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コメがセシウム吸収率が低いという話は、『風評』かもしれない

2011-09-28 | 震災・原発 | By: sorakuma


セシウム米に関する捨ておけないニュースがありましたので、紹介します。

田崎和江金大名誉教授が、飯舘村の土壌(50000Bq/kg)でコメを栽培したところ、2600Bq/kgのセシウムを含んだコメが出来上がった…ということです。

飯舘村の土で栽培のコメ、基準5倍超セシウム 金大・田崎名誉教授が実験

気になるポイントは2つあります。
・セシウム米は、吸収率が低いのではなかったっけ?
・土壌から5%吸うのであれば、ヒマワリよりセシウム吸収率がいいことにならないか?

セシウムに関する吸収率については、日本土壌肥料学会に記述があります。

放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説

* * * *
Q8. 作物ごとに吸収される放射性セシウムの量を知る目安はありますか?

A8. 放射性セシウムが土から作物へ吸収される量を示す数値を、「移行係数」といい、作物ごとに算出されています。
たとえば、土から白米への移行係数(白米1 kg当たりの放射能濃度/土壌1 kg当たりの放射能濃度の比)は0.00021~0.012と報告されています。数値に幅があるのは、土の性質や畑に入れる肥料によって、作物が吸収するセシウムの量が変わるからです。

政府の原子力災害対策本部では、「移行の指標」として0.1という値を用いています。この値は、かなり安全側に配慮した指標であると考えられます。
* * * *

まず1点目、セシウム米は、吸収率が低いのではなかったかについて。
報道では、50000Bq/kgの土壌から2600Bq/kgのセシウム137の籾米ができあがった、とあります。
単純にこの時点で、5%土壌からセシウム137が移行しています。
セシウム134について記述がありませんが、仮にセシウム137とセシウム134が1:1であれば、50000Bq/kgの土壌から5000Bq/kg相当のセシウム米が出来上がっている可能性があります。

設定されている作付制限では5000Bq/kgですが、仮に同じ比率が移行したとすれば、5000Bq/kgの土壌から、250Bq/kg~500Bq/kgのコメができあがることになります。
勿論土壌によって移行比率が異なるのは事実ですが、今出荷されている汚染地のコメはほんとうに大丈夫なのでしょうか…。
検査はサンプル調査であり、あくまで氷山の一角であるといいます。
50Bq、あるいはNDとして報告されている検査結果をそのまま信用していいものかどうか、と思わせる内容です。

—-

次に、土壌から5%吸うのであれば、ヒマワリよりセシウム吸収率がいいことにならないか?

* * * *
今月中旬に稲を刈り取り、北陸環境科学研究所(福井市)で各部分のセシウム137を 分析し、1キロ当たりの線量を割り出した。その結果、籾米(もみごめ)からは、最も高 い2600ベクレルが検出された。わらは2200ベクレル、根は1500ベクレルで、 土壌の線量は5万ベクレルだった。
* * * *

今回50000Bq/kgの土壌から、籾米+わら+根で6300Bq/kgのセシウム137が検出されています。
同様にセシウム134とセシウム137が1:1で存在しているとすると、12600Bq/kg、実に1/4がコメに移行したということになります…。

農林水産省によるとヒマワリの除染効果、移行係数は1/2000であったといいます。

* * * *
農林水産省から http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/110914.htm において、
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-08.pdf が9月14日付で公表されました。
これによると、ひまわりの吸収するセシウムは土壌の1/2000なのでごく微量であり、ひまわりによる除染は効果が薄い。とされています。
* * * *

コメで1/4、セシウム137だけだったとしても1/8移行するのであれば、ヒマワリよりコメを栽培したほうがよほど除染効果は高いことに。

元々のニュース、研究結果が正しくニュースとして伝えられているかどうか、情報が不足しているのでなんとも言えません。
土壌の放射性物質50000Bq/kgがセシウム137だけのものか、他の放射線核種を含んでのものか。
コメが吸収した6300Bq/kgがセシウム137だけのものか、セシウム134は別勘定か。
コメがセシウムを吸収した後、土壌の放射性物質はどれだけ残っているのか。

ひとつだけ確かなことは、コメのセシウム吸収率は低くない可能性があるということです。
5000Bq/kgの土壌からでも、条件次第では250Bq/kg~500Bq/kg程度のセシウムを含む可能性があることに。
コメの検査はサンプル抽出によるものです。実際に流通しているコメの汚染状況は、公表されている数値より大幅に悪い可能性があります。
コメが安全であるというのはそのように見せかけられた『風評』なのかもしれません。

11/20追記—-
『籾米のセシウムですが籾を外した玄米ならどうなのでしょうか?』
コメント、ありがとうございます。

こちらに関しては、下記のエントリに興味深い情報がありました。
【放射能汚染食品】稲・白米への放射性セシウム、放射性ストロンチウム90の移行係数はあてになるか?
http://safe-food.seesaa.net/article/234531460.html

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イネにおける部位別乾燥重量とストロンチウム、セシウムの分布割合

放射性ストロンチウム90
 白米:1%
 ヌカ:2%
 もみ殻:4%
 ワラ:87%
 根:6%

放射性セシウム137
 白米:7%
 ヌカ:10%
 もみ殻:7%
 ワラ:73%
 根:3%

乾燥重量
 白米:34%
 ヌカ:4%
 もみ殻:8%
 ワラ:50%
 根:4%

出典:SPA!が(財)環境科学技術研究所の資料を基に作成した資料

(財)環境科学技術研究所の塚田祥文氏の調査によると、イネが土壌から吸収した放射性核種がイネ全体に移行する割合は、ストロンチウム90が0.09%、セシウム137が0.003%。そのうちそれぞれ1%、7%が白米部分に移行し、大部分が藁など“食べない”部分に移行するという。

一方で、まったく逆のデータもある。田崎和江・金沢大学名誉教授が福島県飯舘村の水田の土を使ってイネを栽培し、収穫したコメ(籾米)から2600Bq/kgのセシウムが検出されたという。藁は2200Bq/kg、根は1500Bq/kgで、土壌の線量は5万Bq/kg。塚田氏のデータとはまったく違う数値が出た。「可食部の放射線量が最も高くなり、衝撃を受けた」と田崎教授は語っている。二本松市の検査では、500Bq/kgを超えたコメがつくられた土壌は3000Bq/kgだった。土壌からの移行率が高すぎる。これはどう考えたらいいのだろうか?
—-

もうひとつ、こんな話もあります。

ウラジーミル・バベンコ氏記者会見質疑(2011年10月12日)
http://sorakuma.com/2011/10/28/5015

—-
…土壌がより多く汚染されているからといって、そこで必ずしも非常に汚染された野菜や農作物ができるとは限らないからです。現在、我々は食品の測定データを集めまして、そのような結果を得ています。つまり、必ずしも比例するものではない。そのような、ここが大変高度な汚染地域だと言われているところでつくられた食品も、必ずしも高い汚染をしている食品が必ずできるとは限らないからです。
私たちは、例えば100カ所のいろいろなレベルの汚染地域でとれた食品について測定を行ってきましたが、高い汚染地域だから必ず高いところ、低い汚染地域だから安全な食品・農作物がとれるといった、そのような直接的な関係が認められませんでした。
—-

植物が、カリウムをセシウムと誤認して摂取している以上、カリウムがどれだけ土壌に豊富に含まれるか…などの外部要因にも大きく関わってくる事になると思います。
一概に移行係数を当てはめたり、分布割合を定めたりすることはできない可能性があることを認識しておく必要があると思います。

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Comments

Comment from けん
Time 2011年11月20日 at 7:28 AM

籾米のセシウムですが籾を外した玄米ならどうなのでしょうか?

Comment from sorakuma
Time 2011年11月20日 at 8:51 AM

けん様、コメントありがとうございます。

返信コメントが長くなりましたので、記事本文に追記させて頂きました。
ご参考までに。

Comment from MK
Time 2012年1月26日 at 2:17 PM

これは合計ではなく平均を使うべきでしょう.「籾米+わら+根で6300Bq/kgのセシウム137が検出されています。」

Comment from MK
Time 2012年1月26日 at 2:20 PM

追伸)正確には荷重平均ですね.重量比が1/3ずつではないでしょうから.

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