SPEEDIと文科省汚染マップを比較する
トップの画像は、9月に公開された、3月~5月までのセシウム137の積算沈着予測予測を示すSPEEDIの汚染マップです。
セシウム137と134の比率はおよそ1:1となるため、セシウム137・134の合計で見ると2倍の予測となります。
福島第一原子力発電所事故に伴うCs137の大気降下状況の試算(SPEEDI)
http://nsed.jaea.go.jp/fukushima/data/20110906.pdf
SPEEDIによると、東京西部の汚染はまず3月15日にもたらされました。
続いて3月21日、東葛地区をはじめ、東京・千葉・埼玉といった人口密集地帯が汚染されました。
広範囲にわたって、10,000~100,000Bq/m^2というレベルでの汚染となります。
セシウム134・137を合計して10,000Bq/m^2未満である、としています。
SPEEDIの地図では、3月21日のセシウム137だけで首都圏の大部分が10,000~100,000Bq/m^2の汚染であると予測しています。
首都圏に降下したセシウムは、SPEEDIの試算の半分以下となるほど少ないものだったのでしょうか?
東京新聞によると、東京のセシウムの降下量は平均で10,000Bq/m^2を超えています。
仮に汚染が均等なら、東京全域の濃度が塗り変わるレベルです。
朝日新聞からも放射能の汚染推測マップおよび汚染ルートマップが公開されました。
好意的に解釈するなら、朝日新聞の記者はSPEEDIで公開されている情報を把握していないのではないかと思います。
文科省の汚染マップを元にしていると記載はありますが、文科省の汚染マップよりさらに汚染の程度が過小評価されています。
放射能、2ルートで関東に セシウム汚染図12都県分
http://www.asahi.com/national/update/1023/TKY201110230360.html
朝日新聞の記事によると、放射能のプルームは東京、神奈川を避け、首都汚染はごく一部にとどまった、としています。
その言葉の通り、東京、神奈川の汚染は最も軽度である、としています。
文科省マップで記載のある東京西部の深刻な汚染さえ、ルートに反映されていないように見えます。
一方、早川教授の提示した汚染ルートマップは下記になります。
こちらは、文科省マップと重ね合わせた時、驚くほどの一致を見せていました。
汚染ルートとタイミング(早川由紀夫火山ブログ)
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-430.html
果たして、いずれが汚染の状況をより正しく反映しているのでしょうか。
個人的な見解としては、最も正しい情報はSPEEDIの第一報であったのではないか、と考えています。
その後に公開された地図に関しては、『様々な意図、意向を反映した』地図となっている可能性があるからです。
いずれ、本当の汚染状況を示す地図が出てくることがあるならば、数十年後、東日本全体が死の土地として知られるようになった時なのかもしれません。