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南相馬市の学校給食まるごと放射線検査の結果は不検出、しかし…

2012-02-15 | 震災・原発 | By: sorakuma


東京大学の原子力物理学者、早野先生のTweetで、こんな内容がありました。

南相馬市の一ヶ月にわたる学校給食の放射能測定では、放射能(セシウム)の検出は見られなかった、という内容です。

学校給食提供食の放射線量の測定結果福島県南相馬市

検出されなかった事自体は素晴らしいことなのですが、検出下限の数値の低さが気になりました。数値が低すぎるように思えるのです。
検査方法は、「ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリーによる核種分析」、そして測定時間は2,000秒とあります。
この測定時間で、1ベクレル未満を下限とする放射線の検出が可能なのか?という点です。

例えば、厚生労働相が14日に公開した『食品中の放射性物質の検査結果について(第323報)』で、福島県での緊急時モニタリング等の結果(原乳、豚肉)の検出下限は次のような値となっています。

検出下限値は、1ベクレルよりずっと大きな値となっています。

同位体研究所が公開しているゲルマニウム半導体検出器による定量下限と効率的な測定では、これについて次のように解説されていました。

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厚生労働省の定めた「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」では、周囲に放射性物質が少ない「平時」の状態での測定においては、2Lの容器〔マリネリ容器〕を用いて牛乳を測定した場合、1時間測定で定量限界は、0.8Bq/Lとあります。 一方、緊急時(現在のような多様な放射性物質が存在する状態)であれば、同じ測定状態でも定量限界は、16Bq/Lとなり、20倍も高くなってしまいます。
この目安は、ゲルマニウム半導体検出器自体の検出能力(相対効率)を15%としているものなので、周辺の環境以外に、測定装置(検出器)が、より高い能力(例えば相対効率20%、25%など)を持つ装置であれば、定量限界は、改善されると思われます。 いずれにせよ、定量下限(限界)は、検体の種類や形状、装置の設置場所、検出器の能力(相対効率)、検体中の放射性物質の存在状態などにより変動する事に留意が必要です。
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さらに同位体研究所では、牛肉を例に、U8容器(内容量100g程度)を用いた測定における測定時間と定量限界の変動を下記表のようにまとめています。

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同位体研究所では、通常定量限界を10 Bq/kg以下となるよう測定時間を設定しており、標準では測定時間は、2,000秒(33分)と設定しています。この測定時間であれば概ね定量下限値は、5〜10 Bq/kg程度を達成できます。 しかし、低濃度の放射能の検出を行う場合、測定時間はより長時間必要となります。 また福島の一部の地域のように多種類の核種が存在する場合には、相当の測定時間をとっても定量限界を向上させる事は困難です。
このように測定時間を長くとるほど検出には有効ですが、一方で1検体当たりの測定時間が長くなり、検査可能な検体数が少なくなります。 このため、ゲルマニウム半導体検出器の測定においては、標準的な測定時間と定量限界を踏まえて、実際の検体中の放射性物質の含有量や、核種の状態を踏まえて測定時間を適切に設定してゆく事が必要です。
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こういった同位体研究所の見解を見るかぎり、今回の南相馬市の学校給食で、わずか2,000秒間の測定において、これだけ高精度の測定が行われているかについては、正直疑問符がつきます。
…少なくとも、公開情報のみからは検査の妥当性を判断することができないのではないでしょうか。

以前NHKで報道されていた「放射性物質は大丈夫?まるごとチェック!あなたの食卓」について、首都大学東京の福士教授の行った検査結果に不備があったことを紹介させて頂きました。
今回の事例もまた、食品からの内部被曝はないという前提で作成されたプロパガンダでなければ良いのですが…。

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