sorakuma

そらくま。

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放射性物質で汚染されたエアフィルタの取り扱い指針

2012-03-13 | 震災・原発 | By: sorakuma

日本空気清浄協会からこんな文書が出ていました。

放射性物質で汚染されたエアフィルタの取り扱い指針
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaca/topics/housyaseishishin.pdf
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空調機のエアフィルタの交換作業者が被ばくするのではないのかとの心配がある。また、取り外したエアフィルタを一般産業廃棄物として従来どおりの方法で処理してよいのかという問題もある。しかし、現時点では、エアフィルタの交換作業時の安全性の確認方法や作業基準、また取り外した後の取り扱い方法について、国・自治体から明確な方針が示されていない。
(社)日本空気清浄協会では、放射性物質で汚染されたエアフィルタの取り扱いに関して、行政から指針が示されるまで、作業者の放射線被ばくをできるだけ減らして安全・安心を確保すること、並びに事業者が社会の一員として相応の義務と責任を果たすことを念頭に、目安として暫定的な指針を策定することにした。
・・・
東北地方及び関東地方等の16都県(岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡)において、一般ビル、工場、病院等の空調機で外気処理を目的とするエアフィルタ(プレフィルタ、中性能フィルタ、HEPAフィルタ、ケミカルフィルタ等)は、汚染されている可能性がある。
—-
エアフィルタの汚染について、業界団体から指針が打ち出されました。

東北・関東地方の16都県。岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡。
少なくともこれだけの地域について、エアフィルタが汚染されている可能性を同団体は指摘しています。
エアフィルタ。すなわち、家庭用の空気清浄機も同様の危険性を含む可能性があります。

一方でここで指摘されているフィルタには、放射能の付着した粉塵を集める機能があるということも意味しています。
空気清浄機を購入する際、使われているフィルタから選んでみるのもいいかもしれません。
そして、フィルタは放射能を集めている危険性を認識した上で、定期的にメンテナンスを行いましょう。

少なくとも、前年以降花粉などには放射性物質を含む可能性が指摘されています。
放射性物質だけでなく、花粉やインフルエンザから身を守るためにも、空気清浄機、できれば加湿機能を持ったものを用意しておくといいかもしれません。

なお、以前使用していた空気清浄機で、放射性物質の誤検出?があったことも受け、今年は空気清浄機を見なおしています。
※電源を切った状態でしまってあります。廃棄どうしようかなあ…。

花粉対策、そして放射性物質に対して有効なHEPAフィルターを搭載し、加湿機能を備えた空気清浄機のもの。
HEPAフィルターは、0.3μm(マイクロメートル)のホコリを99.97%捕塵する性能。家庭用空気清浄機としては、この規格が事実上最高性能であるとされています。

熟考の末、SHARPのプラズマクラスター対応の加湿空気清浄機の黒タイプを購入しました。

 SHARP プラズマクラスター搭載 加湿空気清浄機 450mL/hタイプ

ホワイト系 KC-A50-W

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ブラック系 KC-A50-B

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ダイキンの空気清浄機と迷ったのですが、Sharpと違い、HEPAフィルターとは明記されていなかったのが決め手になりました。
ココアブラウン、かなり惹かれたのですが…。

ダイキン(DAIKIN) 加湿空気清浄機「うるおい光クリエール」

バニラホワイト ACK55M-W

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ココアブラウン ACK55M-T

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こうして買ったSharpのプラズマクラスターですが、完全に無音というわけにはいきませんでした。
プラズマクラスターを稼働させるとそれなりに、静音モードで稼働させても、定期的な微かな音が聞こえます。
寝室で無音の状態で眠りたい人には、注意が必要です。結局、ベッドから一番遠い場所で機器を稼働させることになりました。

東京電力からの電力契約シフトの動き

2012-03-13 | 震災・原発 | By: sorakuma

東京電力からの企業電力契約シフトの動きが加速しています。

東京都水道局 PPS(特定規模電気事業者)と電力契約締結!
http://news.mynavi.jp/c_cobs/news/topbrain/2012/03/post-108.html
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一昨日(8日)、東京都水道局11,600キロワット(練馬給水所 10,000キロワット、板橋給水所 1,600キロワット)をPPSと契約締結致しました。
そのことで東京電力の4月の値上げ後の東京電力の想定料金より、約3%の経費節減(約2,000万円)となる見込みです。
契約期間は2012年4月1日~2013年3月31日。
また先月2月26日には、東京都 都庁舎での契約電力1万1000キロワットの内、8000キロワットを中部電力へ切り替えられないか既に中部電力に打診していることが明らかになりました。
ただ、中部電力から「今は応じられない」(恐らく西日本への電力融通の必要性から)という回答が出、昨日(9日)、東京都は東京電力との契約更新が迫っている中、都庁舎電力を含め、契約電力500キロワット以上の都有施設 約260ヵ所、計約83万キロワットについて、基本的に値上げを受け入れる方向にしました。
ただ取引条件面につきましては、東京電力と契約を結んでいる施設ごとに、値上げの幅や料金を抑えるための契約の見直しなどについて交渉を進めていくことにしています。
また東京都は大株主として今後も引き続き東電の経営体質の改革を提案していく姿勢です。

参照:
東京都:特定規模電気事業者(PPS)との電気需給契約締結について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/03/20m39100.htm
東京都 庁舎の電力契約を東電から一部を東京ガスに切り替え決定。残りも中部電との契約を検討へ!
http://www.costdown.co.jp/blog/2012/02/post_2268.html
 東電 値上げに物申す人達・黙る人達
http://www.costdown.co.jp/blog/2012/02/post_2259.html

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東京都水道局では、東京電力から別の電力事業会社にシフトすることで、電力料金の3%、およそ2000万円のコスト削減を可能とするとしています。
東京都も庁舎の中部電力との契約は流れてしまったものの電力契約の一部を東京ガスに切り替えることで、東京電力の値上げに対抗、牽制する動きを見せています。

東京電力は1月、企業向け電力コストを大幅に上昇させる方針を見せています。

東電、企業向け値上げ発表へ 上げ幅20%未満
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011601002396.html

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東京電力は17日、企業向け電気料金の値上げについて料金体系を発表する。値上げ幅は平均で20%未満とする。対象は、契約電力が50キロワット以上のオフィスビルや工場など政府の認可が要らない「自由化部門」の約24万件で、4月から適用する。
東電が発表する料金体系は、顧客企業と個別に価格交渉する際のたたき台となる。実際の値上げ幅は企業と交渉して決まるため一律ではなく、競合他社に契約を奪われる可能性もあるが、料金収入は年間で数千億円増える見込みだ。
福島第1原発事故に伴う火力発電の増強で、2011年度の燃料費が前年度から大幅に増えるのに対処する。
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当然、東京電力も、競合となる他社と契約を奪われる可能性を危惧しています。
しかし、これだけ迅速に値上げを牽制されるとまでは想像していなかったのかもしれません。

また、その値上げの根拠なる東京電力の試算について、埼玉県から指摘が上がっています。

埼玉県 東電値上げ幅圧縮を試算
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120308/k10013588151000.html
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東京電力が企業向けの電気料金を平均で17%程度値上げする方針を示しているのに対し、埼玉県の上田知事は、値上げ幅をさらに圧縮できるとする県独自の試算を公表しました。
これは8日、埼玉県庁で上田知事が会見して明らかにしたもので、値上げのベースとなる今の電気料金の妥当性に疑問があるとして、値上げ幅を圧縮できるとする県独自の試算を公表しました。
それによりますと、東京電力は来年度の石油系燃料の調達コストの為替レートを1ドル107円としていますが、今と同じ程度の1ドル80円とすれば914億円削減できるとしています。 また、一般職社員の給与の削減を現在の2割から3割に増やし、随意契約を見直せば合わせて1850億円の削減となり、企業向けの電気料金の値上げ幅を6%程度に抑えられるとしています。 さらに、東京電力に送電料金などを支払っても安い電気料金を実現しているPPSと比べれば、東京電力は5000億円程度のコストを削減できるとしています。 上田知事は試算結果を近く東京電力に示したうえで、一層の経営の合理化や値上げの根拠についての説明を求めていくことにしています。
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参考:東京電力株式会社の電気料金値上げに対する埼玉県の主張

東電以外にも選択肢が…【PPS(特定規模電気事業者)と契約し電気代が3割減った】
http://atmc-tokyo.com/status_of_tokyo/4203/

東京:立川市 【特定規模電気事業者(PPS)で電気料金大幅値下げ…東電と比べ26.5%安】
http://atmc-tokyo.com/electricity/7673/

今回の値上げ、埼玉県の試算を契機に、東京電力との契約から、より安価なPPSとの契約にシフトしていく流れが主流となるかもしれません。
電力自由化、PPSへのシフトについては、Wikipediaでは次のように記載されています。
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2006年2月16日付『日経産業新聞』によると、新規事業者は確実に顧客を掴みつつあり、これまでに東京電力は1,100件(220万kW)関西電力は270件(58万kW)の顧客を新規事業者に奪われている。既存会社は危機感を募らせ、電力自由化を阻止しようと政治力の行使や、マンションの電力一括供給契約を行っている。
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電力自由化阻止の動きとは、具体的には次のようなものです。

[第4回] 経産官僚が仕掛けた電力改革 「発送電分離」は時を経て蘇るのか|朝日新聞グローブ(2009年10月5日)
10年前に東電が政治力で潰した「発送電分離」案が電力業界を大変革する 原発と独占による高収益は表裏一体|現代ビジネス(2011年4月7日)
盛り上がる「東電解体」論議で発送電の分離は実現するか|ニューズウィーク日本版(2011年4月7日)

いずれの項目でも取り上げられ、最大のネックとなる発送電分離の実現。送電網が保護されている限り、真の意味での自由競争などあり得ません。
PPSは既存の電力会社の送電線を借用しなければならず、その対価として電力会社に支払う託送料金の水準が高く、算定方法が不透明であり、価格決定権を得ることが出来ません。
脱原発、脱東電からのシフトをより確実なものとするため、あるいは原発コストの対価、東電が負った責務のツケを私たちが支払わされないため、発送電分離を推進しなければなりません。

京都大学:生活圏の空間線量率の継続測定を行うKURAMA-IIを開発

2012-03-10 | 震災・原発 | By: sorakuma

前年に京都大学が開発した、KURAMAシステム—-GPSとガイガーカウンターを組み合わせて、移動しながら空間線量の測定が可能であり、それがリアルタイムに確認でき、最終的にはネットワーク上で共有できるというシステム—-が更なる進化を遂げていました。

システムが小型化され、耐久性が向上しただけではなく、KURAMA-IIは測定のための特別な操作が不要となりました。
これにより、生活圏内を常時移動する移動体(路線バス、コンビニエンスストアの配送車、配達で使われるバイクなど)に搭載することで、定常的な線量監視システムを構築することが可能となったのです。もちろんKURAMA-Iと同様、取得したデータはただちにサーバにアップロードされ、Google Earthの地図を通じて汚染の状況を共有できます。
今まで必要だった操作が不要となることで、専門のオペレーターも不要になります。
これを量産することにより、私たちの生活圏に密着した最新の実測データをクラウドベースで共有できるようになるのです。これはすごい!

生活圏の空間線量率の継続測定を行うKURAMA-IIを開発~福島で路線バスにおける実証試験を開始~

何よりこれが素晴らしいのは、そのリアルタイム性です。
文部科学省などが公開しているものは、その後の汚染がないことを前提とした一過性のものですが、実際には汚染物質は「移動」していきます。
焼却灰などの影響で新たに堆積したり、ホットスポットから溢れることもあるでしょう。雨や風などの自然現象によっても増減します。
そういった微細な変化が、まさに現在の状況として把握することができるのです。

今回の改良で、日本全国のリアルタイム線量測定に繋がるかもしれません。業務用だけではなく、乗用車全てにつけちゃったらいいんじゃないかと思うのですが、どうでしょうね。


図1 KURAMA-II システム構成図


図2 Google Earth上でのデータ表示例


図3 ツールボックス(34.5cm×17.5cm×19.5cm)に入れられたKURAMA-II車載機


図5 営業走行中のバスでの実証試験データ(例)


図6 バイクへの搭載試験。荷台にKURAMA-IIと検出器の入った箱が設置されている。

焼却炉の中で約36%の放射性物質が「行方不明」に

2012-03-10 | 震災・原発 | By: sorakuma

大阪市議会の災害廃棄物の広域処理についての議事録で、こんな報告がされていました。

20120222大阪市議会区民保険委員会

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資料の裏面に縦型の試算結果を載せておりますが、このデータによりますと、物質収支の試算の結果は、焼却炉に投入された放射性物質のうち、約36%が行先不明になるとの結果となりました。真ん中当たりを見ていただいたら、その数字が出てくると思います。
この約36%の放射性物質の行先としては、排ガスへ移行しているか、もしくは焼却炉などの設備に残留していることなどが考えられると思います。
排ガスについて考えてみますと、先ほどの資料にある排ガスの放射能濃度の欄をごらんいただくと、検出限界値が0.97ベクレル/立方メートルとなっており、この値を最大値と見積もって試算してみたところ、約11%が煙突から排出されている可能性が否定できない結果となりました。
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99.99%除去できる…という謳い文句に騙されず、実際には11%の放射性物質が煙突から放出されている場合、1日120トンペースで1年間焼却を行うと、約4億4000万ベクレル以上の放射性物質が大気中に放出される可能性がある、というものです。
これはつまり東京の焼却施設で今起こっていることにほかなりません。

これを裏付けるかのように、焼却施設からの放射性物質の放出や東京の焼却施設で作業員が被曝、という報告もされています。

東京都内の清掃工場で作業員被曝 深刻な放射能汚染
「汚染がれき」焼却、清掃工場から放射性物質を放出か

焼却施設は元々放射性物質を処理するためのものではなく、設備も十全であるとは言えません。
瓦礫や汚染された物資を受け入れることは、町中に放射性物質を放出させる小さな原子炉を作っていることにほかなりません。

甲状腺被曝87ミリシーベルトの意味を考える

2012-03-10 | 震災・原発 | By: sorakuma

甲状腺被ばく87ミリシーベルトも

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東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、青森県の弘前大学の調査チームが福島県内の住民65人の甲状腺を調べたところ、およそ80%の人から放射性ヨウ素が検出され、甲状腺への被ばく量は最も多い人で87ミリシーベルトだったことが分かりました。

弘前大学被ばく医療総合研究所の調査チームは、去年4月、福島県浪江町の住民や、福島県浜通りから福島市に避難していた、合わせて65人を対象に甲状腺の検査を行いました。 その結果、およそ80%に当たる50人から放射性ヨウ素が検出されたということです。 そして、事故直後の3月12日に放射性ヨウ素を吸い込んだと仮定して、甲状腺への被ばく量を計算したところ、5人が、健康への影響を考慮し予防策をとる必要があるとされる国際的な目安の50ミリシーベルトを超えていたということです。 甲状腺への被ばく量が最も多かったのは、原発事故のあとも浪江町津島地区で2週間以上生活していた成人で、87ミリシーベルトでした。 一方、住民のおよそ半数は10ミリシーベルト以下でした。 調査チームでは、今後、検査を行った住民に対し結果を報告することにしています。 今回の結果について、調査チームの床次眞司教授は「事故の規模からすると住民の被ばくの程度は低いと言えるが、潜在的なリスクを抱えた住民もいると考えられるので、今後も継続的な健康調査を確実に行う必要がある」と話しています。
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87ミリシーベルト、というと多くの人が驚かれる数値となると思います。
この87ミリシーベルトという数値は甲状腺被曝の等価線量を意味しています。一般に使用されている線量とは実効線量であり、意味合いが大きく異なります。

等価線量と実効線量の違いについては、こちらに詳しく記載されていました。

「内部被ばく量」「実効線量」「等価線量」という用語の関係を整理してみた。

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2.等価線量および実効線量とは

内部被ばく量には

a 等価線量=人体組織への影響を表す量
b 実効線量=全身の健康影響を評価するための量*5

という2種類の値があり*2,3、
それらの関係は次のように定義される*3。

『生殖腺における a 等価線量』 x 0.2
+ 『骨髄における a 等価線量』 x 0.12
+ 『胃における a 等価線量』 x 0.12
+ 『肺における a 等価線量』 x 0.12
+ 『結腸における a 等価線量』 x 0.12
+ 『膀胱における a 等価線量』 x 0.05
+ 『乳房における a 等価線量』 x 0.05
+ 『肝臓における a 等価線量』 x 0.05
+ 『食道における a 等価線量』 x 0.05
+ 『甲状腺における a 等価線量』 x 0.05
+ 『皮膚における a 等価線量』 x 0.01
+ 『骨表面における a 等価線量』 x 0.01
+ 『残りの組織における a 等価線量』 x 0.05

= 『b 実効線量』
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等価線量87ミリシーベルトとは、甲状腺等価線量87ミリシーベルト×0.05実効線量4.35ミリシーベルトを意味していることになります。

今回の87ミリシーベルトの対象は成人であったといいます。もしこれが1歳児であったらどうだったでしょうか?
一歳児の甲状腺等価線量 100mSv に相当するのは 実効線量 0.2μSv/h であるとされています。
小児甲状腺被ばく調査結果に対する評価について

…成人で甲状腺等価線量87ミリシーベルトだったということは、1歳児はおそらくはいなかったのでしょう。もしその場に1歳児がいた場合、数Svレベルの甲状腺被曝をしていた可能性さえあります。

甲状腺への等価線量が50ミリシーベルトを超えると、健康への影響があると言われています。

そして、福島の子供たちは確実に放射能の影響を受けていることが懸念されています。
1月時点で検査を行った福島の子どもたちの30%に、何らかの変化が起こっていることが報じられています。

2012年1月26日 福島県の子どもたちの甲状腺調査結果
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福島県は25日、東京電力福島第一原発事故に関連して、昨年10月から18歳以下の全県民約36万人(県外避難者含む)を対象に行っている甲状腺超音波検査のうち、原発周辺の子どもたちを対象とした先行検査の結果を公表した。検査した3765人のうち1143人に小さな結節(しこり)や「のう胞」があったが、通常の検査でもよく見られる所見であり、想定される有所見率を超えるものではないことから、「現時点では原発事故の影響は考えにくい」としている。

先行検査は計画的避難区域に指定されている南相馬市、川俣町山木屋地区、浪江町、飯館村の1万4442人を対象に行い、このうち福島県立医科大学で検査した3町村3765人の結果について今回分析した。その結果、(1)結節やのう胞が認められなかった人は2622人(69.6%)(2)5.0mm以下の結節か20.0mm以下ののう胞が認められた人は1117人(29.7%:結節56人、のう胞1086人)(3)5.1mm以上の結節や20.1mm以上ののう胞が認められた人は26人(0.7%:結節26人、のう胞0人)、(4)甲状腺の状態などから判断して、直ちに2次検査の必要な人はいなかった。

(2)については、通常でもそれなりに多く認められる良性所見とされ、こうした小結節や小のう胞は治療対象とならずに経過観察とされる。超音波検査のみの診断で十分であり、追加検査は必要ないという。(3)の26人は2次検査の必要があるが、大部分は良性の結節であることが予想され、以前から存在していた可能性が高いという。

甲状腺がんは進行が比較的ゆっくりだ。福島県は現状把握のための今回の先行検査を、さらに全県に広げて2014年3月まで行う。その後は本格調査として対象者全員が20歳になるまでは2年ごとに行い、20歳をすぎたら5年ごとに調査を継続する予定だ。
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一方で、以前子供たちの甲状腺等価線量は、35ミリシーベルトが最高だった、という検査結果が報じられました。

甲状腺被曝、最高35ミリシーベルト いわきの子ども

この記事で最も懸念されるのは、検査が行われたのは3月下旬であった、というところにあります。
仮に、検査が3月28日に行われたとしましょう。そして、子供たちが3月12日に被曝したと仮定します。
ヨウ素(I-131)の半減期は8日間、つまり、すでに子供たちから計測される放射線量は1/4になっているのです。

検査が3月28日時点の甲状腺線量からの算出であった場合、この4倍の数値が実際の子供たちの甲状腺等価線量である可能性があります。
※真偽の程はわかりませんが、子供たちの甲状腺等価線量の数値を低くするために、事故直後に検査を行わなかった、という説も囁かれています。

子どもたちの未来を損なうことが無いよう、私たちは行動しなければなりません。

小出裕章:4号機燃料プールが崩壊すれば日本はおしまいです

2012-03-10 | 震災・原発 | By: sorakuma

ZDFと同様、小出助教も、4号機燃料プールが崩壊すればどうなるかについて言及しています。
1月1日のカレイドスコープさんの記事、小出助教が心配する原子炉以外のことなどでも紹介されていますが、4号機の状態は非常に際どい状態が続いているのです。

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小出裕章:
 もう見ていただいて分かるように、ここにプールがあって、その底に使用済み燃料がたくさん溜まっている。
もしこれから大きな余震でも起きて、ここの壁が崩壊するようになれば、 プールの水が抜けてしまいますので、使用済みの燃料を冷やすことができなくなる。
そうするとどんどん更に溶けてしまうということになって、 使用済み燃料がたぶん全て溶けてしまうだろうと思います。
そうなると使用済み燃料の中に含まれていた膨大な放射能が、何の防壁もないここから外に噴き出してきてしまう。

地震が来ない内に使用済み燃料を抜き出して、横にプールでも造って移せばいいんじゃないですか?

ところが使用済み燃料を空中に吊り上げるようなことをすると、使用済み燃料から膨大な放射線が飛び出してきていますので、 周辺の人達はもう死んでしまうしかないというくらい強い。

オペレーションフロアの上に、巨大なクレーンのようなものが見えます。
これがクレーンで、実は巨大な容器を吊り上げたり吊り降ろしたりするためのクレーンなんですが、もうこの建屋自身がもう爆発で吹き飛んでしまっていますから、もうこのクレーンすらが使えない。

やらなければいけないことはたくさんあって、まずは使用済み燃料プールの中に崩れ落ちてしまっている瓦礫などをどけなければいけない。
そしてどけた後に巨大な容器を沈められるように何らかのクレーンのようなものを現場で動かせるようにしなければいけない。
外から巨大なクレーンで吊るということができるでしょうからその準備をする。
そして沈めて、もうたぶん何がしか壊れているであろう使用済み燃料を巨大な容器に入れて、それをまた外に吊り上げるということをやらなければいけない。
ただそういうことを全部やろうとすると、たぶん何年という単位が必要になるだろうと思います。

その何年という間に建物を壊すような地震が来たら

おしまいです

ZDF:4号機燃料プールが崩壊すれば日本の終わりを意味する

2012-03-10 | 震災・原発 | By: sorakuma


同時通訳の一部が文字起こしされています。
何か障害が発生しただけで全てが終了してしまう可能性があること。
冷却をおこなうのみで、現状維持こそが課題となっていること。
そして、万一4号機が倒壊したら…。

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原子力技術者と核エネルギーの専門家併せて80人が彼の下で作業しています。
彼に「掌握はできていますか」と尋ねると
それは東京電力と政府が言っていることです。
全ては安定しているとのことです。
しかしあの中にいる人達は信じていません。
4号機の使用済み燃料プールには1300本以上の使用済み燃料棒があります。
その上、使用前のものもたくさん貯蔵されています。
また強い地震が来たら建屋が崩壊する可能性もあります
もしそうなると新たな連鎖反応が起こるかと考えます

崩れ落ちた原発の周辺地域で今後再び強い地震が起きる可能性も 地震の専門家らによって指摘されています。
もしその時に破壊された原発が崩壊するようなことがあれば、 我々がその現状を既に知っているように 日本にとっては終わりを意味するでしょう。
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<参照>
福島第一原発4号機燃料プール
http://ima-ikiteiruhushigi.cocolog-nifty.com/nature/2012/03/post-566d.html

福島第一原発、各原子炉での発生事象タイムライン

2012-03-10 | 震災・原発 | By: sorakuma


※クリックすると大きい画像で開きます。

3月11日以降、地震と津波の発生から、各原子炉で発生した事象のまとめを紹介させて頂きます。
情報元:Fukushima Daiichi nuclear disaster|Wikipedia(en)

地震と津波の発生、非常事態宣言、そして1号機の水素爆発、3号機の手動ベント、3号機の水素爆発…
東電は2号機の爆発はなかった、などと報告していましたが、海外での一般的な見解では、2号機、4号機とも爆発を起こしているというものになります。

実際には、natureなどで報告されていたように、地震の発生から津波の到着までの間にキセノンが検出されていた(すでに臨界が始まっていた)ことなども報じられているため、決して正確なものではないかもしれませんが、発生した事象のタイムラインと放出された放射能の規模を考える上では非常に参考になります。

15日の2号機の爆発から、4号機の燃料プールの空焚き状態(?)の間の放射線量の大幅な増加についての事象については要因は明記されていません。

放射線量は対数グラフになっているため、線量の差は対数グラフではない下記のグラフのほうがわかりやすいかもしれません。

こうしてみると、2号機、4号機の爆発、核燃料の損傷が汚染の大部分を占めているということがわかります。

汚染の拡散方向については、早川教授の汚染ルートマップがみやすいです。

※クリックすると大きい画像で開きます。

こうして、それぞれの事象(水素爆発やベント、爆発等)によって発生した放射能が、どのタイミングでどのエリアに拡散していったか追うことができるのですが、私たちがそれを知ることができたのは、日本のSPEEDIなどの情報を受けた海外メディアが報じたものを、邦訳してはじめて…というものでした。

残念なことに日本の大手報道機関は、口をそろえてこう発言しているといいます。「政府発表がないから報じられない」
日本の報道は、「大本営発表」を繰り返していた時代から少しでも進歩しているといえるのでしょうか…。