インド紙:日本政府が推進するインドの「日本品質の街」は投資家のためのもの
1月5日、日本政府が官民一体のインフラ輸出施策として、5万人が生活できる都市をまるごと輸出する計画が立案されています。
インドに「日本品質の街」輸出…大規模都市開発
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120105-OYT1T00638.htm
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日本政府は、官民一体のインフラ(社会基盤)輸出として、インド南部のチェンナイ近郊で、大規模な都市開発を行う方針だ。
中小企業向けの工業団地と、日本人好みのショッピングセンターや病院なども併設した5万人が生活できる街をまるごと「輸出」する。
政府の新成長戦略に基づくインフラ輸出で、都市開発事業が具体化するのは初めて。
枝野経済産業相が10日、チェンナイを訪問し、州政府に支援要請する。
みずほコーポレート銀行とプラント大手の日揮が現地開発会社に計40億円を出資する計画だ。工業団地は2・3平方キロ・メートルで今夏から販売を始め、2013年に進出工場の稼働を予定している。
併設される居住地区は2平方キロ・メートルで、インド洋を望む高級マンション群が中心の「リゾート都市」を13年以降、順次開発する。日系のショッピングセンターやゴルフ場、日本人医師が常駐する病院なども整備する計画だ。日本人駐在員が家族で暮らせる高品質な街づくりを目指す。
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どうしてこの時期に、こういった計画が遂行されているのかと考えてしまうような記事ですが、
The Times of India紙によると、これは 投資家のための街であるとはっきり明言されていました。
投資家とは、すなわち富裕層と置き換えることが出来るかもしれません。
1,500-acre Japanese township to come up soon on OMR
http://timesofindia.indiatimes.com/city/chennai/1500-acre-Japanese-township-to-come-up-soon-on-OMR/articleshow/11443415.cms
それによると、
『タミルナードゥ州政府は日本の投資家のための住宅および産業施設で1500エーカーの総合都市を構築するために日本のコンソーシアムと不動産開発業者のアセンダスの覚書を締結した。』
とあります。
富裕層が関東を離れているという噂はまことしやかに囁かれていますが、こんな計画が立案、実行されているというのは、それが事実であることを物語っていることに他ならないのかもしれません。
彼らはおそらくは、このまま日本に住み続けることがどんなリスクを産むか、よくよく把握しているのでしょう。
福島やその周辺、避難地域に指定されず、何の補助もないままに取り残されている人々とは非常に対照的です。
人々は、日々の生活のため、家族を残して土地を離れることができないため、自らの社会的な責任のため、そして何より経済的な問題のため、自らの手で手探りの除染をしつつ、放射能のリスクに晒された生活を続けています。
そんな彼らを差し置いて、リスクのある土地に縛り付ける一方で、富裕層は日本を離れ、整備され、安全、安心、快適な環境で日々を過ごすのでしょう。
福島の南相馬に住む方のblogでこんな内容がありました。
ぬまゆのブログ
日々、変わる 体調 ・・・ どうにもならない 南相馬市 ・・・
一部を抜粋すると…
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昨日は、
さんざんでした。
立っていても、座っていても 「 めまい 」 が します。
今日も、同じですが ・・・
ゆうべ、
お風呂で、シャンプーした 後、
手ぐしで、髪を ほぐしたら、
髪が ・・・
「 束 に なって 」 抜けました。
しばらく、
呆然と 立ち尽くしてしまいました。
長かった 髪は、 2週間 ほど 前に、
ばっさり 切りました。
少しでも、抜け毛を 減らしたくて ・・・
外出する 時には、
ウイッグ ( 長髪の カツラ ) を 着けています。
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勿論、この内容が100%の事実であるとは限りません。ですが、こういった環境で生活することを
余儀なくされている方々がいることは疑いようがありません。
このインドの都市のような計画が、福島や汚染の危機に晒されている人々のためにあればと、
そう願っていたのですが…。
原発事故の収束を謳い、事故を過去のものとして扱おうとしている政府には、
それを期待するのは最初からありえないことなのかもしれません。