環境省「みんなの力でがれき処理」一兆円超のがれき処理の影で餓死する人々
環境省細野氏は広域がれき処理の促進へ向けて、受け入れ自治体への財政支援策を公表しました。
瓦礫の焼却や埋立、焼却施設やその減価償却費、放射線測定の費用に至るまで、全て国、すなわち国民が負担するというものです。
がれき処理、財政支援策を発表
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東日本大震災で発生したがれきの広域処理の促進に向けて、細野豪志環境相は5日、受け入れ自治体への財政支援策を公表した。
放射性物質に対する住民の不安を払拭するため、自治体が放射線量を測定する場合、被災地でのがれきの測定費用のほか、焼却施設や焼却灰の測定費用を全額国が負担する。自治体が希望する場合には国が直接測定を実施し、地元で住民説明会を開く費用も国の負担とした。
がれきの焼却や埋め立ての費用については、施設の減価償却費を含めて国が補助金や特別交付税で全額支援する。
さらに、がれきを埋め立てたことで最終処分場の容量が減少した場合、それに見合った新たな最終処分場の建設についても財政支援する。
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環境省は、8月にも1兆円の補助金を計画していましたが、今回はさらに「全額を」国の負担とする壮大なものです。
がれき処理費、1兆円超に=補助金、大幅上積みへ―環境省(時事通信)
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東日本大震災で生じた災害廃棄物の処理事業費(地方負担分を含む)の総額が20日、当初想定の約6800億円から1兆円超に膨らむ見通しとなった。今後、被災した公的施設の解体などが進むにつれ、がれきの量が増加する見込みとなったためだ。環境省は、災害廃棄物処理事業の補助金を大幅に上積みする方針で、2011年度第3次補正予算案に1000億円以上を計上する方向で調整に入った。
政府は、これまで補助金を出していなかった、被災した公的施設が移転する場合の解体費用も補助対象に加えることを決定。被災地では損壊したままの市役所庁舎や病院、学校が多く残っているが、解体に国の補助が出るようになれば撤去が進む見通しだ。
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各自治体が、自らの生活圏に放射性物質を拡散させるリスクを犯してがれきを受け入れるのは何故だろうと常々疑問だったのですが、nanohanaさんにわかりやすい例が示されていました。
抗議殺到でも受け入れ表明が後を絶たない本当の理由 がれき受け入れは利権
1月時点の記事ですが、それによると、瓦礫受け入れには、瓦礫1トンあたり6万6666円の助成金が出るからであるとのことです。
この金額は受け入れたがれきを燃やし、焼却灰を埋める費用であって、がれきの送り出し側の選別やサイズをそろえたり、細かく砕いたりといった費用は含まれていない、とのこと。
今回の環境省の宣言で、かかった費用は全て国が負担するとあります。助成金、受け入れ費用に目が眩んだ自治体は、住民の反対を押し切り、自らの故郷を売って、数億、場合によっては数十億という予算を獲得することでしょう。
それは全て、瓦礫を全国に拡散させるために。北海道から沖縄まで、瓦礫助成金というパイを奪い合うように、まるで餓鬼のように各自治体は我先にと飛びつくことになるのでしょう。
環境省は1月、がれき処理を促進するためのプロジェクトの一環として、広域処理情報サイトを開設しています。
環境省 広域処理情報サイト
http://kouikishori.env.go.jp/
そこでは、各地でがれきを受け入れなければ瓦礫の処理はすすまないかのように書かれていますが、実際に被災地域外で処理することになっている瓦礫はわずか20%に過ぎません。
仮に全く受け入れなかったとしても、80%の瓦礫は県内での処理を行うのです。
一方、被災地、避難区域での被災者の餓死が報じられていました。
福島 避難区域で餓死の疑い
“餓死” 再発は防止できるか
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東京電力福島第一原子力発電所の事故で設定された福島県の避難区域内で、自宅などに取り残されて餓死した疑いの強い人が少なくとも5人いることがNHKの取材で分かりました。
警察や遺体の状況を調べた医師は、自力での避難や助けを求めることができず、取り残された可能性があると指摘しています。
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税金を使って瓦礫をばら撒く影で、本当に苦しんでいる人々がいます。
自治体責任者には、瓦礫は、おそらくは宝の山に見えていることでしょう。
そこに義憤に駆られ、被災地を救いたいと思う志のある人は一人もいないに違いありません。
なぜなら、福島県には、がれき処理を県内だけで行うことができるどころか、他県のがれき処理すら受け入れることができる余裕があるからです。
福島県のがれきは「県内施設で最終処分できる」上に、容量に余裕があるより
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細野豪志原発事故担当相が8月13日、福島県内の汚染がれきの処分に関し、「福島県を最終処分場にすべきではない」と述べ、放射性物質で汚染されたがれきの県外処分を検討すべきだとの認識を示したが、震災で発生した福島県のガレキは県内で十分に処分することが可能であることがわかっている。
福島の地元紙福島民友は、福島県内のがれきの総量は、浜通り沿岸部を中心に約220万トンで、県内の最終処分場の埋め立て残余容量が約450万トンあることなどを踏まえ、「県内施設で処分できる」とする県産業廃棄物課のコメントを伝えている。
県内で最終処分が可能などころか、他県の放射性ガレキの一部を受け入れる余裕がある。
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一方、瓦礫を受け入れ先の東京では、放射能を含む汚泥や焼却灰により、一部処理不能に陥るほどの事態となっています。
様々な混乱を引き起こし、被災地に餓死者を出し、何をやっているかといえば、それは巨大な利権構造があるといいます。
瓦礫の危険性とトリックを正しく知ろう/瓦礫利権流れチャート図
瓦礫が本当に安全だというのなら、これだけの助成金を被災地自身でがれきを処理するために使用し、地域の活性化や雇用の強化に投資するべきではないでしょうか。
政府やマスコミが言う、見た目上美しい言葉は、金と利権に塗れた汚らしい別のものに見えてきます。
その代表的な言葉である「絆」。その語源は諸説ありますが、動物を繋ぎとめる網という意味で共通しているそうです。
本当に必要なことは、放射能を封じ込め、閉じ込めることです。
税金を無尽蔵に使って、瓦礫を全国に拡散させる必要はどこにもないのです。