ストロンチウムの汚染分布を考える
14日、横浜で公式にストロンチウムが検出されたことが発表されました。
いわゆるマイクロスポット堆積物のストロンチウムの測定結果について(PDF) 横浜市記者発表資料より
各新聞社でも、原発から250キロもの距離が離れた横浜でストロンチウムが検出されたことが取り上げられています。
横浜市検査でもストロンチウム…港北の2か所
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111014-00001201-yom-soci
横浜でストロンチウム検出 100キロ圏外では初
http://www.asahi.com/national/update/1012/TKY201110110626.html
しかし、この検出事態は予測できないことではありませんでした。
原発事故の際、ストロンチウムはセシウムと一緒に放出されるためです。
問題は、ストロンチウムはベータ線しか出さないため分析、検出が難しいことにあります。
このため、ストロンチウムはセシウムとの存在比率によってストロンチウムの存在量を推定します。
文部科学省が9月30日に公開した資料、『アルファ線放出核種(Pu-238,Pu-239+240)及びベータ線放出希少核種(Sr-89,Sr-90)のデータの処理について』によると、セシウムとの存在比率が試算されています。
それによると、セシウム137に対するストロンチウム90の存在比は0.00016〜0.058(平均0.0026)であるといいます。
非常に大雑把ではありますが、セシウム137降下量に対して0.0026をかけると、ストロンチウム90の量が試算できることになります。
アルファ線放出核種(Pu-238,Pu-239+240)及びベータ線放出希少核種(Sr-89,Sr-90)のデータの処理について(PDF)
横浜の例で考えると、
試料1においては、
セシウム137+134(39012Bq/kg)×0.0026=101.4となります。
横浜で検出されたストロンチウム89と90の合算が129Bq/kgですので、ある程度近い値となります。
試料2においては、
セシウム137+134(31570Bq/kg)×0.0026=82.1となります。
横浜で検出されたストロンチウム89と90の合算が59Bq/kgですので、こちらも、ある程度近い値となります。
大事なことは、ストロンチウムについても、十分な検査がなされていないだけで横浜と同様全国に拡散していると考えられることにあります。
文科省が公表した存在比率は0.00016〜0.058とかなりの幅があるので過信は禁物ではありますが、地表についてはセシウムの降下量に対し0.0026を乗算することにより、ある程度のストロンチウムの降下量を推測することができるはずです。
ストロンチウムの分布マップとセシウム降下量を重ね合わせると、セシウム検出の高い部分に対してストロンチウムが検出される傾向が見て取れます。
ストロンチウムはベータ線からの計測になるため、実測が難しく、測定結果が出るまで時間がかかると思われます。
それまで、セシウムが存在するところにはストロンチウムも存在するものと見て、警戒を怠らないようにしましょう。
ストロンチウムは、人体がカルシウムと誤認して蓄積され、骨に溜まり、白血病を引き起こすと言われています。
カルシウムが不足することのないよう、食生活の栄養バランスやサプリメントなどで予め補っておくといいかもしれません。
追記—-
放射性ストロンチウム・・固相抽出法による測定の留意点
http://www.radio-isotope.jp/tech/Tech_Sr_remark.html
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参考のみですが、同位体研究所において調査した放射性ストロンチウムの存在比(放射性セシウム対比)は、多くが1%未満でした。 この点から放射性セシウムが例えば10,000ベクレルを超えるような場所では、放射性ストロンチウムも100ベクレル程度の存在も疑われますので、測定の検討も有効かと考えられます。
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こちらでは、最大で1%程度の存在比率で試算とあります。
この他、ストロンチウムは農作物の移行係数はセシウムと比較してどうなのでしょう…。