1.5京ベクレルの海洋汚染の影響:毎日魚介類を摂取すると年間60Sv相当かも
既にいろいろなニュースサイトで記載のあるとおり、9月8日の日本原子力研究開発機構により、汚染水の流出に加え、大気中からの降下分などを合わせた海洋への放射能放出総量が1.5京(1京は1兆の1万倍)ベクレルを超えるとの試算を報告しています。
海洋汚染1.5京ベクレル超=東電推定の3倍-原子力機構が試算・福島第1原発
この内訳は、ヨウ素131が1.14京ベクレル、セシウム137が0.36京ベクレルで、その他の放射線核種は含んでいません。
陸上におけるセシウム137とセシウム134の汚染濃度が1:1だったことを考えると、セシウム134についても同程度あると考えていいかもしれません。ストロンチウムやプルトニウムといった、致命的な放射線核種の情報も含んでいないことから、実質は2京ベクレル近く放出された可能性もあります。
1.5京ベクレルもの海洋汚染の影響とはどれほどのものなのでしょうか。
まず、東電が過去に行った汚染水の海洋投棄がどんなものだったか振り返ってみたいと思います。
東電の海洋投棄は、今回を含め3段階あります。
今年4月、汚染水海洋廃棄の今後、として書いた記事の中で、下記のニュースを引用しています。
東電、低レベルの放射線汚染水を海に放出へ 法定濃度の100倍
この中に、次のような記述があります。
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この汚染水の海洋放出に伴う海への汚染影響は、近隣の魚介類や海藻などを毎日、摂取すると、年間約0.6ミリシーベルト被曝(ひばく)する計算となる。これは自然界などから受ける年間線量(2.4ミリシーベルト)の4分の1に当たる。
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この時流れた放射性物質は、1500億ベクレルであったといいます。
そして、さらに4月21日、高濃度汚染水が海洋投棄されます。
4700兆ベクレルを上記のニュースでの計算に当てはめてみましょう。1500億ベクレルで0.6mSv/年です。
その30000倍は、18000mSv/年。近隣の魚介類や海藻などを毎日、摂取すると、年間約 18Sv 被曝する計算です。
この時点でいろいろアウトですが、今回の1.5京ベクレルのニュースです。
1500億ベクレルではなく、1.5京ベクレルということ元の100000倍、近隣の魚介類や海藻などを毎日、摂取すると、年間約 60Sv 被曝する計算、ということになります。
1.5京ベクレルには、半減期8日間の放射性ヨウ素も1.14京ベクレル含まれますが、半減期30年というセシウム137や、同程度存在しそうな半減期2年のセシウム134、半減期がほぼ生涯にわたるストロンチウムや永遠ともいえるプルトニウムが計算に含まれていないこと、そして生物濃縮が行われる可能性を考えると、今後、安全を確認できる情報が出てくるまで、魚介類の摂取は、控えたほうがいいかもしれません。これだけの汚染であることを考えると、あるいは少なくとも私たちが生きている間はずっと。
4月時点の産経新聞の計算式を元にしているため、現時点での計算、推測は別な値になると思われます。
今回の、少なくとも1.5京ベクレルの放射性物質の海洋投棄を受けて、海洋生物に与える影響、それを摂取した場合の私たちの被曝状況が、専門機関により計測され、公開されることを心待ちにしております。
9/13追記—-
「不検出」だった福島沖で汚染268倍 高感度分析
福島県沖における海域モニタリングの再分析結果について(試料採取日:平成23年7月28日~平成23年7月29日)(平成23年9月12日)(PDF:339KB)
9/14追記—-
流出のセシウム、北太平洋を循環 20~30年で