『世田谷にはラジウムなど埋まっていなかった』という仮説
世田谷区で見つかった高線量地域からは、立て続けにラジウム226の瓶が発見された、というのが公式の見解となっています。
最初に世田谷で見つかったラジウム瓶は、歩道から数μSv/h、数メートルの距離から、放射線源としては600μSv/hのラジウム226が検出、そして今回地表から110μSv/hもの放射線を検出した地中からは、40mSv/hものラジウム226が見つかったといいます。
東京・世田谷区高放射線量検出問題 駐車場のアスファルトの下からラジウム入り瓶回収
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00210807.html
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東京・世田谷区のスーパーの駐車場から高い放射線量が検出された問題で、文部科学省は、スーパーの店内など新たに15カ所で、高い放射線量が検出されたと発表した。
文科省が作成したスーパー周辺の放射線マップによると、店内の商品棚の下で、毎時8マイクロシーベルト(μSv)が検出されたほか、駐車場では、毎時12マイクロシーベルトが検出されるなど、新たに15カ所で高い放射線量が検出された。
一方、文科省は2日、毎時110マイクロシーベルトが検出された駐車場のアスファルトの下から、ラジウムが入った瓶を全て回収した。
割れていた瓶の中には、茶褐色のラジウムの塊があり、透明なガラスは、ラジウムによって紫色に変色していた。
撤去後の放射線量が、毎時25マイクロシーベルトまで下がったため、文科省は、この瓶に入っているラジウムが原因と断定した。
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しかし、これだけ多数のポイントに、それぞれ高放射線量の汚染源が埋められることなどあり得るのでしょうか?
その答えは、柏で発見された57.5μSv/hの放射線源にあると考えます。
つまりは、雨水枡の破損、雨水からのセシウムの凝縮です。
破損した側溝から雨水が土にしみこんだため放射線量が上昇したのが真相だったといいます。
破損した側溝から雨水が漏れ、土がフィルターの役割を果たしたため放射線濃度が局地的に上昇しました。
集約されれば数十μSv/hもの線量を放つということです。
集約されなかったとしても、それだけの放射能を含んだ雨が日々降下していることになります。
柏と同様の事態が世田谷で起きていると考えるのは、それほど不自然なことではありません。
世田谷のスーパー地下に埋まっていて違和感がなく、放射線源となりうるもの。それは、破損した雨水管ではないかと考えます。
雨水管から漏れ出した雨水が付近の土壌に染み込み、土壌がフィルターのように放射性物質を集積した結果、高放射線量を放つ結果になった原因ではないでしょうか。
それに類する情報をネットで検索していると、10月の段階で同様の結論に達しているブログがありました。
[原発]世田谷110μsv(170μ)の現地を実際に計測してみて推測
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20111029/1319828549
一部を抜粋すると…
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そろそろ問題視して報道して良いころでは…
「屋根と雨どい出口土壌が、大量の汚染水を一カ所の小さいフィルターで濾過処理するプラントと同じ働きをしている」
「だからどの家庭でも雨どい出口は1μsvは常にいっている可能性がある。」
…
明らかに、店舗建屋の雨どい直下が、飛び抜けて高い。
最高5.73μsvh。まだもっと高い数値は出そう。
その周辺はがくんと、2~1μに下がる、やる気のなさそうな途切れ途切れのカウントである。
翻って、世田谷のスーパーは大きな建物だ。
屋根も広ければ 雨どい排水管もぶっとい。
「はは~ん」と、普段から雨どい線量ばっかり測ってる俺には納得できた。
おそらく、
地下埋設の雨水配水管が、ここだけ壊れ、
水が下水道へ行く前に漏出してるのでは無いか?
雨水溝下水道へ配管してある…はずだが割れてたり詰まってるケースはたまに見かける。
しかも詰まってる場所があると、他の配水管の仕事が増えてしまう…つまりセシウムが濃くなる。
…
どちらかというと、セシウム濃縮プラントとして巨大だからと言うだけのような気もする。アレバやサリーと同じだ。
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エントリ内には、実際に測定した結果、線量が高かったポイントの画像が載っていました。
柏では事実をありのままに報道し、世田谷区ではラジウムが埋まっていたことにした理由。
なぜ、ラジウムという原因物質が存在するとして報道したかについては、おそらくは地価の問題があるのではないでしょうか。
原因が過去に埋まっていたラジウムということになれば、原因物質が取り除かれれば、放射性物質の汚染はなかったことになります。
しかし、原因が福島第一原発由来の雨水によってもたらされたものであれば、その原因が取り除かれるのは容易ではありません。
雨水のたびに付近の線量が上がり、雨水が集積する場所では簡単に警戒区域レベルの放射線量に達することが公になれば、世田谷区の高級住宅街に住むような上位層であれば、そんな土地に住みたいとは思わないでしょう。
今は緩やかに地価が下がっている状態でしょうが、これが周知となれば、地価は大幅に下がるでしょう。
土地を持つ資産家、あるいは土地を担保にする銀行などは、そうなる前に、その土地を売り抜けたいと考えるはずです。
そもそも、110μSv/hの地点に埋まっていたというラジウム226についても不審なところが見受けられます。
朝日新聞の記事によると、半減期の短い鉛214やビスマス214が検出されているという点です。
世田谷・八幡山の高線量 地中に試薬の瓶(朝日)
http://www.asahi.com/national/update/1101/TKY201111010480.html
※記事から、鉛214、ビスマス214という記述が変更され、それぞれ鉛、ビスマスに変更されています。
不都合な点でもあったのでしょうか。
鉛214の半減期はわずか26.8分、ビスマス214の半減期は19.9分のため、長く安定して維持できる核種ではありません。
ほとんど間を置かずに鉛210に変化していくはずです。
にも関わらず、半減期26.8分の鉛214や、半減期19.9分のビスマス214が掘削した土壌から『見つかった』のはなぜでしょうか?
それだけ崩壊の速い核種であれば、長期間埋められていたのであれば、少なくとも鉛210にまで変化しているはずではないでしょうか?
11/08追記—-
コメントより転記させて頂きました。
ご指摘ありがとうございます。
ラジウム226も(物質の大きな出入りがない環境で)一定の期間が経過すると、ラドン222はもちろん、鉛214やビスマス214、ポロニウム218も崩壊数の収支が釣り合って、見かけ上ずっとそこに存在するようになるのです。
#正確には、供給源のラジウム226と同じペースでしか減らない。
だから、ラジウム226が存在する環境では、ラドン222以下の核種(特に鉛210より前の)が全て発見されます。その中で崩壊に伴って比較的強いγ線を放射する鉛214とビスマス214が最も簡単に検出されるのです。
鉛214やビスマス214(の崩壊からのγ線)が検出された、ということに不自然な点は何もないのです。
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まるで、土壌を掘削した際に、ラジウム226であることを関連付けておくために、娘核種である鉛214やビスマス214を配置したかのような、そんな印象さえ与えかねません。
おそらく、今後は地中の雨水枡や雨水管からの汚染の凝縮による高放射線量地帯は、それこそ数十μSv/h、あるいは100μSv/hを超えて、各地で見つかることでしょう。
その頃には、マスコミや政府は、それぞれの地区でラジウム瓶が見つかった、などという苦しい言い訳をすることはできなくなるはずです。
酸性雨ならぬ、放射性雨が首都圏に降り注いでいるという事実、それが私たちの生活圏に深刻な影響を与えかねないレベルであるという事実は、変えようがないのですから。
追記—-
ラジウム226の検出はスペクトルデータから明らかなのではないか、というご指摘を頂きました。(ご指摘ありがとうございます)
仰るとおりなのですが、仮に隠蔽することが目的であった場合、原因物質が先に持ち込まれた上で計測されるのではないか、と考えてしまいます。
柏の高線量がセシウム由来として公開された原因の一つには、一般市民のスペクトルデータ公開によって、隠しようがなくなってしまったことがあるのではないか、と。
反面、世田谷は、どちらも屋内や地中に原因があったため、何らかの操作が可能だったのではないか、と…
これは考え過ぎでしょうか…。
追記—-
今回発見されたいくつかの高線量ポイントが、一直線に並んでいることも気になります。
今線量ポイントに沿って雨水管などが配置されている…ということはないでしょうか?
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Comments
Comment from sorakuma
Time 2011年11月4日 at 9:32 AM
ご指摘ありがとうございます。
この場合、発見されることが予想される核種は、半減期が22.2年の鉛210なのではないか、と考えます。
ラジウム226が瓶の形で現場に放置されていた場合、どれだけ鉛210に移行しているかを調べれば、ラジウム瓶がいつ頃からそこにあったかの大まかな推測が可能ではないかと考えます。
全くの的外れであったら申し訳ないのですが…。
Comment from B
Time 2011年11月4日 at 3:21 PM
どうも、引用されたブログの主です。
今回は数日間、現地入りして自己調査を進めつつ報道陣や現地住民さんから情報収集しまして
現地の全体像はだいたい把握しました。雨どい付近のみならず宣言は分散し、スポットの数も多すぎ、
ブルドーザーが整地でならしたのに従ってラジウムが方々へ散ったとみて良さそうです。
(こないだ掘り出された敷地中央部の40msvのだけ、原形をとどめ埋まったのか)
私が発見した側道の2μsvスポットも一番端っこですし、
濃縮セシウムならばあんな深い位置にはないです。路面よりさらに下っぽいので。
・雨どい付近にだけ、ホットスポットがある
・かつ地面から浅い位置にある
ならば、セシウムスポットとして疑ってよいと思われます。
なお首都大の福士教授とも同行で計測しましたが(報道に呼ばれていたらしい)
教授のスペクトル計測器でも、セシウムの同定結果が出なかったとのことです。
Comment from sorakuma
Time 2011年11月4日 at 5:28 PM
コメントありがとうございます。
> 雨どい付近のみならず宣言は分散し、スポットの数も多すぎ、
> ブルドーザーが整地でならしたのに従ってラジウムが方々へ散ったとみて良さそうです。
となると、おそらくは170μSv/h地点にも、『瓶』レベルのまとまった塊がありそうだ、ということになるのですね。
> ・雨どい付近にだけ、ホットスポットがある
> ・かつ地面から浅い位置にある
> ならば、セシウムスポットとして疑ってよいと思われます。
上記指摘、非常に参考となります。
地中の雨水枡、雨水管、側溝のようなものが詰まるか、破損するかして、そこから雨水が漏れ…という柏の事例【http://nanohana.me/?p=6571】と同様に考えていたのですが、スーパー建築当時からずっと地中に埋まっていた…なると、本当にぞっとしない話です。
Comment from T
Time 2011年11月5日 at 1:56 AM
半減期の長い親核種がある場合、その崩壊で生まれる子孫の核種は少しずつ
増えていって、自分の崩壊数=親の崩壊数となったところで見かけ上増加も
減少もしなくなります。これはその核種の半減期に関係ありません。
ラジウム226も(物質の大きな出入りがない環境で)一定の期間が経過すると、
ラドン222はもちろん、鉛214やビスマス214、ポロニウム218も崩壊数の収支が
釣り合って、見かけ上ずっとそこに存在するようになるのです。
#正確には、供給源のラジウム226と同じペースでしか減らない。
だから、ラジウム226が存在する環境では、ラドン222以下の核種(特に鉛210よ
り前の)が全て発見されます。その中で崩壊に伴って比較的強いγ線を放射する
鉛214とビスマス214が最も簡単に検出されるのです。
鉛214やビスマス214(の崩壊からのγ線)が検出された、ということに不自然な
点は何もないのです。
#いまだに見かける、ラジウムはα線しか出さないからアスファルトを貫通し
ない、という捏造説の根拠が間違いなのもこれが理由です。一定期間が経過し
たラジウム226は、ラジウム226と同じ個数の子孫核種が同時に崩壊しているの
で、大量のα線、β線、γ線を放出し続けるのです。
> この場合、発見されることが予想される核種は、半減期が22.2年の鉛210なのではないか、と考えます。
もちろん、鉛210も存在します。低エネルギーですがγ線も出しているので、
調べれば検出できるでしょう。
> ラジウム226が瓶の形で現場に放置されていた場合、どれだけ鉛210に移行しているかを調べれば、ラジウム瓶がいつ頃からそこにあったかの大まかな推測が可能ではないかと考えます。
瓶が割れて中身が出てしまっているので、土壌から検出される鉛210がもとも
と含まれていたものなのか、埋められてから発生したものなのか区別するのは
困難で、実質的に推測は不可能でしょう。
というか、ラジウムがそこに後から置かれたと考える人は、たとえ鉛210の量
から長期間そこにあったと判断できるという検査結果を示されても、それは
鉛210を後から土壌に混ぜて偽装したからだと考えるでしょう。
Comment from sorakuma
Time 2011年11月5日 at 3:16 AM
コメント、かつ懇切丁寧なご指摘ありがとうございます。
私個人疑問に感じていた点、また誤った認識をしていた点を、正しく学ぶことができました。
改めて、今回確認された高線量地点の原因について注視していきたいと思います。
Comment from T
Time 2011年11月4日 at 4:47 AM
> 鉛214の半減期はわずか26.8分、ビスマス214の半減期は19.9分のため、長く安定して維持できる核種ではありません。
> ほとんど間を置かずに鉛210に変化していくはずです。
> にも関わらず、半減期26.8分の鉛214や、半減期19.9分のビスマス214が掘削した土壌から『見つかった』のはなぜでしょうか?
1.ビスマス214が崩壊して減るのと同じだけ、鉛214が崩壊してビスマス214を補充している。
2.鉛214が崩壊して減るのと同じだけ、ポロニウム218が崩壊して鉛214を補充している。
3.ポロニウム218が崩壊して減るのと同じだけ、ラドン222が崩壊してポロニウム218を補充している。
4.ラドン222が崩壊して減るのと同じだけ、ラジウム226が崩壊してラドン222を補充している。
5.ラジウム226の半減期はとても長いので、ラドン222を補充しても実質的に減らない。
というのが答えです。
このうちラドン222は希ガスなので、瓶が割れているなら一部は周辺の土に広がります。
それが崩壊してポロニウム218以降の核種が生まれるので、土からも検出されるのです。