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武田教授の『タバコと肺がんは無関係』は本当か[更新]

2011-09-09 | Interested, 震災・原発 | By: sorakuma

中部大の武田教授の『タバコと肺がんは無関係』という発言が物議を醸しています。

「タバコと肺がんはほぼ無関係」 武田邦彦教授発言は暴論なのか

根拠となっているのは、国の統計データです。
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ブログでは、国の統計データから、この40年間で、男性の喫煙が8割から4割へと半減し、女性は2割弱で変化がないことを指摘。それにもかかわらず、男性は7倍に、女性は数倍に肺がんが増え、男女合わせれば5倍以上に増えていることから、タバコが肺がんの主要な原因とは言えないとした。
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仮にタバコが肺がんの主たる原因であれば、喫煙者の劇的な減少にあわせて肺がん発生率が減少してしかるべきなのですが、肺がん発生率は統計的には5倍以上に増えています。そこに相関関係はあるのでしょうか。

一方で同記事では、『国立がん研究センターで1966~82年に、当時の平山雄疫学部長が喫煙の影響を調べたところ、喫煙者は非喫煙者に比べ、男性が4.5倍、女性が2.3倍も発がん率が高かったことを挙げた。また、アメリカのがん協会が82~86年にがん予防研究の調査をしたところ、男性は22.4倍、女性は11.9倍もの高い発がん率を示した』、として、タバコと肺がんの関連性を主張しています。

しかし、タバコが肺がんを誘発することについての説明は可能ですが、肺がん患者の絶対数が増加していることの説明にはなりません


これに対して、タバコと肺がん以外に、もう一つ副次的な要素があった場合どうでしょうか。

例えば、最近32億ベクレル放出されたというプルトニウムです。プルトニウムは肺に吸着した場合、ホットパーティクルを形成し、ほぼ100%の確率で肺がんを発生させる極めて危険な放射性核種です。

タバコ(プルトニウム)による発ガン性FXクリリンの修行日記

同様の事象に気づき、統計データの相関の有無を確認された方が、もう4ヶ月も前にいらっしゃいました。
こちらのエントリでは、プルトニウムの放出量と肺がん死亡率の関係性について、下記のように記述しています。
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オレが調べて驚いたのは核実験により日本に降った「プルトニウム」だ。
近年の肺がん死亡率増加はこのプルトニウムの汚染に
比例していることにオレは気付いてしまった(><)。
タバコの肺がんの原因はこのプルトニウムだと断定して良いだろう。
全国に堆積するプルトニウムの量が増加し、今後未来永劫、日本人は国産のタバコを吸えない状態になる。
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このエントリでは原因を国産のタバコと断定していますが、それには疑問が残ります。
JTの検査により、国産のタバコに付着した放射性物質はおそらくはないことが明らかになっているからです。

ニコチンはあれど放射性物質はなしーJTが葉タバコの放射性物質検査を開始
※ただし、この検査は全アイテム検査ではなくサンプル調査であり、JT社内の暫定基準(放射性セシウムが1キログラム当たり500ベクレル、ヨウ素が同2000ベクレル)によるもので、その検査が十分かどうかは疑問が残ります。

独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターでは、肺がんの項目で次のような説明を行っています。
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男性の肺がん年齢調整死亡率は、1960年以降、5か国全ての国で著しく増加した(図1、左)。1960年から1970年代における、アメリカ、イギリス男性の年齢調整死亡率は、日本、フランス、イタリア男性と比較して非常に高かった。イギリス男性の肺がん年齢死亡率は、1970年後半に、アメリカ男性の肺がん年齢調整死亡率は1990年頃にピークが観察されている。日本、フランス、イタリア男性の肺がん年齢調整死亡率は、1960年以降増加したが、その後1990年頃には、平衡状態(日本とイタリア)、あるいは、減少傾向(フランス)に転じている。これら5か国の肺がん年齢調整死亡率は、近年、差が小さくなっている。

女性の肺がん年齢調整死亡率は、イギリスとアメリカでは、1960年以降急激に増加したが、1990年頃には平衡状態に達した。日本、フランス、イタリアの女性の肺がん年齢調整死亡率も1960年以降徐々に増加したが、その増加の程度はイギリスとアメリカに比べ緩慢であった。日本、フランス、イタリアの女性の肺がん年齢調整死亡率は、2000年段階では、まだ減少傾向が観察されていない状況である。
* * * *
Via:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター – 肺がん

日本における死者数の推移は次のようになっています。

タバコの生産量はどうでしょうか。国内におけるタバコの生産本数は、1970年代後半がピークとなり、90年代後半まで高い状態となっています。肺がんの死亡者数と類似の形状にありますが、喫煙者の増加により肺がんが増加するのであれば、肺がんの増加に遅れてタバコの生産量が増加するのには若干の違和感があります。


Via:財団法人 健康・体力づくり事業財団

喫煙人口の推移を考えてみます。

Via:社会実情データ図録 – 主要国のたばこ喫煙人口比率の推移
主要国ではたばこ喫煙人口は共通して減少傾向にあります。タバコが肺がんの原因であれば、喫煙人口が半減すれば肺がん発生者も半減するはずですが、統計的に反比例することは考えづらいです。

次に、大気中のプルトニウムはどうでしょうか。
Via:Artificial Radionuclides in the Environment 2007 – 大気降下物及び海水中のプルトニウム
プルトニウムは1960年代に最も活発に行われた核実験の規模に反映していきます。
プルトニウムの拡散が広かったのは1960年代がピークであり、この時大気中に放出された大量のプルトニウムが、時間をかけて地上に落ちていきます。その傾向は、肺がんの死亡者数と同様の傾向を示しているように見えます。

最近の動向はどうでしょうか。

最近の降下物中のプルトニウム(Artificial Radionuclides in the Environment 2007)によると、次のような記載があります。
* * * *
1985年以降は大気圏中国核実験による成層圏フォールアウトの影響がなくなったにも拘わらず、成層圏フォ-ルアウトから期待されるレベルより高いプルトニウム降下量が観測され現在に至っている。
1985年以前と比べて、プルトニウム年間降下量は過去20年間系統的な減少を示していない。
2006年の春期には、2000-2002年と同程度の高い降下量が観測された。
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むしろ増加傾向にあります。プルトニウムの半減期を考えれば、何らかの形で大気に放出されることはあっても、降り積もったものが消えることはないのです。そのため、プルトニウムが肺がん発生の原因であるならば、1960年代以降近年まで続く肺がん死者数の増加も説明がつくことになります。
しかし、喫煙者の肺がん罹患率が高いのはなぜでしょうか…。

素人考えですが、原因がプルトニウムにあった場合、プルトニウムが肺に吸着し、ホットパーティクルをつくるための条件に関係があるのではないかと推測しています。よく知られていることですが、喫煙者の肺はタールの沈着により黒く変色していきます。通常の健常な状態と、タールの沈着を受けた状態では、プルトニウムの吸着のしやすさに差があるのではないでしょうか。
そうであれば、タバコの喫煙者に肺がん罹患率が高いことに説明がつきます。
肺がんの患者数、死者数は、地上に存在するプルトニウムに依存すると考えると、説明がつくように思います。

また、世界的な原子力産業の政財界やマスコミに対する影響力を考えれば、表立ってプルトニウム(原子力産業)が原因であると発言することができないといった背景もあるのかもしれません。そう考えたとき、タバコは原子力産業による肺がん発生の増加を隠すためのスケープゴートとして使用されたのではないか、と考えてしまうのです。

これらは全て推測ですが、こういう推測が存在する以上、統計学的な、あるいは医学的な見地からの専門家による回答がなされるのも時間の問題でしょう。
なにより、今回の福島原発事故で放出されたプルトニウムは32億ベクレルを超えると言われています。

米国で検出された今までに例が無いレベルのプルトニウムがそれを証明しています。
米国でプルトニウム・ウランが検出される:過去20年間で最大値!プルトニウム239やウラン238が大幅上昇

仮にプルトニウムが肺がんの原因であった場合、今後数年、爆発的に肺がん患者及び死者が発生するでしょう。
もちろん、喫煙者が肺にプルトニウムを吸着しやすいという仮説が正しければ、喫煙者は片っ端から肺がんを発生させるはずです。
この仮説は数年先に残酷な統計という形で立証されるのかもしれません。

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Comments

Comment from 匿名
Time 2011年10月8日 at 10:41 AM

こんな記事があります。これが本当だとすると、タバコ+プルトニウムでダブルの放射能ということですね。

たばこ会社が絶対客に知られたくない真実… 煙草には放射性物質が入っている

http://www.gizmodo.jp/2011/10/the-secret-tobacco-companies-dont-want-you-to-know-theres-radiation-inside-cigarettes.html

Comment from sorakuma
Time 2011年10月8日 at 11:33 AM

これはヤバい・・・
ニュースにならないではなく、ニュースにできないレベルですね。
原文のABCニュースもあわせて読んでみようと思います。ありがとうございます。

Comment from Yoshiki Fujiwara
Time 2011年11月9日 at 9:29 PM

肺がんの主な原因はタバコにあるのではなく、シガレットに含まれる化学物質にあるのではないか。私見だけれど、70年ぐらいまではあまり化学物質は使われず、以降、多く使われるようになってガンが増えてきた。米国のHealth Ranger(http://bit.ly/syB4DD )のMike Adam の記事(http://bit.ly/vy32B8)を読んで思いました。喫煙者が減っても、喫煙者の癌が増えているということです。 

Comment from sorakuma
Time 2011年11月9日 at 10:55 PM

リンク先拝見させていただきました。
シガレットや加工食品などに含まれる発癌性化学物質。ハムなどの加工肉の発癌性の話は聞いたことがあります。

私の放射性物質が起因するのでは…という見方と同様、発癌性を高める何らかの要因、または複合的な要因が、喫煙とは別にあるのでしょうね。

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