ドイツRBB:8/31放送。農村の抱える不安について
ドイツのRBBの8月31日の放送が日本語訳されていたので紹介致します。
農家の抱えている不安、私たちの抱えている不安。
日本で行われている検査に対する問題点とその指摘。
そして、今後日本で起きるかもしれない人々の健康被害について。
※日本語訳は動画投稿者のfunasashinogiさんによるものです。
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日本人の一致団結についてのニュースがこれまでにたくさんありました。
愛国心から被災地の果物や野菜を食べられてきました。
そこに住む人々を支援するためです。
しかしそれには、政府がその危険性を軽視した背景もありました。
フィリップ・アブレッシュ氏は再び現地へ向かい、
状況が変わっていることに気づかされました。
政府は更に情報を出し、放射能汚染された食料品に対する
恐怖を助長させました。
消費者と農家にとって被災地の果物、野菜、…そして
肉類が問題となっています。
中之条(群馬県。国産の桃です)の収穫期です。
桃の色は力強いオレンジ色に。
甘くてジューシー、完璧だと、農家の福田さんは伝えます。
しかし彼女は、今後のことを心配しています。
『福島は全て変わりました…。
…私はもう80年生きているけれど、こんな大変なことを
一度も経験したことがないです。一度だって。
大戦の後だってないですよ。』
福田さんの家族の農園は
原子力発電所から100km以上離れた場所にあります。
しかし、風が放射能雲をここまで運んできました。
検査官は桃にごく微量のセシウムを検出したのみでしたが、
ここ数週間買い手の足は遠のいたままです。
『彼らは、「何?中之条?福島から近いじゃないか!」と言います。
それは間違っているのですが、人々は来なくなりました。
彼らはもう何も買いません。
私のところでは、売り上げが三分の一に減りました。』
東北の他の農家では、状況は更に深刻です。
福島からの放射能汚染はゆっくりと食物連鎖の中に入りこみました。
肉類、米、野菜、牛乳、ほとんど全てからセシウムが見つかったのです。
農地で育つものを当局は、ランダムに検査することしか出来ず、
同時に規制値が引き上げられました。
しかしそれは政治的な決定に過ぎず、実際は健康を害するものなのです。
警戒区域で育った野菜でさえ、売っても良いことになります。
農家にとっては喜ばしいことです。
彼らは居場所を失うことを恐れています。
しかし多くの消費者は不安を抱えています。
『もう牛乳は買えません。
政府はいつも問題ない、安全だというけど、
ちゃんと正確に検出値を公表するべきです。
そうしたら、私たち自身で自分たちの食べるものが
安全かそうでないか決めることができる。』
都市部の若者たちが福田さんの農家を訪れました。
初めて自分で、木から桃を採ります。
最近、特に若い人は食品がどこから来るのかを
知りたいと思っています。
『先日牛肉からセシウムが見つかったばかりです。
そして今度は米。私たちの主食です。
政府の情報はいつも遅すぎます。それが一番怖いです。』
福田さんは自分でガイガーカウンターを買いました。
安全のためです。
同じように数値を公表することを国にも求めています。
被災した農家は補償されるべきであると福田さんは考えています。
汚染された食品は市場に出すべきではないと…。
『全てが怖いです。
国は農家を守ってくれますが、人の健康については
ほとんど気にしてくれません。
おそらく10年、20年、30年後に知ることになるでしょう。
福島が実際にこれから引き起こすことを。』
その時もこの家族は彼らの農園を歩いていきました。
豊かな収穫を得ることはできるのでしょうか。
桃。甘くてジューシー、そして願わくば安全な?
福田さんはそう願っています。
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放送で印象に残ったことは、
RBBでは、日本政府が守ろうとしているのは国民の健康ではなく、農村の利益であるとはっきり述べていることです。
その背景には、日本政府の『国家としての賠償をいかにして少なくするか』という考えが透けて見えます。
それが国民の健康、強いては生命を蔑ろにすることとどちらが重いかは、今後の歴史が証明することになるのかもしれません。