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肺がんと放射線の関係について

2011-09-10 | Interested, 震災・原発 | By: sorakuma


先日、武田教授の『タバコと肺がんは無関係』は本当かというエントリを書きましたが、これに関連して、さらに興味深い記述を見つけたので、紹介致します。

検診と放射線
プルトニウムに限らず、X線診療をはじめとする放射線とがんの発生に関して医師の立場から見解が述べられています。


特に重要と思われる一部を抜粋すると…
* * * *
1945年から起った白血病の増加は、北半球の中緯度地帯にある多くの国でみられる。大気中の放射性物質は1952~1962年にピークとなっており、白血病は1970年頃から各国で減り始めているのに、我が国の白血病はなお増加が続くことと、学童では胸部検診が1972年以降行われなくなったとたんに白血病が減っていることを考えると、結核集団検診が、白血病増加の一因であったことは明らかである。

大気圏内での核実験がほとんど北半球の中緯度地帯で行われ、生成された放射性物質が偏西風にのって拡散したので肺がん増加もこの地域に多い。中国・ソヴィエトによる天山山脈セミパラチェンスクでの核実験は西側にある日本で白血病・肺がんを増やしている。

この日本の肺がん過剰死亡者の半数が核実験によるものとすると30万人となるが、核実験の被害は60年以上続くので、今も死亡数は増え続けている。

大気圏内核実験は、北半球の中緯度地帯で行われた結果、日本でも、この地帯の多くの国と同じように1945年以降は肺がんの増加が起っている。1962~1972年に大気中に含まれるプルトニウムの量がピークとなり、これに応じて肺がんが1995年にピークとなり、その後は減り始める国が多いのだが、日本では この あとも増加傾向 にある。

日本の肺がんの増加は世界の多くの国で起ったように大気のプルトニウム汚染が一つの原因であるが、これによる被曝はほぼ肺に限られ、肺がんだけを増やしている。もう一つの原因である胸部撮影では、肝臓・胃なども同時に被曝している。

喫煙者では気道上皮が損傷されており、大気に含まれるプルトニウム等を吸い込んでも排出する力が弱っているので、肺にプルトニウムが蓄積されることから、肺の被曝量が多くなり、肺がんが増える。

喫煙者で特に肺がんが増えるのは大気中の放射性プルトニウムが増えたのが原因ではあるが、これも今では1952~1962年のピーク時に較べて50分の1に減っているので、喫煙によって肺に蓄積されるプルトニウムもかなり減少しており、肺がんになることも少ないので、禁煙の効果も少ないだろう。
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ほぼ放射線及び放射性物質が肺がんの原因となっているという内容になります。
最近問題になっていますが、日本における過剰なX線診断も、がんを誘発している可能性が指摘されています。
がん検診、でがんになる、としたら、それはとても皮肉な話です…。

この報告では、次のようにまとめられています。
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ま と め
放射線の危険度を我が国の白血病・肺がん・肝がんの動向から検討した。以下のことを少しは明らかに出来たと思っている。
1)  放射線の危険さは、ICRPの値が妄信されているが、検診で利用された放射線の影響は追跡されておらず、根拠がない。今回検討したところでは、放射線のリスクはかなり高い。割に早く現れる白血病についても、検診の効果検討で問題にされて い ない。医療で診断に利用している放射線が白血病死増加の原因でないかとの予防がん学(平山 雄著)での指摘も10年以上放置されている。放射線の影響は30年以上追わないと明らかにならない。
2) 高令者では被曝してもあまり影響がないとの説があるが、若年者と較べて白血病は多発し、がん増加は同じ率であり、高令者での放射線被曝の危険さは、若年者より高いと考える。
3) 肺がんの増加は大気圏内での核実験が主要原因だが、日本では結核検診での胸部撮影も影響している。
4) 日本の肝がんは結核検診での被曝量に関係がある。予防注射のまわし打ちによるC型肝炎の増加は副次的である.
5) 放射線を利用したがん検診の効果は放射線被曝で起る白血病・がんの増加で完全に帳消しになる。
6) がん検診を主導する医師は、放射線の閾値は300ミリシーベルトであり、これ以下の線量で行われているがん検診とか医療診断では、放射線の影響は無視してよいレベルと主張している。(www.yobouigaku-tokyo.or.jp/lb16_xry.htm 「検診と放射線」舘野之男)。だが、かなり少ない線量で行われた結核に対する胸部撮影でも、肺がん・肝がん・白血病をかなり増やしていることは明らかであり、胃がん検診が胃や周囲の臓器のがんを増やしていることを推測させるものである。医療で利用されているX線撮影も相当危険であるので、必要最小限にとどめる必要がある。

胸部検診の被曝線量は1950年には80ミリシーベルト、1970年には4ミリシーベルトと推定したが、この線量は多めに見込んで検討した。現今のマンモグラフィや胃がん検診では1ミリシーベルトと言われているが、検診を行う施設によっては10倍ほどの差がある。
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大気中に放出されたプルトニウムは少なくとも32億ベクレル以上。この医師の考察のとおりであれば、おそらくは、私たち日本国民は今後60年にわたり、致命的な確率で肺がんを発生させることになる、というのが避けられない現実なのかもしれません…。

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