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福島県内からプルトニウムを検出

2012-03-09 | 震災・原発 | By: sorakuma

20~30キロ圏でプルトニウム241 原発事故原因か
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放射線医学総合研究所などのグループが東京電力福島第一原発から20~30キロ付近の土壌からプルトニウム241を検出した。この核種は半減期が14.4年であることなどから、1960年代を中心に行われた大気圏内での核実験ではなく、昨年の事故で原発の原子炉から放出されたと考えられるという。8日付の科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版で報告した。
放医研の鄭建(ツン・ジェン)主任研究員らは、福島県葛尾村(原発の西北西25キロ)と浪江町(北西26キロ)、飯舘村(北西32キロ)楢葉町のJヴィレッジ(南20キロ)、水戸市(南西130キロ)、千葉県鎌ケ谷市(南西230キロ)、千葉市(南西220キロ)で土壌を採取し分析した。
その結果、浪江町と飯舘村の落葉の層から1キロあたりそれぞれ34.8ベクレルと20.2ベクレルJヴィレッジの表土から1キロ当たり4.52ベクレルのプルトニウム241を検出した。プルトニウム241は、アルファ線やガンマ線を出すアメリシウム241(半減期432.7年)に変わる。
研究グループの田上恵子・放医研主任研究員は「大気圏内核実験が盛んに行われていた1963年当時の放射性降下物のデータから推定すると、今回のプルトニウム241の検出量は当時と同程度かそれ以下。特別な対策は必要ない」と話す。
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プルトニウム241を検出 「豆類蓄積の恐れ」と警告

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放射線医学総合研究所(千葉市)は、東京電力福島第1原発から北西や南に20~32キロ離れた福島県内の3地点で、事故で放出されたとみられるプルトニウム241を初めて検出したと、8日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版に発表した。
人体に影響のないレベルだが、プルトニウム241は他の同位体に比べて半減期が14年と比較的短く、崩壊してできるアメリシウム241は土壌を経由して主に豆類に取り込まれやすい。放医研は「内部被ばくを避けるためにも 原発20キロ圏内での分布状況を確かめる必要がある」としている。
昨年4~5月に採取した福島県飯舘村、浪江町の森林の落ち葉と、スポーツ施設で現在事故対応拠点となったJヴィレッジ(広野町など)の土から検出他の同位体プルトニウム239(半減期2万4千年)、240(同6600年)も検出 、同位体の比率から今回の事故が原因と分かった。
濃度は、過去に行われた大気圏内核実験の影響により国内で検出されるプルトニウム241よりも高い。ただ半減期が短く、1960年代当時に核実験で飛来した濃度よりは低いレベルという。
プルトニウムは天然にはほとんど存在しない放射性物質で、原子炉では燃料のウランが中性子を吸収してできる。
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昨年4月~5月の時点で採取された土からプルトニウムの各同位体が検出されたことが公開されました。
既に様々な情報元からプルトニウムが放出されている報告はされていましたが、テレビなどで報じられるのは初、ということになるのでしょうか。

プルトニウム検出のニュースは、natureでも詳細に取り上げられています。

Isotopic evidence of plutonium release into the environment from the Fukushima DNPP accident

Plutonium spotted far from Fukushima

国から公式にプルトニウムの放出が報じられたのは、事故から半年近く経った8月のことになります。

プルトニウム238:1.9×10^10乗=190億ベクレル
プルトニウム239:3.2×10^9乗=32億ベクレル
プルトニウム240:3.2×10^9乗=32億ベクレル
プルトニウム241:1.2×10^12乗=1兆2000億ベクレル
ネプツニウム239:76兆ベクレル→ プルトニウム239=2000万ベクレル

単純に足し算すると、1兆2254億2000万ベクレル、となります。

プルトニウムの放出量は少なくとも1兆2000億ベクレル以上

プルトニウムを吸入してしまった場合、一説には2mSvもの内部被曝をもたらすとも言われています。

2007年に書かれた記事ですが、プルトニウムの内部被曝について、次のような記載がありました。

プルトニウム微粒子1個の吸入でも2ミリシーベルト超の被ばくをもたらす

もともと2006年の7月に発生した六ケ所村での内部被曝における記事ですが、プルトニウムを吸引した場合、肺に与える被曝の影響について記載があります。

一部を抜粋すると…

* * * *
1.たった1個のプルトニウム微粒子が数mSvの被ばくをもたらす
プルトニウムのアルファ線スペクトルが未公表なので飛散したプルトニウムの核種とそれらの組成は分からないが、燃焼度が30000MWD/Tであるような典型的な場合をとりあげよう。直径5ミクロンのプルトニウム酸化物微粒子の放射能は、α線だけで13Bq(ベクレル)程度になる。このような粒子を1個吸い込むと、それだけで約2.3mSv(ミリシーベルト)の被ばくに至るつまり、日本原燃が最初予測した2mSv超の被ばくはたった1個の微粒子吸入で実現される。

・・・

しかし、放射能の実体が極めて放射能の高い微粉末になると事態は一変する。たった1個の微粉末で数ミリシーベルトを超える内部被ばくが簡単にもたらされてしまうからである。内部被ばくがなかったと断定するのであれば、糞の中にプルトニウムがないことを示すだけでは不十分であり、肺の中にプルトニウム微粒子が1個もないことを確かめなければならない。
わずか1個の微粒子が生涯にわたって肺や肝臓や骨表面を被ばくさせる。これこそが内部被ばくの恐ろしさ、危険性なのである。
* * * *

つい先日、南相馬市で確認されている黒い物質が、プルトニウムの可能性がある、として紹介させて頂きました。

南相馬で採取された黒い物質、プルトニウムの可能性。

少なくともプルトニウムは、原発から30キロ圏内までの範囲には拡散していると考えることができます。
プルトニウムは重いから飛ばない、と発言した科学者がいるそうですが、金属プルトニウムの比重は19.8。金の比重は19.3です。金箔程度に軽ければ、十分風に乗って飛ぶでしょう。
また、細かい粒子になればなるほど、遠くに拡散されるはずです。

問題は、この粒子がどのタイミングでどの方向に拡散していったか、です。

現在見つかっている地域は、福島県飯舘村、浪江町の森林の落ち葉と、スポーツ施設で現在事故対応拠点となったJヴィレッジ(広野町など)ですが、一部は30キロ圏外を超えて拡散しています。


※クリックすると大きい画像で表示されます。

これら地域を全て含み、MOX燃料を使用した3号機が爆発した15日、という符号に当てはまる地域。早川教授のルートマップ、3月15日の阿武隈山地・関東平野越えのルートあたりでしょうか。MOX燃料≒プルトニウム同位体として、少なくともこれら地域の土壌にもプルトニウム同位体が拡散している可能を考えなければなりません。
そしてセシウム以外—-プルトニウムやストロンチウムなど、致命的な放射線核種の調査を行わなければなりません。

実はプルトニウムの検出については、ガンダーセン博士の、6月7日の報道にて、その報告があります。

『4月に東京でホットパーティクルが10個/日観測された。
呼吸により、1日10個吸入している』(動画1分37秒)
とあります。

Wikipediaによると、吸入されたホットパーティクルについて、このように記載されています。
『最も有害な取り込み経路は、空気中に粒子状になったプルトニウムの吸入である。気道から吸入された微粒子は、大部分が気道の粘液によって食道へ送り出されるが、残り(4分の1程度)が肺に沈着する。』

プルトニウムは、経口摂取した場合と吸入摂取した場合、全くその危険性が異なります。
大気中に細かな微粒子として拡散された場合、それはほんの一呼吸から生涯に渡る内部被曝、数年後、数十年後の肺がんなどへ繋がるでしょう。

昨年の11月3日の記事で、3月15日、事故から半年たってはじめて、ストロンチウムが東京の大気から検出されていたのを紹介させて頂きました。
今回、4~5月の福島県内の土壌からプルトニウムが検出されたことが初めてニュースとして取り上げられましたが、おそらくはこの時の大気は既に微量のプルトニウムを含んでいたのではないでしょうか。事故から1年経ち、そろそろニュースでそんな報道がなされる頃なのかもしれません。

ガンダーセン教授の報告が正しければ、少なくとも東京以北であれば、おそらくは避けようがないレベルで、私たちはある程度のプルトニウムを吸入してしまっている可能性があります。

日本政府は、SPEEDIの算出した結果を、とても公表できない、として公開を遅らせています。その判断が、言葉にもできないような未来を、私たちにもたらすのかもしれません。

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