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キセノン検出に関する有識者のTwitterまとめについて

2011-11-03 | 震災・原発 | By: sorakuma

11月1日、2日と放射性物質であるキセノン133(半減期約5日)、キセノン135(同約9時間)が検出された件について、有識者のTwitterがまとめられていたので紹介いたします。

2011-1102 キセノン検出・再臨界について牧野さんと押川さんのTw
http://togetter.com/li/208691

@aquamasaさんによるキセノン検出に関する考察
http://togetter.com/li/209046

2011年11月2日キセノン臨界騒動
http://togetter.com/li/208588

東京大学 物性研究所 押川正毅教授の臨界の説明について

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再臨界の可能性が話題になっているので、一応基本事項から。核燃料中のウランやプルトニウムは、自発的にも核分裂を起こすが、それは非常に遅い。(たとえばU-235の半減期は7億年) しかし、中性子を吸収すると核分裂を起こし、その際中性子を放出する。(U-235の場合、平均約2.5個)

従って、U-235が核分裂の際に放出する中性子のうち、(平均)1個以上がU-235に吸収され核分裂を起こすと、核分裂が連鎖的に進行する。これが臨界連鎖反応を爆発的に進行させるのが原爆制御した状態で使用するのが原発、だけど基本原理は同じ。

さきほど書いたように、U-235は核分裂の際平均約2.5個の中性子を放出するので、いつでも臨界が起きそうに見えるかもしれないが、必ずしもそうではない。核分裂の際に生じる中性子は速度が大きく、そのままではU-235に捕獲され核分裂を誘起する確率は小さい

それでも、十分な量のU-235が集まれば、臨界に達する。一方、原子炉では(通常運転時の軽水炉は)中性子を水で減速することで臨界が生じるようにしている。今回の事故では、地震直後に制御棒が挿入されたので、その時点で臨界が起きないようになったはずだが、しかしその後メルトダウン・メルトスルーが起きてしまい核燃料のかなりの部分は融け落ちてしまったと考えられる。従って、制御棒の挿入に成功したことは現在の原子炉の状況を議論する上では直接はあまり関係がない。少なくとも原理的には、冷却のため注入した水が減速材となって臨界に達する可能性はある

ただし、この場合も、臨界が継続的に保持されるかどうかは、また別の話。発表されたデータ http://t.co/qeddhPamも結構微妙ですね。仮に本当だとして、臨界が短時間起こり、条件が満たされなくなって停止した、あるいはそれが断続的に繰り返された、あたりが考えられます。

仮に再臨界が起こっていたとしても、*現時点で*それによって被害が大きく拡大する、あるいは一般市民が対応を変える必要はないでしょう。しかし、原子炉が制御されていない状態のままであることは事実であり、今後も注意が必要。地下水等を通じての汚染拡大防止はどうなってるのかな?
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東工大理工学研究科理学研究流動機構 牧野淳一郎氏の見解

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http://t.co/i0Tqp0xH 福島2号機で核分裂の恐れ保安院「再臨界はない」 んな、新しい fission product が検出されるほどなら臨界に決まってるではないか
もちろん、例によって誤検出の可能性はまだあるけどさ。

自発核分裂は、ウラン、プルトニウム等がなにもしないでも「勝手に」分裂する 現象。起こる確率は α 崩壊に比べて 10 桁とかそれくらいのオーダーで低い。
具体的には、 1 キログラムのウランで 1 秒に 1 個とかそういう程度。もちろ ん、これでも核分裂生成物はできるけど、とても検出できるような量にはなら ない ( というか、これは常時おきているから、検出されるならずっと前にされてるはず)

U235, Pu239 は 1 つ中性子を当てると分裂して、 2-3 個中性子をだす。原子爆弾では 運転中の原子炉ではこれでネズミ算式に核分裂をおこさせて一気に爆発させる。
原子炉では爆発しないように、制御棒とかに中性子を吸収させて一定 の速度で核分裂が起きるようにする。
このどちらも「臨界」で、どちらでも核分裂によってでた中性子によって次の核分 裂が起きる連鎖反応が続く。

例えば JCO の事故では kg オーダーのウランがあって、そのうち 1-3mg が連鎖反応で分裂したとされている。自発核分裂に比べて 15 桁くらい速いペー スで進んだ。
でもって、すみません、制御可能かどうかは私には全くわかりません。

筑波方面から御教示 : http://t.co/zoZACGeg Assessment of the neutron and gamma sources of the spent BWR fuel
Cm( キュリウム ) の自発核分裂は燃料集合体当り 10^8 個 / 秒くらいになりえるとのこと。

http://t.co/zLzjrL9a 東電発表データ 。なんとも微妙。スペクトルがみたい ((C) 野尻さん ) 。
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元物理学者、飯泉 仁氏の見解
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福島第1の2号機で短寿命の放射性キセノンが検出され、東電がホウ酸水の注入を始めた。再臨界ではなかろうXeは微量、温度上昇なし→臨界(持続的核分裂連鎖反応)ではなく熔け落ちた核燃料内で、U、Puの自発核分裂で発生する中性子が連鎖的核分裂を起こし増倍している(未臨界)現象だろう。

未臨界の核分裂連鎖反応は、増倍率(核分裂連鎖反応持続の程度)の差こそあれ、停止した原子炉や燃料棒格納プールでは、常に起きている。今回の問題は被覆管が破損しているため、核分裂生成物が外に出てくること。

Xeは自発核分裂からだけでなく、中性子が未臨界の連鎖反応を起こして増倍して出ている。自発核分裂は25より28とPu
福一2号機での放射性Xeの検出。ほかの炉(1、3,4号機)でも計れば程度の差こそあれ、出てくるのではないか。 http://t.co/w9FhCYB4
→ 4号機は間違い。1,3号機でも同様に核分裂の兆候は見られるのではないか。あって当たり前のこと。

Uと水と中性子源(自発核分裂由来)があれば、核分裂連鎖反応は起る。驚くほどのことではない。

自発核分裂と臨界との間に未臨界中性子増倍状態がある
局所的な臨界などではないと考える。中性子増倍状態。

n個の中性子があって、連鎖反応によってMn個になるときMを増倍係数という。中性子計数管で計って最初cカウントだったとすると増倍係数がMになればMc カウント。1/Mをプロットしてそれがゼロに漸近するのを見て、臨界接近を判断する(逆増倍係数法)。そのMがごく少ない状態でないか。

「未臨界増倍状態」仮説

キセノン検出について、未だまともな解説をする専門家がいないようだ。NHKに出てきた岡本孝司教授は原子炉物理をよくご存じでないらしい。今日何度か断片的に書いたが、もう一度私の見解(「未臨界増倍状態」仮説)をまとめておこう。

大方の報道では核分裂の兆候が見られるということがすぐに臨界と結びつけられている。臨界に至らないが核分裂反応が連鎖的に起きる状態のほうが可能性が高いのだ。東電の説明役のひとは、「大きな臨界はないが、局部的な臨界の可能性は否定しない」といっている。

「大きな臨界」なんて曖昧な言葉は原子炉物理にはない。たぶん未臨界で増倍が高まっている状態をそう言っているのだろうか。それはミスリーディングな言い方だ。熔け落ちた炉心は、圧力容器の底と格納容器の底に固まって、あるいはある程度散らばって、水に浸かっている。

それぞれは未臨界集合体である。中性子があれば、核分裂が起き、そこで生まれた中性子は水で減速されて次なる核分裂を起こす。連鎖反応だ。しかし臨界条件をみたさなければ、持続的連鎖反応は起きない。炉心で一個の中性子が次々の核反応で平均的に何個の中性子を生み出すか。

それを実効増倍率といい、k_eff で表す。k_eff = 1 を満たしたとき初めて臨界になる。これが臨界条件だ。原子炉のいろんな部位にある炉心が熔け落ちて固まった集合物はそれぞれ k_eff < 1 という未臨界状態にあると考えるのが妥当だ。

その方が偶然的に臨界条件を満たすより、はるかにありうると想定される。未臨界状態とはいえ、中性子があれば、かなりの核分裂が起こりうる。中性子の発生源としては、自発核分裂がある。ウラン238や、これまでの燃焼によりすでに炉に生成していたプルトニウム239とそれより重い同位体特に240や242は、中性子なしに自発的に核分裂をし、中性子を発生する。自発核分裂だけでも放射性キセノンは出てくるが、その中性子が炉心崩れの未臨界集合体によって増倍される、と考えた方が自然だ。

先に書いた k_eff がゼロでない未臨界集合体では、自発核分裂による中性子は 1/(1-k_eff) 倍に増倍され、核分裂もそれだけ多く起きる。臨界に達しなくても、けっこうなレベルで核分裂は起きるのである。これが曖昧な言葉で「大きな臨界はないが、局部的な臨界」と、スポークスマンが言っていることではないのか。炉工学の人は炉の配管や弁などには詳しくても、炉心で起きている物理的な現象に疎いように思われる。岡本教授には、少なくともそのぐらいの理解はして欲しい。(終わり)
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…ホウ酸水を入れ始めたら、それは、危険な状態を意味し、状況を注視ではなく警戒、場合によっては避難しなければならない…
そう考えていましたが、今回のキセノン検出は、再臨界を意味する所ではなく、未臨界状態にある…ということになるといいます。

「臨界なかった」と断定 キセノンは自発核分裂 東電http://www.asahi.com/national/update/1103/TKY201111030170.html

東電や政府、保安院は、臨界はない、周囲の環境に影響はないと繰り返しますが、彼らが強弁すればするほど、薄ら寒いものを感じます。
事態の悪化から数ヶ月たって、そういえばあの時はこうだったよね、と言わんばかりにでてくる新事実の数々。

今回の事件が実は再臨界で、周囲に放射性物質が撒き散らされていたとしても、驚くというよりは、ああ、やっぱりそうだったのか、という感想を持つでしょう。

SPEEDIの報告然り、1兆ベクレルを超えるプルトニウム然り、大気から観測されたストロンチウム然り。
政府発表の数倍、東電発表の数十倍という海外発表がありました。
事実を過小評価、あるいは隠蔽することが、実際はもっとひどいのではないか、という風評被害に繋がっています。そして悪いことに、それはたびたび風評被害ではなく、『実害を伴う被害』となっているのです。

今回のキセノン検出に関して、Twitter上での有識者の反応を見るかぎりは、おそらく現時点では、そう慌てる状況にはないと思えます。
東電の公式見解を見るよりは、彼らの落ち着きぶりの方が、少なくとも私にとってはよほど安心できる材料です。

早川教授の見解
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市民に伝えるべき「速報的なもの」がいまはないということだ。安心しろ。
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