焼却灰が放射能を再拡散させる
環境省は15日、福島県にある産業廃棄物焼却施設から『144,000ベクレルを超える放射性セシウムが検出された』と発表しました。
また16日、宮城県にて震災がれき置き場から出火、炎上し、白煙をあげるという事件が発生しています。
震災がれき置き場から出火 宮城・名取 自然発火か
震災のがれきは多量の放射性物質を含んでいます。放射性廃棄物にいったんは付着した放射能が、炎上し、煙に乗って再び、地域および、世界に拡散しているのです。
これらの事象から言えることは、全国各地に分散した放射性廃棄物が焼却されることにより、放射性物質を拡散させ、その土地へ、人々への汚染を拡大させ続けているという事実です。
放射性がれき処理法は、8月26日に成立しました。
この法案は、震災で発生した大量の放射性がれき処理を、一定の基準値以下であれば、各自治体で処理可能なものとし、それについて国が支援を行うというものです。
既に多数の自治体から、福島のがれきを受け入れ、処理しても良いという打診があり、各地方で処理されているのですが、その実態はどのようなものでしょうか。
その内容は、環境省の「第六回災害廃棄物安全評価検討会」資料(8/27)に詳しく載っています。
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1/3 [PDF:1,293KB]
http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/06-mat_1.pdf
・災害廃棄物安全評価検討会(第6回)
・資料1 災害廃棄物安全評価検討会出席者名簿
・資料2 災害廃棄物安全評価検討会(第5回)議事要旨
・資料3 8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の焼却灰等の処分方法に関する方針(案)
2/3 [PDF:3,125KB]
http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/06-mat_2.pdf
・資料4 一般廃棄物処理施設における放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理について(案)
・別添資料1 一般廃棄物焼却施設における焼却灰の放射性セシウム濃度測定結果について
・別添資料2 一般廃棄物焼却施設における放射性物質のモニタリングについて
・参考資料1(いわゆる「放射性がれき処理法」(特措法)の骨子)
3/3 [PDF:1,875KB]
http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/06-mat_3.pdf
・参考資料1(特措法の全文)
・参考資料2 災害廃棄物の広域処理の推進について
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各自治体がどのように理解して放射性がれきを受け入れたのかはわかりません。あるいはそれは心情的なものであったり、福島の苦境をわかちあいたいといったものなのかもしれません。
ただし、その判断はその地、あるいはそこに住まう人々に対して確実に放射能汚染を拡大させます。
『別添資料1:一般廃棄物焼却施設における焼却灰の放射性セシウム濃度測定結果について』によると、各地で焼却灰からセシウムが確認されています。
1日あたり10,000ベクレル以上
東京都:江戸川清掃工場
千葉県:印西クリーンセンター
千葉県:和名ヶ谷クリーンセンター
千葉県:千葉市新港清掃工場
栃木県:広域クリーンセンター大田原
栃木県:日光市クリーンセンター
茨城県:日立市清掃センター
茨城県:土浦市清掃センター
茨城県:北茨城市清掃センター
茨城県:勝田清掃センター
茨城県:那珂湊清掃センター
茨城県:阿見町霞クリーンセンター
茨城県:くりーんプラザ・龍
茨城県:クリーンセンター
茨城県:環境クリーンセンター
岩手県:胆江地区衛生センター
福島県:東部環境センター
福島県:環境センター
1日あたり20,000ベクレル以上
千葉県:我孫子市クリーンセンター
千葉県:流山市クリーンセンター
千葉県:松戸市クリーンセンター
福島県:北部清掃センター
福島県:南部清掃センター
福島県:相馬方部衛生組合ごみ焼却場
福島県:南部衛生センター
1日あたり30,000ベクレル以上
栃木県:那須塩原クリーンセンター
茨城県:常総環境センター
岩手県:一関清掃センター
福島県:クリーン原町センター
福島県:もとみやクリーンセンター
福島県:西部環境センター
福島県:須賀川地方衛生センター
福島県:西白河地方クリーンセンター
1日あたり50,000ベクレル以上
千葉県:柏市第二清掃工場
福島県:あぶくまクリーンセンター
福島県:あらかわクリーンセンター
福島県:河内クリーンセンター
福島県:富久山クリーンセンター
福島県:清掃センター
また16日、流山市では焼却灰から22,900ベクレルのセシウムが検出されています。同センターでは、搬出できない焼却灰が既に350万トンたまっており、対応に苦慮しています。
こういったニュースは、5月時点で既に問題となっていました。
福島第一原発事故-下水汚泥、焼却灰の放射線汚染が全国に拡大、建材利用として既に流通か
汚泥焼却灰から放射性物質 都下水処理施設で3月採取
放射性がれきを受け入れるということは、否応なく放射能を自分たちの生活サイクルの中に取り込むということです。
健康被害を発生させたとしても因果関係を証明することはできません。統計として結果にあらわれてくるのは数十年後となります。
ガンダーセン博士は、がれき焼却を行うことによる放射能の再拡散について、はっきりと警鐘を鳴らしています。
ガンダーセン博士:がれき焼却による放射能拡散について(追記)
一方で、がれきを自治体に受け入れないとする動きも活発化してきました。あるいは、独自に対策を行っている自治体もあります。
東日本大震災:震災がれき受け入れ反対求め、福岡の27団体が市議会に請願書 /福岡
熊本へがれき受け入れ反対、避難者ら署名活動
震災廃棄物を考える会・京都
松戸市:放射能汚染防止のため、剪定枝・落ち葉及び草を燃やさない方針に
また、このようなニュースも上がっていました。
日本政府は、自国で処理できない核廃棄物をモンゴルで処理するよう打診していたようです。
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同計画は日本の経済産業省や米エネルギー省、東芝などが水面下で推進。一連の動きが海外メディアで伝えられ、モンゴル国内で強い反発が出ていた。大統領令はこうした国内情勢に配慮した措置とみられる。
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その一方、イギリスから日本の六ケ所村へ放射性廃棄物が流入しようとしています。
英国からのガラス固化体、六ケ所に搬入(2011/09/15 23:07)
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英国からの返還ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)76本が15日、六ケ所村にある日本原燃の貯蔵施設に搬入された。福島第1原発事故後初の固化体搬入で、英国返還分は昨年3月に続いて2度目。固化体は30~50年にわたり一時貯蔵されるが、その後に運び出す最終処分地は決まっておらず、青森県への〝核のゴミ〟の集積だけが進む。
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