英語を話すための7つのエッセンス
英語を話すのに大切な7つのエッセンスについて紹介したいと思います。
『英語を話すためには、英語を勉強しないといけません。』そう習って育ってきた私は、学校で10年にわたって英語を勉強してきたにも関わらず、英語を話すことができません。理由は簡単で、英語の勉強をすること、と英語で話すことはまったく異なることだからです。
英語を勉強しても、英語を話すことはできません。それは、勉強するということ自体が、英語を日本語として解釈し、理解しようとする行為だからです。この本は、そういった英語を話す上での無駄な作業を一切排除し、英語を話すということはどういうことか、英語を読むということはどういうことか、というところからスタートします。
英語を話す上で必要なことだけを行うこと、高価な教材は必要ないこと、そして、英語を話すことは、いわゆるお勉強ではないこと。この3つがこの本に最初に書かれているテーマです。
私を含め、多くの日本人は英語を話すということを勉強するということに取り違えてしまっています。まずはその誤りを知り、英語を話すために何をしたらいいかを陥りやすい誤りを回避しつつシンプルに導く。これがこの本の狙いでもあります。
この本を読んで特に目から鱗だったいくつかのエッセンスを紹介したいと思います。
1. 「英語を読む」とはどういうことか?
日本人のほとんどが、英文和訳や英文解釈のように「英語を日本語に訳す=英語を読む」だと思っていたのではないでしょうか。
でもそれは違います。
英文法に忠実に文章を分解して英語を訳していくのではなく、文頭から英語のままで読む。そして英語のまま理解する。つまり、「英語を読む」とは、英語を、英語のまま、「内容を英語で読む」ということなんです。
私もこれを読んで、目から鱗が落ちる思いでした。学生時代、英語を日本語に訳してから英文を解釈しようとしたりた、必死に英文に日本語訳を併記して内容を把握しようとしても、それは英語を一切英語を話すことにつながっていなかったのです。
2. 知らない形容詞は、「good」か「bad」に変換する。
たとえば、名刺の説明をする形容詞には、「いい」か「悪い」しかないと割り切ってしまいましょう。分からない形容詞は、いい形容詞か悪い形容詞——ホメてるか、けなしてるかのどちらかだと。実際、ほとんどの形容詞は、そのどちらかに分けられるんです。
知らない単語なんだから、覚えない限り最後まで意味なんて分かるはずがない。
形容詞は「good」か「bad」に変換してしまう。本来の意味とは違うかもしれませんが、これで十分に乗り切れます。最初はそれでいいんです。
英文を読んでいくので大切なことの一つは、そのスピード感にあります。ひとつひとつの言葉の意味を気にすることで、スピード感が損なわれてしまうと、英文を英文として理解することができなくなってしまいます。Geniusを片手に単語を一つずつ調べながら・・・そんなやり方は必要なかったのです。なんとなく、いいことを言っているか、悪いことを言っているか。まずはそれだけわかることが大切だったのでした。
3. 「出だしは12種類しかない」ことを知っておく
- 前置詞で始まったら、イントロ
- 「The〜」とか「A〜」なら、主語
- 「When〜」で始まってカンマがあったらイントロ
- 名詞で始まったら、ほぼ主語
- 「It〜」なら、「It〜that…」か「It〜to…」となって、だいたいが仮主語
- 「To〜」ならイントロか、カンマがなければ主語
- 「There〜」なら、There + 動詞 + 主語 で「Sがある」となる
- 「V ing〜」なら、イントロもしくはカンマがなければ主語
- 「V ed〜」なら、カンマまでイントロ
- 「What〜」なら、文末に ? などがなければ主語
- 「〜lyやBut」なら、カンマまでイントロ
- それ以外の特殊なケース(ほとんど出てこない)
4. 究極のところ、英文は「S + V」しかない
イントロ(状況などの説明)+ S (主語)+ S の説明、V (動詞) + V の説明
英文を与えられると、左からまず意味をひとつずつ解釈し〜というのが普段の読み方でしたがそれも遠回りでした。ざっとみて、まず主語と動詞を見極めてしまう。あとはその説明。そう考えると、英語はとてもシンプルになります。そうやって、まずはシンプルな英語を解釈することを目指せばよかったのです。
5. リスニングは“耳の筋トレ”。使うのは知力ではなく筋力
英語が聴こえるようになるには、耳を鍛えて高周波を聴き取る力をつけるしかない。だから「リスニング力を身につけるために必要なのは勉強ではなく耳の筋トレ。そのとき使うのは知力でなく筋力」なんです。
これも、発音記号で理解するのではなく、英語を聴くための下地をつくるのが必要であるとのことでした。そのためには、とにかくたくさん聴くことが大事。筋トレと考えると、コツコツ続けられる気がしてきます。
6. 日本人に英作文は無理。あきらめて“英借文”を
結論から言ってしまいましょう。
私たち日本人には、英作文はできません。無理です。
これも、いわれてみればその通りなのですが、目から鱗でした。考えてみれば、私たちの日本語にしても、どこかで作られた日本語の使い回しをしているだけで、日本語の文章を考えて表現する、ということは稀なのかもしれません。例えば時候の挨拶。「〜の折、益々ご清栄のことと存じます〜」なんて表現を、いちいち考えて作っている人は多分いません。それを「知っていて」「選んで」「引用している」に過ぎないのです。日本語ネイティブの私たちでさえそうなのですから、ましてや他言語の文章を自然に構成することなどできるはずもないのです。
7. 日常英会話は5パターンしかない
日常の英会話では、「あいさつ」「依頼する」「質問する」「意思を伝える」「相手の意向を聞く」—この5項目意外の必要に遭遇することはほとんどありません。
実際に著者の村上氏は、この5パターンだけで3ヶ月間のアメリカ研修時代を乗り切ったとか。難しい表現が必要なのではなく、伝えたいシンプルな要素を凝縮すると、これだけのパターンでも意思の疎通はできるということです。
以上が、私の感じた本書における英語を話すための7つのエッセンスです。
村上氏は、氏が30年以上前、本書に書かれた考えをもとに30を過ぎてから英語を本格的に学び始め、Googleのトップまで上り詰めまています。
私自身もそうなのですが、英語をしゃべるにあたって、一番障害になるのは、未熟な英語をしゃべるのは恥ずかしい、ということではないでしょうか。
しかし、想像してみてください。駅で、外国人に日本語で道を聞かれたとします。片言の日本語ですが、私たちにはだいたい何をいいたいのかわかります。そんな場面で、ほんの少しでも『恥ずかしい日本語だな』、と思いますか?
私は一切思いません。他国の言語を学び、その言葉で意思を伝えることを尊敬することはあっても、馬鹿にすることなどありえません。それは私たちが扱う未熟な英語であっても同じことです。第二外国語、第三外国語として学ぶ以上、自国の言語より拙いのはむしろ当然のことです。
本書の考えをもとに、英語を話す、英語を英語として解釈するための足がかりとして、一から英語、英会話に取り組んでみたいと思います。