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ガンダーセン博士:がれき焼却による放射能拡散について(追記)

2011-08-30 | 震災・原発 | By: sorakuma


日本では報道されない情報はいつも海外から…

8月26日、『放射性物質環境汚染対処特別措置法』いわゆる、放射性がれき処理法が成立しました。放射性がれきを各自治体が処理する際、最大99%国から補助を行うというものです。
一見すると、被災地のがれき処理が促進され、被災地復興を行う上での助けになるように見えます。しかし、本当にそうでしょうか?

今回は、ガンダーセン博士ががれき処理の影響についてコメントしている動画を紹介させて頂きます。
前半は主に当時発生していた原発の再臨界現象の見解について。
後半はがれきを焼却することによる放射能の拡散についてです。

※日本語訳は、動画をアップロードしたdancingparticles3さんの訳を使用させていただいています。

9/6追記—-
千葉県市川市で9/6に検出されている個人測定の放射線グラフを追加しました。


* * * *
こんにちは。フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。
今日は2つのことを話したいと思っています。
前回の投稿、以降の出来事についてです。

最初は、ロシア・トゥデイやいくつかのブログで言われている情報への私のコメントです。
福島原発で亀裂があり、地面から煙や蒸気が出ている可能性についてです。
ここで言われている福島で起こっている事象とは、
原子炉の炉心が溶けて、格納容器をスルーし、地下水に達しているというものです。

私はロシア・トゥデイに出演しコメントするよう頼まれましたが、しかし断りました。
なぜなら、そのことを証明、または反証するに足る十分な確固たる技術的データがないからです。
それはあるいは起こっているかもしていません。しかし、そのことに結論を下すための十分なデータが、まだないと感じました。

しかし興味深いのは、蒸気が噴出しているというセンセーショナルな話題のおかげで、
それによって立証されうるもっと重大な問題が実際かげに隠れています。
その重大な問題の1つは、カリフォルニアからの先週の報告でした。
ある科学者のグループが、放射性硫黄35を待機中から検出したのです。
さる3月にもそれは起こりました。福島の事故発生から約2週間後のことです。

カリフォルニアで放射性硫黄が検出されたということで、マスコミで話題になりました。
しかしその報告は、もっと重要な意味を含んでいたのです。
それはニュースにはなりませんでしたが。
つまり、その放射性硫黄が、いったいどうやって生成されたのか?という点です。
さあ、太平洋を渡り、福島へ話を戻しましょう。

分かったのは、塩水が中性子線にぶつかったとき、放射性硫黄を生み出す、ということです。
つまり、塩水の塩素の核に一つの中性子がぶつかり、それが別の原子=硫黄となるのです。それが、そのメカニズムです。
しかし、その報告からわかるのは、カリフォルニアで検出された量の硫黄ができるには、1平方メートル中に4000億個もの中性子が必要なのです。
それは、もう膨大な量の中性子です。
しかし、それらがどこから来たのか、誰も尋ねませんでした。

先週のカリフォルニアからの硫黄の報告は、私が4月3日に皆さんに言ったことを立証するものだと思います。
原子炉が完全には停止していないということを示す十分な証拠がそのときもあったのです。

思い出して下さい。
津波が襲ったとき、原子炉はすでに約1時間ほど停止中だったはずです。
制御棒は燃料の間へ入り込み、全ての核連鎖反応を止めていたはずです。
しかしそのあと、核連鎖反応がまるでずっと起きていたのではと思えます。
今回のカリフォルニアからの新しいデータが、4月の時の私の推測を立証してるように私には思えます。
つまり、原子炉が停止した後も、再臨界がずっと続いていたのです。

次に重要なことも、同じく約2週間前に起こりました。
原子力規制委員会のミーティングがありました。
そこでNRCのスタッフから、委員会のメンバーに福島で起こったことの報告がありました。
そのリンクは、このビデオの横に示しています。

原稿の最初の60ページには、NRCのスタッフがメンバーに報告した内容があり、
それによると、福島の使用済み燃料プールは、ほとんど損傷を受けていなかったというのです。

さて、私にある人から質問のメールがありました。とても重要な質問です。
ここで今読み上げます。
この人は、ニュー・イングランド連盟のレイ・シェイディスという人です。
彼はこう言いました。

『あなたがたが、使用済み燃料プールは損傷していない、といったのを聞いて驚きました。
マスコミによれば、1センチそこそこの燃料の粒子が、使用済み燃料プールから1マイル以上離れた場所で見つかっている、ということではないですか。
それが私の疑問点なのです。2つの見解の違いをどう説明されるんですか?』

つまり、シェイディスさんが言いたいのは、プルトニウムが1マイルも2マイルも先で見つかっているのは、いったいどう説明がつくのか、と。
原子力規制委員会の返答は問題でした。控えめに言ったとしても…。

彼らの答えはこうでした。
61ページにありますが、グローブ氏は、このように答えたのです。

『これまで報告されている、原発から飛散した堆積物のほとんどは、
原子炉の中から出たもののようである』

そして2ページあとの63ページには、ハラハン氏がこう言っています。

『現地で飛び散った様々な形態の放射性物質は、使用済み燃料プールからというよりは、
原子炉の炉心から出た、というほうがもっともあり得る説である』と。

私にとってはそのほうが(燃料プールから出たという仮説よりも)
より問題のように思えます。
4月26日のことを思い出すでしょう。

3号機の使用済み燃料プールで、即発臨界があった、と私は仮定しました。
またこれを裏付ける、たくさんのデータもありました。
例えば、爆発の炎は、建物のプールがある側から出ました。
爆発の高さもそうです。
私は、そのことが1、2マイル先で見つかったプルトニウムの理由であると仮定しました。

原子力規制委員会の言っていることは、それよりもはるかに悪い事態です。
原子力規制委員会の言っているのは、原子炉が破壊され、中の燃料棒も破損している。
そして、このプルトニウムが自由になり、敷地外まで飛んでいったのだ、と。

私は彼らの見解が理解できません。
率直に言って、正しいとは思いません。

私は未だに、プルトニウムが降り積もった原因は燃料プール(の爆発)だったと思っています。
しかし、もし私の仮説が間違いで、損傷したのが燃料プールでないとしたら、
実際、原子力規制委員会のこの見解は、ずっと悪い事態です。

もし原子炉が壊れ、燃料棒も破損したことがプルトニウム飛散の原因だとしたら、
われわれは、アメリカ製の原子炉の設計を真剣に見直す必要があります。

次に簡単にお話ししたいことは、
福島第一の建屋を覆うテントがもうすぐ建設されようとしています。
それはあまり多くの問題を解決しないでしょうが、2つの問題を解決するでしょう。
このテントの目的は、敷地内の放射能を減じることです。
そのテントの内側の放射能は、しかしどこかへ逃さなくてはならないでしょう。
さもなければ、致死レベルの濃度にまで達するでしょう。

ですから、その放射能がどうされることになるかというと、
排気管の高さにまで貯まり、その高さで放出されることになります。
それは作業員によってはいいことです。
なぜならそのテントは、ずっと高い高さで放射能を排気するからです。
そしてそれは近隣の村にとってもよいことでしょう。

しかしそれは、『福島第一からの放射能放出』という問題を解決はしないのです。
あなた方にわかってほしいのは、福島第一に作られるこのテントをあなたが見たとき、
それでは全然問題の解決になっていないのだということを分かって欲しいのです。
そのテントは、セシウムの堆積を敷地から遠くへと押し広げているのです。

作業員にとっては、彼らの被曝するセシウムを少なくすることは重要です。
しかしそれは、地球レベルで考えると、
我々全員が被るセシウムの量を減らすことにはならないのです。

そして、今日の最後のポイントです。
今、北日本全体にセシウムの堆積は拡がっています。
日本政府は、瓦礫であれ何であれ、1キロあたり
8000ベクレル以下の放射能であれば、その焼却を現在許可しています。

これがどういうことかというと、瓦礫約1キロあたり
毎秒8000核分裂(崩壊)が起こるという意味です。
そして日本政府は、その焼却を現在許可しているのです。
アメリカでは、その瓦礫は『放射性廃棄物』とみなされます。
そして何千年もの間、地下深くへ埋められていなくてはなりません。
しかし日本では、8000ベクレル/kg以下であれば、
日本政府がこれを焼却することを許可している…。

それだけではなく、これはもっと私が当惑しているのですが、
彼らは混ぜ合わせることを許可している…つまり、
もしあるサンプルが24000ベクレル/kgであるとして、
他の2つが放射能汚染のないものであれば、
日本ではこれら3つを混ぜ、平均して8000ベクレル/kgにする。
そして焼却が許される、ということになります。

このことは、多くの深刻な波及問題を含みます。
まず第一に、基本的にそれは福島原発から出た放射能であり、
それが今地上に積もっています。
それが再び空気中に浮遊することになります。

時間と手間をかけて、その周りの街や、付近の学校、
除染されたはずの学校の校庭までもが、
そのような瓦礫の焼却により、再びセシウムが堆積していっています。

日本では今、このような焼却を行ういろいろな地域から出た放射能の雲が
これまでクリーンだった地域や、低レベル汚染だった地域を再び汚染しています。
実際、以前より高い放射能汚染になっているともすうぐ分かるでしょう。

放射能は日本の国内にとどまりません。
もちろん太平洋の向こうの国々の北西、太平洋沿岸をも汚染します。
ですから、放射能汚染されたがれきの焼却を許すことは、
基本的に福島事故をまた最初から全部繰り返してることになるのです。
せっかく地面に堆積した放射能を、再び空気中へ送り込んでいるのです。

また、地面へ積もった放射能が河川へ流れ込んでいる、というデータもあります。
そして、それが海洋へと流れています。
福島原発からかなり遠い海へまでも。
ですから、福島原発の現地に注目している間に、実際には今、
ずっと遠くの河川で放射能が見つかっていますし、
それはまた海洋を汚染しつつあります。

日本は今問題を抱えています。
それも難しい問題です。
しかし、その難問を解決するためには、
まずはじめに、そこに難問があることを認識しなくてはいけません。

今のような日本政府の、問題の重大さを無視し続けるという態度は、
実際には問題を長引かせることになっています。
そして最初から正しく対処した場合に比べ、
最終的にもっと費用のかかることになるでしょう。

日本政府はまず問題、それも重要な問題を抱えていることを認識する必要があると思います。
また、それを解決するのに膨大なコストがかかることも認識しなくてはなりません。
もしも…。
もしも、日本政府が『解決すべき重大問題がある』という認識を持ってことに当たるならばです。

ありがとうございました。
* * * *

今回のガンダーセン博士のコメントは、先日紹介させていただいたロシア・トゥデイの福島第一・地面から水蒸気が噴き出しているという内容の放送を受けてのものです。
本来、こういった専門家による分析は、日本で行われるべきものですが、そういった情報は最大の当事者である日本では黙殺・封殺されてしまう傾向にあります。
日本の情報が海外に伝わり、それがニュースとなることで初めて日本国民が本来知るべき情報を把握することができる…それが如何に異常なことであるか、お分かりになりますでしょうか。

これらの考察をそのまま100%受け取ることはできないと考える方も大勢いらっしゃるかと思います。しかし、こういった考察や検討、見解の中に、私たちが知るべき真実があると考え、紹介を続けていきたいと思います。

今回のがれき処理に関するガンダーセン博士の考察を裏付けるかのように、先日千葉の市川でこのようなニュースがありました。

【速報】千葉県市川市で個人測定の放射能値が異常中!『旭市から受け入れのがれき』焼却処理が関係!?日々雑感

がれきを焼却処理することで高線量の放射能が撒き散らすことにつながる危険性が検討されるべきです。
ガンダーセン博士の言うように、そういった問題を認識すること、正しく知ることから私たちははじめなければならないかもしれません。

9/6追記:
9/6時点での”千葉県市川市”の放射線量で異常なグラフを検出しています。
元サイトでは機器の故障の可能性を疑っていますが、真相は未だ不明です。

また、本件を裏付けるかのように、アメリカでも放射能汚染が社会問題となりつつあります。
The Mercury紙:放射能汚染のリスクを減少させることについて

フランスの研究機関では、アメリカをも汚染しているセシウムの状況をシミュレーションしています。
フランスCEREAによるセシウム137拡散シミュレーション

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