原子力は答えではない
「放射線1ミリシーベルトでも死ぬ、原発は平常時でも放射能をばらまき労働者を殺し温暖化を促進する」
ヘレン・カルディコット医師は、著書『原子力が答えではない』でそのように述べています。
カルディコット医師は、ノーベル平和賞を受賞した核戦争防止国際医師会議に関与し、個人としてもノーベル平和賞にノミネートされています。
特に重要な論点が、中鬼と大鬼のふたりごとにて以下のようにまとめられていました。
1 「原発は地球温暖化防止のためにCO2削減の救世主」は完全に嘘
2 原発を稼働させる為のウラン採掘は労働者の命を削っておこなわれている
3 ウラン精製も一つ間違えると大変なことになる、というかすでになった地域がある
4 原発から放射性物質が定期的に排出されるのはとても当たり前のこと
5 放射線で細胞の突然変異が引き起こされる
6 「安全基準」には科学的根拠がない:1ミリシーベルトでも人は死ぬ
7 プルトニウムはやっぱり猛毒
8 平常運転時でも原発から漏れている猛毒トリチウム
通常運転していても放射性物質ををまき散らしていること。
原子力産業における労働者が被曝のリスクを背負っていること。
わずかな放射線被ばくにおいても、死のリスクを抱えていること。
日本政府が言う安全な原子力、原子力発電の安全性とは、何の根拠もありません。
『ただ、事故など起こるはずがない』という前提を元にした、何の根拠もない空論に過ぎないのです。
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『原子力が答えではない』要点翻訳(1)放射線1ミリシーベルトでも死ぬ、原発は平常時でも放射能をばらまき労働者を殺し温暖化を促進する
http://onihutari.blog60.fc2.com/blog-entry-52.html
1 「原発地球温暖化防止のためにCO2削減の救世主」は完全に嘘
→ 原子力を稼働させる為に必要なウランを採掘して精製するのに莫大な量の化石燃料が必要
しかも、地球上のウラン鉱には限りがあって、ウランの質が近年どんどん悪くなってきている。
それを精製するのに更に多くの化石燃料が必要になってきている
→ 原発のコンクリ建屋を作るのに化石燃料が必要
→ 有害な使用済み核燃料を保管したり移動させたりするのに化石燃料が必要
→ このような事実を全く考慮せずに「原発はCO2を排出しないクリーンなもの」と原子力村は言っている
そもそも、CO2削減は地球温暖化の原因ではなく、結果である可能性もあります。
(温暖化した結果、海に溶け込んでいた膨大な量のCO2が大気中に排出された)
CO2削減を根拠に原子力を推進していくことは何の解決にもならない可能性があります。
また、原子力発電所は海水温より数度高い温排水を海中に廃棄し、それによって周辺の海域は温度が上昇しています。
海域の温度があがれば、海中のCO2を大気中に放出させることにも繋がります。
2 原発を稼働させる為のウラン採掘は労働者の命を削っておこなわれている
→ 例えばアメリカにおけるウラン採掘は、先住民のナバホやプエブロ族の居住地区でおこなわれている。
その結果先住民の人達がウラン採掘の仕事につくのだけれど、地下での採掘は気体化したラドン220を大量に吸ってしまう。
そのため、彼らの20~50%が肺がんで命を落としている。
調査によると、ドイツ、ナミビア、そしてロシアのウラン採掘労働者も同じように高い肺がん率で亡くなっている。
3 ウラン精製も一つ間違えると大変なことになる、というか既になった地域がある
→ コロラド州であった本当の話。60年代半ばに、ウラン精製の際にできた大量の残りかすを放射能で汚染されていると知らずにコンクリートに混ぜて使ってしまった会社があった。そのコンクリは学校、病院、個人の家、道路、空港、そしてショッピングモールなんかに使われた。
70年代になってから地元の小児科医達が新生児に口唇裂、口蓋裂やその他の先天異常が増えたことに気づき始めた。
米政府はそれについてコロラド大学に放射能コンクリートと新生児の先天異常の関わりについて研究を委託した。
しかし、その1年後に突如研究を打ち止めにし、その後原因究明はされていない。
日本でも既に放射性廃棄物をコンクリートに混ぜて建築し、放射線を放つマンションなどが話題になっていました。
これは今後日本でも発生しうるリスクとなっています。
4 原発から意図的または「注意に値しない小さな事故」によって放射性物質が排出されることはごくごく当たり前のこと
→ 原発内で人工的にウランを核分裂させる過程で200以上もの放射性物質が作られて放射線濃度を何十億倍も強くする。例えば、1000メガワットの普通の原子炉一基には広島原爆の1000倍もの放射線が内蔵されることになる。この高濃度の放射線は定期的に外に出す以外方法はない構造になっている。
→ 1974年にアメリカが保有していた全部の原子炉から放出された放射性ガスは648万キューリー。これは総量約2400億ベクレル(!)の放射性ガスが放出されていたことになる。全て「平常運転」でこの結果です。
→ 汚染された冷却水も同じように意図的または事故によって外に出される。
→ このように意図的、もしくは小さな事故によって排出される放射性物質についての研究はほとんどされてきていない。
意図的に行われる放射能排出についてはベントが知られていますが、日本で稼働している原発の半数は、このベントに構造的欠陥があることが指摘されています。
5 放射線で細胞の突然変異が引き起こされる
→ 放射線で引き起こされる突然変異は優生、劣性、または伴性突然変異。劣性変異で代表するものは糖尿病、嚢胞性繊維症、筋ジストロフィー、そして精神遅滞。典型的な伴性突然変異は色盲と血友病。
→ 確認されている遺伝子病は16,604種類もある(2006年当時)
→ 放射能によって破壊された染色体は、生まれてくる赤ちゃんにダウン症などの深刻な精神・身体の病気を起こさせる。
→ 奇形生成(teratogenesis)は体外からの放射線や胎盤から吸収され胎児に届いてしまい起こる。
6 「安全基準」には科学的根拠がない:1ミリシーベルトでも人は死ぬ
→ 私たちは年間約100ミリレム(1ミリシーベルト)の自然放射能を大地や太陽から浴びている。しかしこの年間100ミリレム(1ミリシーベルト)という値は7年間その量を浴び続けると125人中1人が癌を発病する値である。
→ Nuclear Regulatory Commission(米原子力規制委員会)は何の科学的根拠もなく、一般人は自然放射能100ミリレム(1mSv)に加えて人工放射能も100ミリレム(1mSv)までは浴びられるといった限界値を作った。要するに年間200ミリレム(2mSv)まで安全だと言えるようにした。
→ 原発労働者の基準はそこから更に引き上がって5000ミリレム(50mSv)。年間に50mSvを浴び続けると、50年後に5人に1人が発癌する。
→ 安全基準は健康な70kgくらいの体重の成人男性を目安に作られている。
→ 放射性物質と化学物質は相互に発がん性を助長する場合がある。
→ National Academy of Science (米国科学アカデミー)の報告によると、大きな事故のない通常時で私たちの年間被ばく量の18%は人工放射能から起きている。ちなみにその人工放射能被ばくの内訳の79%がレントゲンや核医学から起きて、5%が汚染されたタバコや飲み水、そして原発からの放射能になる。しかし、これは通常時の計算であって、定期的に放射性物質をベントする原発が増えたり、核廃棄物が増えることでこの18%がどんどん増えていくことになる。
7 プルトニウムはやっぱり猛毒
→ 100万分の1グラムのプルトニウムを肺に吸い込むだけで高い確率で癌が引き起こされる。プルトニウムは短いが強烈なα線ですぐに細胞を死滅させる。すこし威力が弱まると今度は周りの細胞を破壊してそれが変異体となっていく。
→ チェルノブイリ事故のメルトダウンでは0.5トンのプルトニウムが放出させられた。プルトニウム0.5トンという量は、もしもこれが全世界の1人1人に平等に配布されて被ばくしたとすると、私たちが肺がんで死亡する確率が1100倍増加するという値である。
→ プルトニウムが4.5kgあれば原爆が一つ作れる。
8 平常運転時でも原発から漏れている猛毒トリチウム
→ トリチウムはどんなフィルターでも濾過できないので、気体や水と一緒になり流出されやすい。
→ 年間に少なくとも1360キューリー(5000万ベクレル)のトリチウムが平常運転している原子炉一基から放出されているという研究結果がある。
→ トリチウムの出すβ線は遠くまで貫通しないが、逆にそれは付近の細胞に吸収されやすいという事を意味していて突然変異誘発性がとても高い。
→ 動物実験の結果、トリチウムの被ばくにあった動物の子孫の卵巣に腫瘍が発生する確率が5倍増加した。さらに精巣萎縮や卵巣の縮みなどの生殖器の異常、脳の縮小、精神遅滞、脳腫瘍、周産期死亡率の上昇、そして発育阻害や奇形の胎児が観察された。
→ トリチウムは食品に組み込まれ、体内のDNAに組み込まれてしまう。
→ 通常運転中の原子炉からトリチウムは放出されていて、付近で霧が発生した時や汚染された森林から放出される気体によって人々は被ばくをしてしまう。
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