甲状腺がんの被害は子どもだけではない
放射性ヨウ素の影響による甲状腺がんは、チェルノブイリの例から判断する限り、今後日本でも増加が懸念されています。
よくわかる原子力 – スリーマイル島、チェルノブイリ原発事故と被害の実態
そこには、『原因』と『結果』について、このような記載があります。
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放射能による食品汚染
地表や水が放射能で汚染されると植物・農作物が汚染されます。汚染された土地に棲み、よごれた水を飲み、汚染された植物を食べる動物はさらに体内に放射能を蓄積することになります。汚染地では、自家栽培の作物や家畜に頼らざるをえない人も多く、人々の体内放射能量は増加傾向が見られ、人々はいつも健康に対する不安を抱きながらの生活を強いられています。放射能による食品汚染は汚染された地域だけに限られた問題ではありません。チェルノブイリから1500キロ以上も離れたスカンジナビア半島にすむトナカイをはじめとして、イタリア、ギリシャ、フランス、を含むヨーロッパ諸国の野菜、家畜、ハーブ 、キノコ類など多種類の食品が汚染され、それが海外に輸出されます。日本では食品汚染の上限を370べクレル/kg と決められていますので、これをこえて汚染された輸入品は送り返されました。半減期の長い放射能(例えばセシウム137の半減期は30年)により高度に汚染された地域では、未だに農作物を食べることは危険です。
放射性ヨウ素による甲状腺癌の発生
事故直後、放出された大量の放射性ヨウ素は、甲状腺を集中的に被ばくさせました。ベラルーシの小児甲状腺癌の発生は、事故前は年間約1人だったのが、事故8年目には82人にも達しています。
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そして、そのその被害は子どもだけのものではありませんでした。
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スイス・チューリッヒに拠点を構える地方新聞Zeit-Fragen社が発行する月刊誌Current ConcernsのWeb版に掲載されていたグラフ。1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故後、隣国ベラルーシの甲状腺ガンの数が急激に増大している。
一般的に子どもの甲状腺は放射線の影響を受けやすく、被ばくにより甲状腺ガンのリスクが大きく増えるとされているが、原発事故が原因とされる甲状腺ガンの発病率は、大人も高いことを示している。
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