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ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図(6)川で何がおきているのか」(後半詳細)

2012-06-22 | 震災・原発 | By: sorakuma


ETV特集
2012年6月10日(日) 夜10時
2012年6月17日(日) 午前0時50分 再放送
ネットワークでつくる放射能汚染地図6
川で何がおきているのか
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2012/0610.html

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福島第一原発事故により、大気中にはおよそ90京ベクレルという、大量の放射性物質が放出された。原発事故から1年あまりたった今、事故直後には汚染がみられなかった場所で次々に新たな汚染スポットが見つかり、汚染地図の更新が必要になっている。その原因と考えられているのが、水による放射性物質の移動である。河川を介して放射性物質はどのように広がっているのか。
番組では川が放射性物質を拡散するメカニズムを明らかにするため、福島県を水源とする阿武隈川、阿賀野川という二つの一級河川の上流から下流まで400か所以上で専門家とともに独自の調査を行った。

福島県中通り地方を縦断し宮城県沖に流れ出る阿武隈川。文部科学省の報告書によると阿武隈川には一日当たり1700億ベクレルの放射性物質が阿武隈川を移動している。私たちの調査では水そのものからはほとんど汚染は検出されなかった。しかし、川底の土からは場所によっては6万ベクレルを超える高濃度の汚染が検出された。

一方、福島県から新潟県へ流れ日本海に注ぐ阿賀野川の河口付近でも川底の土から汚染が見つかった。ここでもやはり川底の粘土鉱物が放射性セシウムと強く結合し、汚染の原因となっていた。阿賀野川の上流にあたる会津地方は、事故直後に原発周辺の住民が避難するほど汚染が低い場所だったはずだ。調査の結果、阿賀野川の支流の放射性物質の量が、雪解けを挟んで大きく跳ね上がっていた。これが粘土鉱物と結合し、はるか遠くの日本海側まで移動する実態が浮かび上がってきた。

番組では、去年の11月から半年間の独自調査を元に「水」によって集められ、「川」という道で予想外に遠くまで移動し、溜まり、汚染を拡大させる放射性物質の実態と、その動きに翻弄される流域住民の苦悩を伝える。

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頂いたコメントを元に記事を再構築しました!
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(33分31秒)
原発から近く汚染が深刻な地帯を流れる阿武隈川。
文部科学省の調査によって、この(阿武隈)川が、大量の放射性物質を海へと運んでいることが明らかになっています。

(33分54秒)
その総量は、河口から66キロの地点で一日あたり、1,700億ベクレル。
この膨大な量の放射能は、流域で何を引き起こしているのでしょうか。

今回の私達の調査で、高い濃度の汚染が、数多く見つかったのが、人口33万の郡山市です。
郡山市の空間線量は毎時0.5から1.9マイクロシーベルト。比較的高い場所が市の中心部に拡がっています。

※ 毎時1マイクロシーベルト(1μSv/h)は、およそ年間、つまり365日×24時間で8760マイクロシーベルト。
つまりは8.76ミリシーベルトですが、安全を見て10ミリシーベルト弱位と考えておくとわかりやすいです。
郡山市の例では、年間で5ミリシーベルト弱から19ミリシーベルトくらいの被曝線量になります。
チェルノブイリ法を当てはめた場合、5ミリシーベルト以上が人が住んではいけない地域ですから、
大都市である郡山市でさえ、大部分は人が住めないことになります。

市内を水路が縦横に走っています。
私達は阿武隈川の合流点(本流と支流の合流点)を調査しました。

その一つ、逢瀬川(おうせがわ)が阿武隈川に流れ込む場所です。
川岸には、砂の上泥が薄く溜まっていました。阿武隈川で、みたのと同じバーミキュライトを含む細かい粘土です。
※ バーミキュライトがセシウムを吸着する仕組みは前半部分で説明があります

(35分20秒)
検出された放射能セシウムが、1キログラムあたり、16,670ベクレル
他の3か所も(62,110ベクレル、15,190ベクレル、8,414ベクレルと)、軒並み高い数値でした
支流や水路の上流点を調べると、数値が合流点(38,680ベクレル)に向かって徐々に高くなっていました。
都市部に汚染が集まり濃縮されたことが推測されます。

雨が降ると市街地の建物や、街路樹の道路等についた細かい土と共にセシウムも流れます。
いわば、天然の除染です。セシウムは、水路から川へと流れ込み集まって来るのです。

合流点の汚染が最も高い水路(38,680ベクレルと62,110ベクレルを結ぶ水路)、 その水路は、住宅地に囲まれた町の中心部を通っています。
その途中には、二つのため池が在りました。
二つのため池は、荒池(あらいけ)と酒蓋池(さかぶたいけ)。
ため池の周辺の住宅地は、空間線量が高く、住民達が不安を訴えています。

もし、池に放射能が溜まったとしても、水の遮蔽(しゃへい)効果で、周囲の放射線量は高くはならないはずです。
しかし、池は震災で壊れた護岸を修理するため、去年の12月に水が抜かれ、底がむき出しになっていました。
池の周りの公園は、市が汚染された土を取り除き除染しました。

それでも、空間線量は、地上50センチで、毎時1.29マイクロシーベルトと高いままです。
(※年間ではおよそ12ミリシーベルト弱。人が住むことが許されないレベルです。)

獨協医科大学、放射線衛生学の木村真三氏:
「やっぱり、1.2マイクロシーベルトを超えるというのは、気持の良いものではないですよね。」
(※除染前の数値は毎時2.44マイクロシーベルト。年間では20ミリシーベルトを超えるものです。チェルノブイリ法では強制避難が適用されるレベルです。)

(37分53秒)
「平均値で言うと、毎時7.3マイクロシーベルトになりますかね!」
※フランス・アレバ社のMYRATE・PDR101の携帯用測定器の測定による。年間では60ミリシーベルト以上となります。

池には、水路を通じて、周辺の住宅街から、水が流れ込んでいます。
木村さんはその水の流れに沿って池の三か所で泥を採取しました。

(38分30秒)
その結果、荒池は、水の入り口付近で1キログラム当たり167,100ベクレル
中央部で231,700ベクレル水の出口では、161,600ベクレルという高い数値が出ました。

(39分47秒)
となりの酒蓋池(さかぶたいけ)では、水の出口付近で299,000ベクレルという高濃度の汚染が見つかりました。
酒蓋池の水の入り口 81,200ベクレル中央部 118,000ベクレル水の出口 299,000ベクレル

木村さんは、住民にこの結果を伝えました。

酒蓋池周辺の住民は、これまで、自主的に通学路などの除染をして来ました。
しかし、池の周辺では空間線量はなかなか下がりません。
『小さな子供がここに住み続けて良いのか』と悩んでいます。

※非常にリスクを伴います。内部被曝レベルは、土地の汚染レベルにほぼ比例すると言われています。

木村真三氏:
「それは、やはり、この土地から離れたくないという人が居らっしゃいますし、その人達をどう意を汲むのか」
男性住民:
「文部科学省の結果では、我々のつるみ団地域は、(事故後一年間の積算線量は)7.2ミリシーベルト/年なんです。」
男性住民:
「道路の脇の側溝を測るとですね、それこそ、10ぐらいのところも在って、5ぐらいのところも、結構高い所も在るのです。」
木村真三氏:
「汚染レベルというのは、この池に溜まった放射性物質がヘドロとくっついて、たまっているんだよ。これが空間線量を上げている原因ですと。これを解決するためには、このヘドロを取る。除去することが一番大切です」
男性住民:
「借り置き場が無いからできないということで、未だにまだ、それなんですよね」
木村真三氏:
「まずは、取ったら、線量は下がるのですよ。きれいに。だから、取ったものを、どこに集めるかと言ったら、コンクリートの大きなものをいくつもコンテナ見たいな箱を売っているから、そのコンクリートの箱を用意して、この池の真ん中に置いて下さい。池の真ん中に置いて、人の家から一番離れた所じゃないですか。真中というのは。そこに置いて頂いて、そこに詰めて下さい。そうしたら、流出はしないでしょ。コンクリートだから。それで、空間線量は下がります。まず仮置き場ということ、次の置き場が決まるまでは、そこに置いてもいいんじゃないかという、まあ、そういう方法も一つございますと」
池の対策を行政に働きかけて行くことにしました。

※除染を行った公園の看板によると、除染前は年間で20ミリシーベルト超、除染後も10ミリシーベルト超です。
いずれも長期間の生活においては非常にリスクが高いと考えられる数値になります…。

木村真三氏:
「きついかもしれません。あきらめない」
6月7日の時点で、酒蓋池周辺の空間線量は、毎時1.2マイクロシーベルト、このままでは、住民の被曝線量は年間の限度量、1ミリシーベルトを超えてしまいます。
※ 状況を過小評価した表現です。年間で10ミリシーベルト超、年間の限度量の10倍もの値であり、チェルノブイリ法では強制避難が必要なレベルです。

今回の調査では、川沿いで、高濃度に汚染されたホットスポットが他にもいくつも見つかっています。
福島市では、原発事故直後に、放射能が流れ込み、毎時24マイクローベルトという高い空間線量を記録しました。
※ これは、年間200ミリシーベルトを超える値です。
中でも、阿武隈川に面した渡利地区は、雪に運ばれた放射能が土壌に沈着しました。渡利地区の河川敷三か所で調査を行いました。その内最も汚染が高かったのが、この排水路です。雨や除染の時に出た水等が、ここに流れて来ます。

※ ALOKA社のTCS171の計測器、上限の30マイクロシーベルト/時を軽く振り切ってしまい、OVER、計測不能と表示されています

野口邦一氏:
「ここ一帯、ずっとそうですね。」
「毎時30マイクロシーベルトを超えている。えらい値です。」
毎時30マイクロシーベルトとは、もし、ここに人が立ち続けたら、34時間で、年間の被曝限度量の1ミリシーベルを越えてしまう強さです。
※ 実際の数値はマイクロシーベルト超ですので、それより短時間で被ばく線量は1ミリシーベルトを超えることになります。

放射線を発していたのはこの黒い土です。測定の結果、1キログラム当たり43万ベクレルという高濃度のセシウムが検出されました。
※ この土は乾ききった排水路の通り道に在る乾いた土で、乾燥しています。微粒子になって飛散した場合、吸入してしまうとリスクの高い内部被曝になることが想像できます

野口邦一氏:
「43万ベクレル/Kgという土壌が、決して広い範囲に在る訳ではなくて、たとえば、1平方メートルとか、2平方メートルとか、そのくらいの範囲での汚染で、言って見れば、渡利地区というホットエリア。ホットスポットと呼ばれる比較的放射性物質が多く落ちたものが雨などで、側溝に入って濃縮された部分がまたさらにあそこでつかまって、土壌にとどまっているセシウムがそこのかなり濃度が高い訳ですけれどもね。そこに近づかないようであれば、人への外部被曝は問題にならないと思うのですね。それからもともと、川底なのですから、食べるわけではない。であるとすれば、人への影響は、放水の時にめぐりめぐって、食べ物の形で、我々に入って来るのが多分可能性としては考えられるのではないでしょうかね。」
※ただし、直前で野口氏は、「この一帯はずっとそうですね」と発言している

5月上旬、東北地方を低気圧が通過。福島でも100ミリ近い雨が降りました。その翌日、渡利地区の排水路を水が流れていました。水は汚染された土の上を通り、阿武隈川へと流れ込みます。阿武隈川には、200近い支流と無数のは排水路が在ります。雨が増水するたびに、泥水が流れ込み下流へと移動してゆくのです。

しかし、汚染は、一気に海へ流れ出る訳ではありません。
福島市から阿武隈川を下った伊達市です

東北大学 地学 箕浦 幸治氏:
「橋の下で、ちょっと低い、特に、ここら辺(河川敷)は、ものすごく高くて、毎時2マイクロシーベルトです」
この河川敷は、去年秋の台風の時、全て濁流に飲み込まれました。水がひいたあと、大量の泥が取り残されました。

「凄く高いですよ。今ここで、空間線量率、毎時1.2マイクロシーベルト。これが運ばれて来た土じゃない。だから河川がこの辺(肩の位置まで)増水したのでしょうね。その間、ずっと河口まで流れて、減水する時に、ゆっくりとその時に沈殿する。」
流木に泥が付着していました。この流木についた泥から1キロ当たり13,250ベクレルのセシウムが検出されました。
河川敷の汚染が増水すると、再び下流に流され、そこで、新たな汚染エリアを作りだすのです。

阿武隈川を管理する国土交通省に川の除染をいつ始めるのか尋ねました。
国土交通省の回答:
「環境省のガイドラインに従い、陸地の除染作業が一定程度進捗した後に実施を検討する。」
体的な計画はまだ立てられていません」

水によって、移動する放射性物質、稲作への影響も危惧され始めています。

伊達市では、3,000軒の農家がコメを作っています。
この町も事故後に降下した放射性物質で水田の土が汚染されました。
去年一部の水田の米から食品の暫定基準値1キログラムあたり、500ベクレルを越えるセシウムが検出されました。しかし、同じ地区でも水田によって、汚染が出た所と出ない所がありました。

米の汚染の原因は、事故後の土の汚染だけでは説明できないのではないか。農家が注目したのは、水田に引く水でした。
柳沼正弘さんは、去年作った米から200ベクレルを越える汚染が見つかりました。柳沼さんの水田には大雨が降ると濁った泥水が入ります。柳沼さんは、この泥水が気がかりでした。

「山の水から、あれからみんな集まって来るからね、それが入って来るからね」
柳沼さんの水田で空間線量を調べてみました。一枚の田を60に区切り調べたところ、水の取り入れ口が毎時2.74マイクロシーベルトと最も高く、出口に行くほど空間線量は低くなりました。水田に入る水も汚染に関係していると推測されます。

セシウムは、どのようにして稲に入りこんでいるのでしょうか。
栽培学が専門の根本圭介さん。根本さんは、泥水の中に含まれる土に注目しています。

(51分20秒)
根本圭介氏:
「土の中には色々な成分が在るわけです。中には、もう一遍、そのセシウムを酵素の隙間にはめ込んだら、もう容易には離さないような、そういう粘土の成分もありますし、同じ粘土でも、表面にゆるくセシウムを保持して、またそれが、容易に離れるような粘土の粒子も在ります。」
根本さんが考えるセシウムが稲に入りこむメカニズムです。
バーミキュライトに固定されたセシウムは、イネには入りません。

しかし、拘束力が弱い一部の泥からは、セシウムが分離されることがあり、それが水中に伸びた根を通じて稲に入りこむ可能性があると言うのです。

私達の調査では、阿武隈川の水に含まれる放射能は、殆どの場所で検出限界以下でした。

米から1ロあたり、100ルを越える汚染が出るものなのでしょうか。
根本さんは稲を水だけで栽培する実験をしました。
1リットルあたり1ベクレルのセシウムの入った水で栽培すると、茎や葉から1キロ当たり590ベクレルのセシウムが検出されました。米に移行するのは、その数分の1と考えられますが、それでも、稲はセシウムをかなり濃縮することになります。

根本の研究では、以下のようにまとめられています。
・0.1ベクレル/リットルの水で栽培した稲:キロあたり76ベクレル
・1ベクレル/リットルの水で栽培した稲:キロあたり590ベクレル
・10ベクレル/リットルの水で栽培した稲:キロあたり5700ベクレル

「実際の田んぼで、このような吸収が起こるとは私達は勿論考えていませんけれども、もし、仮に土からではなくて、水から稲が直接放射性セシウムを吸収したとしますと、かなり高い確率でセシウムを実際に吸収してしまう。そういうことをこの実験は意味しているのです。」

何とかして、汚染の無い米を作りたい。
柳沼さん(農家)の元を訪れた根本さん(東大栽培学)は、一つの提案をしました。
「こちらに波板を入れて、(田んぼを半分に区切り)・・・・」
水田の一部には泥水が入りにくくした水路から澄んだ水を引きます。
もう一方には、去年と同じ濁った水を入れて比較します。
泥水が本当に汚染の原因なのか、対策を考えようとしているのです。

4月下旬、会津坂下町。
町の詳細な汚染の実態を把握しようと調査を始めたのです。
避難所の施設の中庭の芝生の中のブランコの在る地上1メートルで、毎時0.28マイクロシーベルト

ここは、5か月前ホットスポットが見つかった旧宮川です。
「高さ50センチで毎時1.13マイクロシーベルト」
新たに測定したところ、土壌汚染は2倍近く、キロあたり17,000に上がっていました。
※ 5か月前は8,790ベクレル
この川の汚染を取り除くことで、下流の阿賀野川の流域の汚染を防ぐことにもなります。
町では夏から川辺の除染を始めることにしています。

天然アユの漁場。宮城県丸森町。
阿武隈川漁協は、3月1日安全が確保できないと、自主的に禁漁を決定しました。
漁協は、今後町の協力を得ながら川の汚染の実態を調べて行くつもりです。アユやヤマメの豊かな漁場の復活をめざします。
「川をとにかく昔のように取り戻したいのですよ。」
「多分、底泥の汚染も含めて長期間で考えなくてはいけないと思いますけれども」
「我々は、これからあきらめないでやっていこうとするには、方法としては、やっぱり、汚染状況のきちんとした調査、増水するたびに、汚染状況を改善されているのか。改善されていないのか。なおかつ、その中で魚の検体も調べていかなきゃならないんでしょうね。投げないでね。あきらめないで。」

福島原発事故から1年と3カ月、この間、水が放射性物質を運び、川のあちこちで水のホットスポットを作っていました。
半年間にわたる調査の結果出来た川の汚染地図です。

古来、瑞穂の国と呼ばれ、豊かな水の循環の中で暮らしてきた日本。
そこで入り込み移動し続ける放射能汚染を「止める手立て」が今求められています。


次回の放送では、核燃料サイクル迷走の軌跡が取り上げられます。


半年間の調査結果わかったことは、川の水が放射性物質を下流に運び、新たなホットスポットを生み出していることです。
福島第一原発事故はまだ何も終わっていません。

東京湾の汚染の実態も、7ヶ月間で最大13倍になったという調査結果が出ていました。

東京湾の海底土のセシウム、7か月で13倍に
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120513-OYT1T00617.htm
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東京湾の海底土に含まれる放射性セシウムが、昨年8月から約7か月間で1・5~13倍に増えたことが、近畿大の調査で分かった。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出されたセシウムが、河川から東京湾に流れ込んだとみている。
同大の山崎秀夫教授(環境解析学)は今年4月2日、荒川の河口付近など東京湾内の3か所で海底土を採取し、分析した
深さ1メートルまでの土に含 まれるセシウムの量は1平方メートルあたり7305~2万7213ベクレルで、昨年8月20日の調査結果(同578~1万8242ベクレル)を3か所とも 上回った。
海底面から深さ6センチまでのセシウム濃度は1キロ・グラムあたり321~397ベクレルで、やはり8月20日の調査結果(同75~320ベクレル)を上回った。河川の泥にたまったセシウムが少しずつ東京湾に流れ込んでいるためとみられる。
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1月にNHKで放送された、知られざる放射能汚染 ~海からの緊急報告で指摘された通りの実態が浮かび上がっています。
河川からの汚染の流入により、東京湾での汚染のピークは2年後。少なくとも10年は汚染状態が続くといいます

海へ流れでたとしても、そこで汚染が無くなるわけではありません。

福島原発から海洋に放出されたセシウムは20~30年で日本沿岸に戻るといいます。
一度ばら撒かれ、拡散してしまった放射性物質を収集し、格納しておくことは計り知れないほどの困難を伴います。
放射性セシウムが何度も何度も半減期を迎え、その影響が1/1000になるまでに、およそ300年。
それまで、私たち人間や生態系のDNA、遺伝情報にダメージを与え続けます。

今まさに稼働しようとしている大飯原発。
万が一に事故を起こせば、東日本全体が人の住める土地ではなくなります。
そんな危険なものを推進しようとしている今の政府に、国民、国土を守ろうとする意志を感じることはできません。
日本には、国民や国土を守れる政治家はいないのでしょうか?

今こそ電気料金を節約しよう

2012-06-22 | 震災・原発 | By: sorakuma

やってくる夏。
今こそ電気料金を節約しましょう。

できる範囲で節電していった結果がこんな数値になっています。

※昼間は家にいないことが多いです。待機電力系をもう少しカットすれば、100kWhを切れそうです。

効果的に節電を行なっていく上でのポイントが、ダイヤモンドZAiで紹介されていました。
最初のポイントは、契約アンペアです。

電気の基本料金は、契約アンペア数によって決定されます。
自宅の契約アンペア数はいくつになっているでしょうか?

契約アンペア数とは、家庭で一度に使用できる電力の最大値を表しています。
一度に使えるアンペア数を超えるとブレーカーが落ちてしまいますが、使う電気製品を工夫すれば、基本料金を下げることができます。
20アンペア下げた場合、年間で6,000円以上節約することができます。

2つ目のポイントは、電気の使用量です。
電気料金は、基本的に電気料金は、基本料金+(単価×使用量)で計算されます。

電気の1kWh(1キロワットの使用を1時間続けたときの消費電力量)あたりの料金の関係は、次のようになります。
120kWhまでなら17.87円
121~300kWhなら22.86円
301kWh以上なら24.13円という具合です。
ひと月の電力使用量に応じて3段階に分けられます。

いつもより1段階削ることが出来れば、電気料金をかなり抑えることができます。

電力会社のサイトでは、過去2年間の電力使用量の推移を見ることができます。

※利用には登録(無料)が必要になります。

もうひとつは、電力プランの変更です。

おトクなナイト8では、午後11時から午前7時までを安価な料金で使用することができます。

おトクなナイト10では、午後10時から午前8時までを安価な料金で使用することができます。

いずれも、夜型の生活をしている人や、一人暮らしのサラリーマンに効果的です。

さらに、これをもう少し極端にしたのが、今年の6月1日から取り入れられた、ピークシフトプランです。

電力消費のピークとなる時間帯は非常に高額になりますが、その時間常に働いている場合などは有利なプランと言えそうです。

ただし、この場合でもそれほど電気料金が安くならない場合もあります。
家にいない場合でも、電気を多く使っている場合です。
その原因は待機電力や、常時稼動している電化製品によるものになるのですが、それについては別途取り上げたいと思います。

電気を節約する上で最初に考えたいことは、まずは電気料金の契約を把握することです。
高いアンペアの家電を同時に使わないように気をつければ、まずは契約アンペア数を節約することで、年間5000~6000円は電気料金を削ることができます。
3段階の電気料金では、2段目、3段目の料金が高くなります。一人暮らしであれば、1段階で抑えることを目標にするといいと思います。
それから、電力のピーク時間を調整することで、うまくすれば電気の使用料金についても半分程度に抑えることができるでしょう。

そして、電気を使いすぎていないかチェックしてみましょう。
電力会社のサイトで、電力使用量の推移を見ることができますが、これより効果的な方法があります。
電気の使用量と使用料金を、紙に書いて、目に付く場所にはっておくことです。
電気の使用はお金の使用とイコールである、とはっきり意識することができます。

※自分の場合、元々使いすぎていたこともありますが、だいたい前年から30%程度抑えることができています。

まずは意識を変えた上で、日々の電力量を減らすためにどうすればいいか、考えましょう。
のちほど、家電の電力使用量や待機電力についてまとめたいと思います。

大飯原発再稼働で得るもの、わずか節電要求5%ダウン

2012-06-22 | 震災・原発 | By: sorakuma

大飯原発再稼働で得るもの、それはわずか節電要求5%ダウンに過ぎません。

これに対し、大飯原発を再稼働させた場合のリスクはどれだけでしょうか。

福島第一原発事故の放射能汚染が、大飯原発で起こったらどうなるでしょうか。
全原発SPEEDIデータが文科省がウェブに公開はされましたが、これは小さな事故(2400分の1)を想定したシミュレーションのようです。
SPEEDIの汚染シミュレーションを大飯原発に重ねた場合、冒頭の画像のようになります。

続いて、海洋研究開発機構、大気塵によるセシウム-137の拡散予測です。
福島第一原発事故で起きたシミュレーション結果(3月11日から4月1日までの積算値)を、大飯原発にあてはめるとどうなるでしょうか。

■福島第一原発事故でのシミュレーション

■大飯原発で同じ事故が発生した場合

福島第一原発事故では、放射性物質の多くは東側、つまり海域に落ちて行きました。
しかし、大飯原発では違います。風下には首都圏数千万の人々がいます。

被害総額は460兆円、死者は40万人に及ぶという試算もあります。

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関西電力大飯原発3、4号機(福井県大飯町、加圧水型軽水炉、出力各百十八万キロワット)のどちらか一基で大規模な放射能漏れ事故が起きた場合、長期的な被害額は最大で約四百六十兆円に上り、急性障害やがんによる死者も四十万人を超える恐れがあるとの試
算を、京都産業大の朴勝俊専任講師(環境経済学)が二十七日までにまとめた。
原発事故による損害は欧米の試算例はあるが、国内では一九五九年に旧科学技術庁などが三兆七千億円と試算したことがある程度で、原発建設が本格化してからの試算はほとんどないという。
朴講師は、大飯原発で炉心が溶融し格納容器も壊れ、チェルノブイリ事故に匹敵する放射能が漏れたケースを想定。京大原子炉実験所の故瀬尾健助手が開発した計算式にあてはめ、所得、農業生産額や人口データを基に事故後五十年間の総被害を算定した。
高レベルの放射能の残留で風下側は原発から百六十―二百キロ圏内が居住禁止となり、農業が禁止される地域は五百キロ圏を超す地域まで広がる。
京都、大阪が風下に位置する北風想定の場合に被害額が最大となり、移住費用や農漁業の損失など物的損害が約三百九十一兆円、治療費など人的被害が約六十六兆円の計約四百六十兆円。風向きを全方位にならした平均の損害額は約百四兆円の予想となった。
事故後しばらくたってからのがんによる死亡は東京、神奈川まで汚染される西風のときが最も多く約四十一万人。急性死亡は最大約一万七千人。
原子力事故に備え、事業者は損害賠償責任保険への加入が義務付けられているが、保険額は最高六百億円。
平均損害額約百四兆円は最高保険額の約千七百倍で、朴講師は「現在の制度では、万一の事故のときほとんどの被害者は補償を受けられない。こうした被害想定も踏まえた上で今後のエネルギーをどうするかの議論が必要だ」と話している。
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大飯原発で事故が発生した場合、連鎖的に近隣の原発の制御も失うことになります。その連鎖はどこまで広がるでしょうか。

(重要)大飯原発3号機か4号機のどちらかで事故のときの試算。北風の場合、京都・大阪に被害で460兆円の損失。西風の場合、東京・神奈川汚染で死者40万人超。

琵琶湖、水源への影響はどうでしょうか。

そして、事故対策が一切ないまま大飯原発再稼働へ向かっています。

さらに大飯原発には、地震、活断層直下のリスクがあります。

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政府は、電力利権と引き換えに、東日本全土を原子力業界に売り渡そうとしています。

地震は、10年、100年単位で見た時、必ず発生するものです。
被害総額460兆円、死者1400万以上、それだけのリスクを抱えてまで、原発を再稼働させる理由はどこにあるのでしょうか。
今日の電力不足が仮に事実だったとして、電力と引き換えに日本の未来を、将来を担保にする必要がどこにあるのでしょうか。

大飯原発の再稼働は絶対に阻止しなければなりません。
日本の未来、国土の半分を失う事態が、そこに待っています。

2012.6.15 首相官邸前 原発再稼働反対デモ 参加者数11000人

2012-06-21 | 震災・原発 | By: sorakuma


『再稼働反対!』
『再稼働反対!』

毎週金曜日、午後6時から首相官邸前で行われている大飯原発大飯原発再稼働反対デモの動画です。
参加者は日を追う毎に増え続け、ついには11,000人もの人々が詰め掛けました。

海外でも様々なメディアで取り上げられているこの活動ですが、日本のメディア、テレビや新聞などで取り上げられることはありません。
日本経済新聞などが、取り上げていますが、わずか300人のデモだったと報じています。

野田首相が私たちの声に耳を傾けることは、おそらくはないのでしょう。
しかし、それはもはや政治家と呼べるものではありません。
そんな政治家の存在を、許さぬためにも、私たちは声を上げなければならないのです。

明日は金曜日、首相官邸前には多くの人々が詰めかけるでしょう。
その声が届かないというのなら、届かせるまでです。

放射能から子供たちを護るために──ミシェル・フェルネクス氏 東京講演

2012-06-20 | 震災・原発 | By: sorakuma

映画 「真実はどこに?──WHOとIAEA 放射能汚染を巡って」(日本語版:「エコー・エシャンジュ」/「りんご野」)

ベラルーシ医療施設の子どもたちが語る映像、WHOの報告会議の模様などが織り混ぜられた見応えのあるドキュメンタ リー映画。フェルネクスさんはじめ、医師・研究者たちが登場。ウラディミール・チェルトコフ監督、 エマヌエラ・アンドレオリ、ロマーノ・カヴァッゾニ助監督作品、 フェルダ・フィルム、2004年、51分。

ミシェル・フェルネクスと申します。先ほどの「真実はどこに」の映画の中に私も出ているので、皆さんもう私の顔はご存知かと思います。あの頃はもっと若かったのですが。

内部被曝の重要性

あの映画の中で、外部被曝と内部被曝の議論があって、国際原子力機関(IAEA)の人が「内部被曝の話をしても意味がない」と言っているのをご覧になったと思います。しかし、事故のさいに汚染を起こす放射性核種は200種類以上あり、そのうち重要なものが10種類ほどあります。その多くは、自然の中で人間を被曝させることはまったくありません。ストロンチウム、ウラニウム、プルトニウムは、まったくと言っていいほど外部被曝をもたらしません。福島の場合もそうですが、自然の中で大部分の放射線を出すのはセシウムです。このセシウムは、体内に入るとガンマ線とベータ線という2種類の放射線が同時に、同じ場所を照射し、それが相乗的な毒性をもちます。だから、外部被曝と内部被曝はまったく別ものなのです。

福島で2番目の大きな問題は、おそらくストロンチウム90でしょう。ストロンチウム90は骨の表面に溜まり、造血細胞を照射します。このため、血液の病気や、生物が感染やガン細胞から身を守るための防護機能に障害を起こします。ですから、ストロンチウムは非常に重要です。しかし、ストロンチウムは、自然の中ではまったく何の影響も与えません。この放射線は数ミリの範囲しか照射しないため、環境中ではまったく被曝を起こさないのです。

また映画の話に戻りますが、映画の中でバンダジェフスキーは、8年間にわたって投獄される前に、病理学者として遺体を解剖して各臓器内の放射性物質を測定し、組織を顕微鏡で監察した結果、セシウムを多く蓄積した臓器に多くの病変があることを示しました。たとえば、心臓には多くのセシウムが溜まるため、心臓疾患がもっとも頻繁に現れます。私はきのう福島で、原発の処理作業にあたっている若い人の間で心筋梗塞が多く発生していて、すでに3、4人が亡くなっていると聞きました。年齢を考えれば、この数は多すぎる。すでに流行病(epidemia)と言えます。

バンダジェフスキーが示したもうひとつのことは、年齢によって臓器への放射能の蓄積の仕方が違うことでした。小さな子供や乳児では、胸腺に大量の放射性物質が蓄積します。胸腺は生物の免疫による防護をつかさどる重要な臓器なので、これが障害を起こすとさまざまな影響が出ます。また、年齢によっては内分泌腺にも多く溜まり、それによって常にさまざまな病気が起きます。たとえば、喘息、皮膚疾患などのアレルギー、感染症が重度かつ再発により複雑化したものなどがあります。たとえば、高齢の喫煙者によく見られるような、気管支炎を繰り返すことで慢性気管支炎になる例が子供にも見られます。

放射線が引き起こす自己免疫疾患

さらにやっかいなのは自己免疫疾患です。これは、通常なら細菌を攻撃して身を守る働きをする免疫が自分の臓器を攻撃してしまうものです。これには、抗体が自分の甲状腺を攻撃して起きる甲状腺炎(発見した日本人の名前を取って橋本病と呼ばれる)があります。糖尿病も、もうひとつの防衛システムが自分の臓器を攻撃して起きるもので、インシュリンをつくるランゲルハンス島が抗体によって損傷することで起きます。また、生殖腺が攻撃されると、男女における性徴の遅れや不妊症をもたらす。

ここで私が言いたかったのは、内部被曝の影響は非常に大きいということです。もうひとつの例を挙げると、チェルノブイリ原発事故から26年を経た今日、一般住民の間で外部被曝の比率は10%まで減っているのに対して、内部被曝は80〜90%にのぼっています。そして、チェルノブイリ周辺に住む子供の80%が病気に罹っています。チェルノブイリ原発事故の前は、同じ基準でその比率は20%未満でした。

妊婦と乳幼児に汚染のない食べ物を

私が調査しているのはベラルーシですが、この国はヨーロッパで最も貧しい国です。この貧しい国が、8年間にわたって小学校と幼稚園で汚染のない給食を朝と夜の2食、無料で提供したのでした。また、子供たちを汚染のない地域で過ごさせる1ヵ月間の休暇を年に2度、政府のお金で提供しました。これによって、被害が大幅に緩和されました。しかし、不幸にもその後ベラルーシの民主主義は死滅してしまい、それとともにこうした子供たちへの支援も途絶えてしまいました。その結果、汚染食物による内部被曝で、現在80%の子供が病気という状態になってしまったのです。私が日本政府に望むのは、福島の人々、とくに子供たちに汚染のない食物を提供するよう努力することです。

さいわいバベンコ氏が作ったパンフレットで、放射能を減らすために何度も茹でてお湯を捨てるといった食べものの調理の仕方を、きれいなイラスト入りで説明したものが日本語に訳されて福島で配布されているのを見て嬉しく思いました。これは、家族で放射能から身を守りながら、子供に栄養のある食べものを与えるためのすばらしい本だと思います。

ここに書かれていることに、2点付け加えたいと思います。バベンコ氏は野菜をたくさん食べることが重要だと言っていますが、野菜の中でもニンジンや赤カブのような色の濃い野菜や、果物一般、そして海藻にはペクチンがたくさん含まれています。ペクチンは、セシウムが臓器の中に吸収されるのを防ぎますし、すでに汚染されている場合でも、臓器の中でウランやプルトニウムの派生物やセシウムを尿や便の形で体外に排出しやすくします。こうした野菜や果物に含まれる色素(カロチン)とビタミンAには、放射線が引き起こす損傷を修復する能力を高める働きがあります。放射線を被曝すると過酸化物ができ、それがDNAなど細胞内の器官を損傷しますが、色素やカロチンには抗酸化作用があるので、放射線への抵抗力を高めてくれるのです。

質疑

Q1:子供の糖尿病が増えているというお話しでしたが、これは自己免疫疾患と見ていいのでしょうか。

A1:通常、免疫システムは、あらゆる外来物質を認識するようにできていて、外来物質を攻撃し、破壊するようにできています。しかし、往々にして臓器では自分の体の細胞にグロブリンが付着することがあります。しかし、リンパ球がこの免疫系の「警察」のような働きを刺激する一方で、この活動を終わらせる働きをもつ別のものがあって、バランスを取るようにできています。膵臓の細胞が外来物質と認識されても、通常は非常に短い時間でこうした抗体は消滅してしまいます。ところが、チェルノブイリではこのメカニズムを止める細胞が無いために、この抗体が残留し、最終的に糖尿病を起こしてしまうのです。つまり、通常でも起きていることが長期化することによる問題といえます。

Q2:リンゴのペクチン酸や海藻のアルギン酸が、子供のセシウムの体外排出を促進するために利用されているということでしょうか。

A2:海藻に含まれるペクチンは、冷戦時代にソ連軍が核戦争に備えて兵士に配布していました。ソ連当局は世界中のペクチンを調査し、北海の海藻を選びました。冷戦終結後は配布をやめていましたが、10年前にロシア政府は福島のような原発事故に備えるために再開しました。しかし、他にも海藻はいろいろありますし、まだ市販化されていないペクチンもあります。日本で南の方の海に生息する海藻の研究をすれば、ペクチンを抽出するためのいい海藻が見つかるでしょう。その後、ドイツやウクライナでリンゴからペクチンを抽出するようなりました。このペクチンにはリンゴのほのかな味がするので、ヨーロッパでは子供たちが抵抗なく受け容れられます。食習慣が異なるので、海藻は食べませんが、リンゴのペクチンは喜んで摂取しています。

Q3:政府の基準を満たしていれば安全といえるのでしょうか。それとも数値をあてにしない方がいいのでしょうか。

A3:放射能汚染された食品を流通させると、危険性を拡散することになるので、流通させるべきではないというご意見に賛成です。往々にして、当局は食品を汚染している放射性物質に対する生物の感受性を過小評価します。測定をしても、すべての放射性物質を測っているわけではありません。野菜の放射線を測っても、ストロンチウムやプルトニウムが入っているかどうかは分かりません。汚染野菜を流通させるということは、危険を流通させるということなのです。
もうひとつは、成人については放射能の体内濃縮に許容基準を設定できます。たとえば、私のような老人は、多少汚染された食品を食べてもかまいません。しかし、妊娠中の女性については許容基準は一切ありません。絶対に避けなければなりません。ですから、汚染のない食品が得られる市場が絶対的に必要です。乳児も極めて感受性が高いです。母親が汚染された食べものを食べると、母乳を通して子供の体にも放射能が入ります。学齢未満の子供も、大人よりもはるかに感受性が高いので、汚染食品を避ける必要があります。

Q4:日本の基準はセシウムだけが対象で、ストロンチウムが対象になっていないのですが、これについてもう少し。

A4:放射線にはα、β、γなどいろいろありますが、これらをすべて測ることはできません。そのため、測りやすいγ線を指標にしているのですが、γ線の値だけで汚染の真実が分かるのではありません。α線、β線も存在しているのに、単に測られていないだけなのです。私はまだ日本のストロンチウムの汚染地図を見たことがないのですが、チェルノブイリでは一般的にストロンチウムのほとんどは原発から半径100km以内に集中しました。半径200km以遠ではほとんど検出されていません。α線源は原発から非常に近い範囲、おそらく半径30km圏内に落下しました。しかし、ウランやプルトニウムの派生物など放射能の微粒子が風に乗って拡散し、アメリカでも検出されています。α線源の高汚染地域はウクライナ共和国にもありますし、1000km近く離れたモルドバ共和国でも見つかっています。このように、比較的大きい放射能の粒子が風で遠くまで運ばれ、拡散します。たとえば、サハラ砂漠の砂でもヨーロッパまで飛んできたりしますよね。しかし、これを検出するのは非常に困難です。日本では、自動車の吸気フィルターを測定することを提案します。フィルターにはホコリが溜まりますから、フィルターを交換したときに、その中の放射性微粒子を測定すればストロンチウムやプルトニウムがどのように拡散しているかが分かります。福島にはいい市民測定所もありますので、そこで測定を依頼できるでしょう。検出する方法はこれしかありません。日本にはこれだけたくさんの人口がいるのですから、こういうふうにすればα線源についてより良く分かると思います。

Q5:(福島県双葉町・井戸川克隆町長)福島県は核実験場のような状況です。世界の中で、いまあのような環境の中で住み続けている地域はあるのでしょうか。危険な場合には避難すべきだと思いますが、避難についてどのようにお考えでしょうか。

A5(質問者が双葉町町長であることが伝わらず、質問の主旨も双葉町の汚染と避難と解釈したため、それに対する答え):ご質問の主旨を理解できた範囲での答えですが、原発から3kmのところにお住まいとのことですが、これはまさに現場の直近ですから、他の地域とは比べものにならない汚染が降っています。もちろん、その汚染物質が口から体内に入ることもありますし、ホコリの形で吸入することもあります。マスクをすれば防げる場合もあります。マスクをしなければ肺に入ります。とりあえず、理解できた範囲でのお答えです。ほかにもご質問があったかと思います。

(避難すべきかとの質問について)もちろん避難すべきです。言うまでもないことです。3月11日午後の爆発後すぐに避難すべきでした。疑問の余地はありません。

Q5′:福島県全体が核実験場くらいに汚染されてしまっているのに、原発にものすごく近いところまで県民がいまだに住んでいます。そのことについてどうお考えでしょうか。

A5′:言うまでもなく、水素爆発のあと放射能のガスや微粒子がどう流れるかは風しだいです。福島の場合は、爆発後3日間、西風が吹いたため、運がよかったと言えます。3日の間、放射能は海に流れました。海の生物には良くないことで、大きい魚が小さい魚を食べて放射能を濃縮するのは大きな問題ですが、陸地は汚染されなかった。その後風向きが変わって人の住む陸地に大きな放射能の染みができたわけです。チェルノブイリ周辺では2000 km2で居住禁止になりましたが、そのうち1000 km2が非常に強く汚染され、残り1000 km2は中程度の汚染になっています。ソ連政府は、放射能の雲がモスクワに到達する前に、モスクワの手前で人工降雨を振らせたため、原発から400〜500 kmという非常に遠い地域でホットスポットができました。

Q5″:ありがとうございました。何が言いたいかといいますと、子供の病気が発症するのを待つのではなく、発症を待たずに避難するのが人間として取るべき行動なのではないのかということを皆さんに訴えたかったのです。(拍手)数値がどうのこうのというのは、私は要らないです。発症しない手立てを取るのが大人である私たちの役目なのに、何故か政府も福島県もこれには積極的ではありません。私はここに非常に憤りをもって常に接しております。どうぞご理解ください。ありがとうございました。(拍手)

Q6:遺伝的影響についてお聞きしたいと思います。野ネズミの実験では汚染地域に住んでいる野ネズミ22世代にわたって遺伝的影響があり、代を追うごとに障害がひどくなってきたとのことですが、野ネズミなり人なりが汚染地域の外に出た場合にどうなるのか、どうなっているか、実験か調査があれば教えていただきたいのですが。

A6:ここで話すのにとてもいいテーマだと思います。ベラルーシのローザ•ゴンシャローヴァは、1986年の事故直後にチェルノブイリに入り、ハタネズミの調査を始めました。それで分かったのは、最初は原発に近いほど突然変異が多いということ。しかし、320 km離れたところでも、ネズミにすでに突然変異や変化が存在していたということです。数は少なかったけれども、確かに存在していた。恐ろしいのは、このネズミの集団を何世代にも継続して調査していくと、遺伝的な異常の増加が見られたことです。放射線が弱い地域でも、その100倍も強い地域でも、あらゆる地域で遺伝系の損傷が見られ、22世代まで世代を経るごとに悪化したという事実です。その後、住民の不安の拡大を恐れた政府は、この調査を禁止したのでした。

Q7:内科医をしております。子供たちの甲状腺検査や血液検査、エコーで検診をしています。福島では、超音波検査で嚢胞が増えているのが気になっています。東京あたりでも甲状腺のエコーや血液検査をたんねんにしていく必要があると思われますか。

A7(質問の内容がよく伝わっていない):甲状腺は繊細な器官で、放射性ヨウ素を蓄積します。先ほど申しましたように、ヨウ素がなくなった後は、セシウムを濃縮します。ですから、甲状腺は細胞が損傷する大きな危険にさらされます。細胞が死ぬと、その断片が体の中を移動しますが、免疫グロブリンは、当たり前ですが、これを認識して攻撃します。これが長期化しますと、免疫グロブリンが甲状腺細胞を攻撃し、損傷が増え…という悪循環が始まります。これが先ほど話の出た橋本病です。次に、甲状腺の損傷が大きくなると、腫瘍もできてきます。良性の腫瘍、つまり甲状腺腫です。これは良性ですから、すこし邪魔になるだけで、手術も簡単ですし、問題ありません。このほか、被曝年齢が低いと、例外的に子供の甲状腺ガンになることがあります。子供の甲状腺ガンは、通常100万人に1人しかありません。しかし、チェルノブイリでは、ひとつの医院で3〜5人の甲状腺ガンが見られます。これは、非常に重大な蔓延と言えます。チェルノブイリでは、甲状腺ガンの蔓延が1990年に公式に認められました。90年ですから、爆発から4年後ということですが、これは潜伏期としては非常に短いと言えます。通常、ガンの潜伏期は10年とか、20年、あるいは30年ですから。

司会者

もう時間が来てしまいました。フェルネクスさんは広島、京都、浦和、郡山、東京都、83歳というお歳にもかかわらず、ものすごいハードスケジュールで本当に精力的に講演をしてこられました。「でも、肥田俊太郎さんは95歳ですから、あの人に比べたら私はまだ若いですよ」とおっしゃっていました。もう明日帰られるんですけれども。ミシェルさん、今日はどうもありがとうございました。(拍手)

放射能から子供たちを護るために──ミシェル・フェルネクスさん東京講演の記録
http://nishoren.net/food_safety/radioactivity/2276
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こうして日本の子供たちのために講演を行う学者がいる一方で、甲状腺検査で異常数値の出た子供たちの再検査を封じる学者もいます。

異常数値が出る子どもを放置――山下氏の指示を黙認する政府に怒号
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=2135

どちらに耳を傾けるべきか、語るまでもありません。

風疹が成人男性に流行している

2012-06-20 | 震災・原発 | By: sorakuma

風疹が成人男性の間で流行しているとして、国立感染症研究所は予防接種などの対策を呼びかけています。
原因ははっきりしませんが、統計からは、京都・大阪・兵庫を中心として流行していることが見て取れます。

NHKニュースでも取り上げられていました。
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妊娠初期の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんに障害が出るおそれがある「風疹」が成人の男性を中心に流行し、国立感染症研究所は、周りの妊娠中の女性に感染が広がるおそれもあるとして、予防接種を受けるなどの対策をとるよう呼びかけています。

風疹は、発熱や発疹、リンパ節が腫れるなどの症状が出る感染症で、患者のせきやくしゃみなどから広がります。
国立感染症研究所によりますと、今月10日までに全国の医療機関から報告された患者の数は330人で、今月に入って急増していて、都道府県別では、兵庫が101人、大阪が85人、東京が37人などとなっています。
患者の8割は男性で、その多くが20代から40代です。
風疹の予防接種は、現在、1歳と小学校入学前の2回行われているほか、予防効果を高めるため、中学1年生と高校3年生にも行われています。しかし、平成6年までは、予防接種の対象が女子中学生に限られていたため、免疫がない成人男性の間で感染が広がっているとみられています。
風疹は、妊娠初期の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんの心臓や耳、目などに障害が出るおそれがあるため、国立感染症研究所は、風疹になったことがない人は予防接種を受けてほしいと呼びかけています。
国立感染症研究所感染症情報センターの多屋馨子室長は「流行の中心になっている20代から40代の男性の周りには妊娠中の女性がいると思うので、風疹を広げないよう、男性も予防接種を受けてほしい」と話しています。
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風疹が成人男性に流行 注意呼びかけ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120620/k10015982601000.html

風疹の発生状況は、グラフにすると次のような右肩上がりのグラフになります。

大阪・兵庫。それから東京で患者数が多くなっています。

成人男性で罹患数が多くなっています。

一方、女性では年齢による偏りは見られません。

男性の20代、30代、40代での件数が多くなっています。

過去に風疹のワクチン接種を受けているかが影響しているようです。

人口比あたりで見た場合、京都・大阪・兵庫での件数が多いようです。

感染症発生動向調査(IDWR)- 2012年6月 – 23週
http://www.nih.go.jp/niid/images/idsc/disease/rubella/2012pdf/rube12-23.pdf

原因が本当に風疹であれば、ワクチン接種で予防することができるはずです。
過去にワクチン接種を受けていない方は、念のため予防接種を受けておくのが無難かもしれません。

そして、今になって風疹が流行しだした原因を、私たちは考えなければなりません。

【福島第一】2号機で、水素濃度が急激に上昇している

2012-06-19 | 震災・原発 | By: sorakuma

福島第一原発2号機で、水素濃度が急上昇しているという情報があるようです。
何事も起こらなければ良いのですが…。

仮に水素濃度がこのまま上昇し続け、4%を超える事態になった場合、水素爆発を起こす可能性もある、といいます…。

Sharply increasing hydrogen concentration in reactor2
http://fukushima-diary.com/2012/06/sharply-increasing-hydrogen-concentration/

ドイツ緑の党:野田首相は恥を知れ

2012-06-19 | 震災・原発 | By: sorakuma

ドイツ緑の党が野田首相に対して送った抗議声明文が邦訳されているので紹介。

邦訳:野田首相は恥を知れ(6/16 Don’t Let Me Down)

他国の政党のほうが、日本の政党よりよほど日本国民の声に耳を傾けているという事実。本当に日本人として恥ずかしくなります。
ドイツに負けぬよう、私たちも自分たちの声を政府に伝えなければなりません。

全てをうやむやにしたまま、必要性も安全性も論じられぬまま原発を再稼働させることは許してはなりません。

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Letter of Protest
抗議声明文

To: Mr. Yoshihiko Noda, Prime Minister of Japan
日本国首相、野田佳彦殿、

Shame on you, Mr. Noda – listen to your people and act responsibly – Don’t restart Ohi reactors – Come up with a responsible energy policy based on conservation and renewable energy”
‘野田首相は恥を知れ ―国民の声に耳を傾け、責任ある行動を取れ― 大飯原発を再稼働するな ―資源保護と再生エネルギーを基本とした政策を責任をもって構築せよ―

Dear Prime Minister,
野田首相、

We protest your decision to restart two nuclear power reactors in the town of Ohi in Fukui Prefecture. We ask you to reconsider and instead impose a moratorium on nuclear power in Japan. We ask you to come up with a responsible energy policy for a Japan without nuclear power and based on energy conservation and renewable energies.
我々は、貴職の福井県大飯町原発二基再稼働決定に抗議する。再起動について再考を求め、代わりに日本国内原子力発電の一時停止発動を要求する。資源保護と再生エネルギーを基本とした、原発のないエネルギー政策構築を要請する。

Here are our reasons:
事由は以下の通りである。

① Your decision is undemocratic. The Japanese public is not supporting you. Many members and parliamentarians of your own party are not standing with you.
貴決定は民主主義から逸脱している。日本国民は貴殿を支持していない。貴民主党内部でも多くの国会議員が反対の立場を表明している。

② The full truth about the meltdown of the three reactors in Fukushima has not been established, yet.
福島原発三基のメルトダウンについて、未だ事故原因の真相が明らかにされていない

③ The prevailing, temporary safety standards that have been applied by the stress tests and that you referred to when you declared the Ohi reactors to be safe, are insufficient. At present, essential safety measures that are required by the stress tests have not yet been implemented in Ohi. It is not verified whether the reactors can be shut down safely if a serious earthquake were to occur.
大飯原発のストレス・テストに適用され、かつ同原発安全宣言の際に言及された現行の暫定安全基準は極めて不十分である。現在に至るまで、ストレス・テストに本質的に不可欠の安全対策が実施されていない。もし深刻な地震が起きた場合、原発を安全に停止できるか否かが検証されていない。

④ Any new regime of safety standards must be formulated and overseen by a truly independent Nuclear Safety Agency. This agency has not yet been established, and parliamentary procedures have just been started.
新たな安全基準制度は、独立した第三者原子力安全機構によって制定され、かつ遵守されなければならない

⑤ The sharp increase in seismic activities in Japan since the earthquake and tsunami catastrophe of March 11 is alarming. The fact that there are active fault lines in the vicinity of the Ohi reactors, and perhaps even under the site is a major reason of concern.
三月十一日の東日本大震災以降の日本列島の地震活動の激増は、警告を発している。もしかすると原発敷地の直下に存在するかもしれない活断層が大飯原発周辺に複数存在するという事実が、再稼働に対する大きな危惧となっている。

You may reject this letter as an outside interference into the internal affairs of Japan. However, we know since Chernobyl and Fukushima that the fallout of nuclear accidents does not know national borders, but severely impacts the global environment and bears unknown risks to the health of all mankind. We believe it is our moral obligations to voice our concerns to you.
貴職は本状を内政干渉として拒否されるかもしれないが、チェルノブイリ及び福島原発事故以来、原発事故がもたらす死の灰に国境はないこと、地球環境に深刻な悪影響を与えること、さらに人間に不測の健康被害を及ぼす危険等々を我々は承知している。

We also know that our concerns are shared by many people in your country and that a majority of your people does not agree with you. We have high respect for the people of Japan, for their sense of community and service in times of great harm. We believe in their creativity and strong will to overcome these difficult times, and to rebuild a Japan without nuclear power.
我々はまた多くの貴国民が同様の危惧を抱き、国民の過半数が貴職に反対表明していることを承知している。我々は、大災害時の地域社会において共同体連携意識を発揮する日本国民に対して高く敬意を払うものである。我々は、日本国民がこの困難な状況を克服し、原発のない国家を再建されるための創造力と強い意志を発揮されることを信じる。

We, therefore, ask you to kindly reconsider the restart of the Ohi reactors and to declare a moratorium on nuclear power. We ask you to come up with a responsible energy policy for a Japan without nuclear power based on energy conservation and renewable energies.
我々はここに、大飯原発再稼働を再考願い、原子力発電の一時停止宣言を要求する。
我々は、貴殿に対して、資源保護及び再生エネルギーを基本とした責任あるエネルギー政策を確立されんことを要請する次第である。

Yours sincerely,

Date:

Signature:
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