質、セシウム以外も精密測定へ
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20120106-OYT1T00714.htm
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厚生労働省は、食品に含まれる放射性セシウムの新しい規制値の安全性を検証するため、セシウムに加え、食品中のほかの放射性物質についても精密測定を実施することを決めた。
様々な放射性物質について正確な数値を割り出し、一般の人が標準的な食事で受ける年間の被曝(ひばく)線量が1ミリ・シーベルトの許容枠に収まっていることを確認する。
調査は新年度から始め、最長で5年間続ける。大学の研究者らに委託し、市場流通している食品を定期的に抜き出して、精密測定機器で継続的に検査してもらう方法を検討している。
4月から適用される新規制値は、様々な放射性物質の総量をセシウムの数値に基づいて合算する手法を採用している。原発事故で外部に放出された放射性物質は、セシウム以外にストロンチウムやプルトニウムなどがある。ただ、全ての放射性物質について個別に測定すると検査の負担が大き過ぎるため、同省はセシウムを目印として規制することで、全体の被曝線量をコントロールしている。
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まず時期について。
検査は2012年の4月から開始されるといいます。
最も被曝リスクが高かったであろう原発事故直後から1年以上の期間こそが、最も重要である
ことは誰にでもわかることです。4月まで待たず、検査は即刻行われるべきものです。
次に被曝の基準について。
一般の人が標準的な食事で受ける年間の被曝線量が1ミリシーベルトを超えること、
これは、低線量被曝の危険性を半分以下に減らしているICRPの基準です。
さらに、内部被曝と外部被曝を混同していると思われます。
ICRPの基準は、被曝のリスクをナガサキ・ヒロシマの被験データの半分の基準で作成し、
かつさらに20%リスクを少なく見積もっています。
実際には、年間0.4ミリシーベルトの基準がICRPのリスクモデルからなる基準値です。
外部被曝についての基準は年間1ミリシーベルトであっても、内部被曝を
同じ基準で考えることはできません。
スウェーデンやアメリカでは、年間0.1~0.2ミリシーベルトの内部被曝から、
ガンの発症率を30%増加させたいという統計データがあるといいます。
NHK:追跡!真相ファイル 「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」
http://sorakuma.com/2011/12/30/5404
また、検査体制も十分であるとは言えません。
大学の研究者による委託、それも抜き取り調査では、都合の良い研究成果だけを公開し、
新たな安全デマを助長するような自体になるかもしれません。
とはいえ、海外の第三者機関に対して全量検査を行うことが現実的かというとそれも難しいので、
これはやむを得ないのかもしれませんが…
下記のような自体にならなければいいと思います。
NHK:放射性物質は大丈夫?まるごとチェック!あなたの食卓に関する不審点[更新]
http://sorakuma.com/2011/10/30/5056
セシウム以外の放射性物質の危険性については、専門家や市民団体などが原発事故当初から訴えてきました。
そのことについては一つ前進であったとは思いますが、あまりに遅く、遅い割には至適であるとは
言い難いように思えます。
年末から原発関連の報道が一部正常化し、本当のことが少しずつ明らかになってきましたが、
まだまだ十分ではありません。
今後も、報道で足りない部分、誤魔化されてしまいそうな部分に注目していきたいと思います。