ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図(6)川で何がおきているのか」
ETV特集
2012年6月10日(日) 夜10時
2012年6月17日(日) 午前0時50分 再放送
ネットワークでつくる放射能汚染地図6
川で何がおきているのか
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2012/0610.html
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福島第一原発事故により、大気中にはおよそ90京ベクレルという、大量の放射性物質が放出された。原発事故から1年あまりたった今、事故直後には汚染がみられなかった場所で次々に新たな汚染スポットが見つかり、汚染地図の更新が必要になっている。その原因と考えられているのが、水による放射性物質の移動である。河川を介して放射性物質はどのように広がっているのか。
番組では川が放射性物質を拡散するメカニズムを明らかにするため、福島県を水源とする阿武隈川、阿賀野川という二つの一級河川の上流から下流まで400か所以上で専門家とともに独自の調査を行った。
福島県中通り地方を縦断し宮城県沖に流れ出る阿武隈川。文部科学省の報告書によると阿武隈川には一日当たり1700億ベクレルの放射性物質が阿武隈川を移動している。私たちの調査では水そのものからはほとんど汚染は検出されなかった。しかし、川底の土からは場所によっては6万ベクレルを超える高濃度の汚染が検出された。
一方、福島県から新潟県へ流れ日本海に注ぐ阿賀野川の河口付近でも川底の土から汚染が見つかった。ここでもやはり川底の粘土鉱物が放射性セシウムと強く結合し、汚染の原因となっていた。阿賀野川の上流にあたる会津地方は、事故直後に原発周辺の住民が避難するほど汚染が低い場所だったはずだ。調査の結果、阿賀野川の支流の放射性物質の量が、雪解けを挟んで大きく跳ね上がっていた。これが粘土鉱物と結合し、はるか遠くの日本海側まで移動する実態が浮かび上がってきた。
番組では、去年の11月から半年間の独自調査を元に「水」によって集められ、「川」という道で予想外に遠くまで移動し、溜まり、汚染を拡大させる放射性物質の実態と、その動きに翻弄される流域住民の苦悩を伝える。
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番組の最後に表示された、阿武隈川の汚染の状況です。凄まじい汚染レベルであることがわかります。
環境省が先日公開した、福島県内の公共用水域における放射性物質モニタリングの測定結果についてでも、数値として汚染状況を知ることができます。
http://www.env.go.jp/jishin/monitoring/result_pw111116.pdf
河川の水そのものからは、放射性物質はNDとなっています。
しかし、河川の泥はそうではありません。
阿武隈川川底の土、本流から2050Bq/kg、支流から1840Bq/kgの放射性セシウムが検出されました。
阿武隈川下流域にある天然アユの漁場では、去年6月アユから227Bq/kg、今年のヤマメから100Bq/kgを超える放射性セシウムを検出されています。
阿武隈川の上流を遡って行くと、顕著に放射性物質が集まっていることが分かります。
水からはほとんどNDです。しかし、川べり、川底からは、数千、数万ベクレル(Bq/kg)といったレベルで放射性物質は検出されています。
新潟県を流れる阿賀野川の汚染でも、8000ベクレルを超える汚染が見つかっています。
福島第一原発に近い阿武隈川は、大量の放射性物質を太平洋に運んでいます。その量は1日あたりおよそ1,700億ベクレル。
阿武隈川に向かう支流の合流点の放射性セシウムの値が高くなっています。都市部の放射性セシウムが集まり、どんどん濃縮されていったからです。
除染活動で、確かに一時的に線量は下がったのでしょう。
しかし、それはあくまで一時的な話です。川の水が、上流から放射性物質を下流に流し続けています。
荒池の土壌放射線量は流れに沿って、池の入口167,100Bq/kg、中央部231,700Bq/kg、出口161600Bq/kgと推移しています。
先日の葛飾区の11万ベクレルを遥かに超える汚染レベル、そして『量』がそこに堆積しています。
福島県渡利地区の排水路は30μSv/h超。34時間で年間の被曝量1mSvを超えるレベルです。
黒い土壌を採取し測定した結果、430,000Bq/kgの放射性セシウムが検出されました。
東京大学根本氏が水だけで稲の栽培実験では、1Bq/Lの水で稲を栽培すると、稲には590Bq/kgの放射性セシウムが吸収し濃縮することがわかりました。10Bq/Lでは、5700Bq/kgです。
半年間の調査結果、川の水が放射性物質を下流に運び続けていると言うことがわかりました。
福島第一原発事故はまだ何も終わっていません。
次回の放送は、17日、核燃料サイクル迷走の軌跡です。
…
今回の報道では、河川の水からの放射性物質はほとんどNDとなっていました。
しかし、上流から運ばれる、川べり、川底の泥には、濃縮された放射性物質が集まっています。
その水で生活する私たち、農作物、沢山の生物たちへの影響はいかばかりでしょうか。
もうひとつ気になることがあります。
水源の汚染についてです。
先日、利根川水系でホルムアルデヒド系物質の汚染が見つかり、一時的に断水する事件がありました。
それは本当に汚染物質によるものだったのでしょうか?
ホルムアルデヒド事件、壮大な「国家隠蔽プロジェクト」があった!
推測を元にしたもので、はっきりとした証跡が示されているわけではありませんが…。
1.仮に水の源泉付近の汚染の状況が致命的な汚染レベルだったとして、
2.汚泥と水が撹拌される状態になった場合、
3.一時的に、河川の水の放射性物質の汚染が危険なレベルに達することがあるかについて。
特に、水源付近に汚染物質を埋め立てていることを、以前紹介させて頂きました。
千葉の水源が汚染の危機
その時の千葉県の判断が、仮にこうした状況を生んだのだとしたら、それはとても皮肉なことです…。
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Comments
Comment from sorakuma
Time 2012年6月20日 at 7:57 PM
長文の補足説明ありがとうございます。
追記コメントを頂いた内容も含め、元記事内に加筆・追記したいと思います。
先日放送された、知られざる放射能汚染 ~海からの緊急報告
http://sorakuma.com/2012/01/19/5527
も含め、少しずつ汚染の実態が明らかになりつつあります。
【起きてしまった事態への対処】
【事態を未然に防ぐための対処】
そのためにできることを、それぞれの立場で行なって行きましょう。
Comment from 小松梨津子
Time 2013年6月6日 at 8:19 AM
http://www15.ocn.ne.jp/~sizen/hogo/osentizu.htm
http://www15.ocn.ne.jp/~sizen/hogo/housyanou2.htm
ここに在る二つのデーターが、参考になります。1万を10,000で表しているから、少し紛らわしいけれども、問題意識を深めることができるデーターです
Comment from 小松梨津子
Time 2012年6月20日 at 1:49 PM
ネットワークで作る放射能汚染地図6(後半)
(33分31秒)
●一方、より原発から近く汚染が深刻な地帯を流れるのが阿武隈川です。
●文部科学省の調査によって、この(阿武隈)川が、大量の放射性物質を海へと運んでいることが明らかになっています。
(33分54秒)
●その総量は、河口から66キロの地点で一日あたり、1700億ベクレル/日。
この膨大な量の放射能は、流域で何を引き起こしているのでしょうか。(『2011年7月2日現在の値に換算』と字幕が出る)
今回の私達の調査で、高い濃度の汚染が、数多く見つかったのが、人口33万の郡山市です。
●郡山市の空間線量は毎時0.5から1.9μシーベルト。比較的高い場所が市の中心部に拡がっています。
(※計算すると365×24÷1000で、8.76倍すると、年間の線量が出る。
すると、郡山市は、年間4.38ミリシーベルトから、16.64ミリシーベルトであり、
チェルノブイリ法では、5ミリシーベルト以上が人が住んではいけない地域で在るから、
郡山市は、チェルノブイリでは、殆ど人が住んではいけない所。だが、日本は住まわせている)
●市内を水路が縦横に走っています。
●私達は阿武隈川の合流点(本流と支流の合流点)を調査しました。
その一つ、逢瀬川(おうせがわ)が阿武隈川に流れ込む場所です。
川岸には、砂の上泥が薄く溜まっていました。阿武隈川で観たのと同じバーミキュライトを含む細かい粘土です。
(※バーミキュライトがセシウムを吸着する仕組みは前半で説明が在った)
(35分20秒)
●検出された放射能セシウムが、1キログラムあたり、1万6670ベクレル。
他の3か所も(6万2110ベクレル、1万5190ベクレル、8414ベクレルと)、軒並み高い数値でした
支流や水路の上流点を調べると、数値が合流点(3万8680ベクレル)に向かって徐々に高くなっていました。
都市部に汚染が集まり濃縮されたことが推測されます。
雨が降ると市街地の建物や、街路樹の道路等についた細かい土と共にセシウムも流れます。
いわば、天然の除染です。セシウムは、水路から川へと流れ込み集まって来るのです。
●合流点の汚染が最も高い水路、(3万8680ベクレルと6万2110ベクレルを結ぶ水路)
その水路は、住宅地に囲まれた町の中心部を通っています。
●その途中には、二つのため池が在りました。(地図上で途中に貯水池も在ると示したのみで言及せず)
●二つのため池は、荒池(あらいけ)と酒蓋池(さかぶたいけ)
●ため池の周辺の住宅地は、空間線量が高く、住民達が不安を訴えています。
もし、池に放射能が溜まったとしても、水の遮蔽(しゃへい)効果で、周囲の放射線量は高くはならないはずです。
しかし、池は震災で壊れた護岸を修理するため、去年の12月に水が抜かれ、底がむき出しになっていました。
池の周りの公園を、市が汚染された土を取り除き除染しました。
●それでも、空間線量は、地上50センチで、毎時1.29μシーベルトと高いままです。
(※これも、年間、11.3ミリシーベルトで、チェルノブイリ法では、人が住んではいけない所)
●獨協医科大学、放射線衛生学の木村真三さんの発言。
「やっぱり、1.2μシーベルトを超えるというのは、気持の良いものではないですよね。」
公園に立つ看板を映す。
●「除染を実施しました。
除染前は2.44μシーベルト/時でしたが、現在は1.29μシーベルト/時
(※これも、2月迄は、1年間で20.2ミリシーベルト/年で、チェルノブイリ法では強制避難ゾーンにだったということだ。)
平成24年2月10日、高さ50センチ、計測、郡山市」とあった。
●放射線衛生学が専門の木村真三さんが、池の調査を行いました。
(37分47秒)
●木村真三氏の発言「タッケー(高いの意味)」
池の底に降りると、空間線量の値が跳ね上がります。
(37分53秒)
●木村真三氏の発言
「平均値で言うと、7.3μシーベルト/時になりますかね!」
(フランス・アレバ社のMYRATE・PDR101の携帯用測定器が
7、3μシーベルト/時を示すのを映す。年間にすれば、62ミリシーベルト/年になる。)
池には、水路を通じて、周辺の住宅街から、水が流れ込んでいます。
木村さんはその水の流れに沿って池の三か所で泥を採取しました。
(38分30秒)
●その結果、荒池は、水の入り口付近で1キログラム当たり16万7100ベクレル、
中央部で23万1700ベクレル、水の出口では、16万1600ベクレルという高い数値が出ました。
(39分47秒)
●となりの酒蓋池(さかぶたいけ)では、水の出口付近で
29万9000ベクレルという高濃度の汚染が見つかりました。
木村さんは、住民に、この結果を伝えました。
●(酒蓋池の水の入り口、8万1200ベクレル、中央部、11万800ベクレル、水の出口29万9000ベクレル)
酒蓋池周辺の住民は、これまで、自主的に通学路などの除染をして来ました。
しかし、池の周辺では空間線量はなかなか下がりません。
小さな子供が、ここに住み続けて良いのかと悩んでいます。
●木村真三氏の発言
「それは、やはり、この土地から離れたくないという人が居らっしゃいますし、その人達をどう意を汲むのか」と応じる。
(※子供の命が優先だとチェルノブイリ法を示して即答すべきでしょう。間違っている!と小松は思う。)
●男性住民Aの発言
「文部科学省の結果では、我々のつるみ団地域は、(事故後一年間の積算線量は)7.2ミリシーベルト/年なんです。」
(※これも、公園前の看板からすると、除染前は、20.2ミリシーベルト/年でした。
それは、チェルノブイリ法では、強制避難ゾーンです。除染後も、11.3ミリシーベルト/年で、共にチェルノブイリ法では、移住をしなければならない義務が在る区域と、示すべきです。小松加筆)
●男性住民B「道路の脇の側溝を測るとですね、それこそ、10ぐらいのところも在って、5ぐらいのところも、結構高い所も在るのです。」
●木村真三氏の発言
「汚染レベルというのは、この池に溜まった放射性物質がヘドロとくっついて、たまっているんだよ。これが空間線量を上げている原因ですと。これを解決するためには、このヘドロを取る。除去することが一番大切です」
●男性住民Cの発言
「借り置き場が無いからできないということで、未だにまだ、それなんですよね」
●木村真三氏の発言
「まずは、取ったら、線量は下がるのですよ。きれいに。だから、取ったものを、どこに集めるかと言ったら、コンクリートの大きなものをいくつもコンテナ見たいな箱を売っているから、そのコンクリートの箱を用意して、この池の真ん中に置いて下さい。池の真ん中に置いて、人の家から一番離れた所じゃないですか。真中というのは。そこに置いて頂いて、そこに詰めて下さい。そうしたら、流出はしないでしょ。コンクリートだから。それで、空間線量は下がります。まず仮置き場ということ、次の置き場が決まるまでは、そこに置いてもいいんじゃないかという、まあ、そういう方法も一つございますと」
池の対策を行政に働きかけて行くことにしました。
●木村真三氏の発言
「きついかもしれません。あきらめない」
●6月7日の時点で、酒蓋池周辺の空間線量は、1.2μシーベルト、このままでは、住民の被曝線量は年間の限度量、1ミリシーベルトを超えてしまいます。
(※こんな表現では過小評価につながります。年間10.4ミリシーベルトになると伝え、チェルノブイリでは強制避難ゾーンに入りますと称すべきです。カッコ内小松加筆)
●今回の調査では、川沿いで、高濃度に汚染されたホットスポットが他にもいくつも見つかっています。
●福島市では、原発事故直後に、放射能が流れ込み、毎時(二十四)24μシーベルトという高い空間線量を記録しました。
(※これは、年間210.24、ミリシーベルトになります。異常です。チェルノブイリ法でも当然退去強制避難ゾーン)
●中でも、阿武隈川に面した渡利地区は、雪に運ばれた放射能が土壌に沈着しました。渡利地区の河川敷三か所で調査を行いました。その内最も汚染が高かったのが、この排水路です。雨や除染の時に出た水等が、ここに流れて来ます。
(河川敷の排水路跡の乾ききった土の上に日大の野口邦一さんが立ち、1メートルの高さで、ALOKA社のTCS171の計測器で、上限の30μシーベルト/時を振り切ってしまい、OVERと表示され計測不能になった計測器を見せながら
●日大の野口邦一さんの発言
「ここ一帯、ずっとそうですね。」
(※30μシーベルト毎時とは、年間263ミリシーベルトに値するチェルノブイリ法でも当然、強制避難ゾーン)
●日大の野口邦一さんの発言
「毎時30μシーベルトを超えている。えらい値です。」
毎時30μシーベルトとは、もし、ここに人が立ち続けたら、34時間で、年間の被曝限度量の1ミリシーベルを越えてしまう強さです。(※しかも、30ミリシーベルトよりオーバーしているならば、測定可能な計測器に変えて特定すべきをしていない。もしも、毎時60μシーベルトならば、17時間で越えることになる)
放射線を発していたのは、この黒い土です。測定の結果、1キログラム当たり43万ベクレル/Kgという高濃度のセシウムが検出されました。
(※この土は乾ききった排水路の通り道に在る乾いた土で、乾燥している。微粒子になって飛散し吸引し内部被曝になるとすごい内部被曝になることは容易に想像できる)
●日大の野口邦一氏の発言
「43万ベクレル/Kgという土壌が、決して広い範囲に在る訳ではなくて、たとえば、1平方メートルとか、2平方メートルとか、そのくらいの範囲での汚染で、言って見れば、渡利地区というホットエリア、ホットスポットと呼ばれる比較的放射性物質が多く落ちたものが雨などで、側溝に入って濃縮された部分がまたさらにあそこでつかまって、土壌にとどまっているセシウムがそこのかなり濃度が高い訳ですけれどもね。そこに近づかないようであれば、人への外部被曝は問題にならないと思うのですね。それからもともと、川底なのですから、食べるわけではない。であるとすれば、人への影響は、めぐりめぐって、食べ物の形で、我々に入って来るのが多分可能性としては考えられるのではないでしょうかね。」
(※と応じているが、直前で野口氏は、この一帯はずっとそうですねと言っていたので、過小評価していないか、カッコ内小松加筆)、
●5月上旬、東北地方を低気圧が通過。福島でも100ミリ近い雨が降りました。その翌日、渡利地区の排水路を水が流れていました。水は汚染された土の上を通り、阿武隈川へと流れ込みます。阿武隈川には、200近い支流と無数のは排水路が在ります。雨が増水するたびに、泥水が流れ込み下流へと移動してゆくのです。しかし、汚染は、一気に海へ流れ出る訳ではありません。
●福島市から阿武隈川を下った伊達市です。(阿武隈川の支流の広瀬川の先に伊達市が在る位置関係の図が出る)
●東北大学の地学の箕浦幸治さんの発言
「橋の下で、ちょっと低い、特に、ここら辺(河川敷)は、ものずごく高くて、2μシーベルト/時です」
(※年間になおすと17.52ミリシーベルトにあたり、、チェルノブイリ法では退去強制避難ゾーンです。)
この河川敷は、去年秋の台風の時、全て濁流に飲み込まれました。水がひいた跡、大量の泥が取り残されました。
●箕浦幸治さん(東北大学・地学)の発言
「凄く高いですよ。今ここで、空間線量率、1,2μシーベルト/時、(※年間に直すと、10.5ミリシーベルト。チェルノブイリでは退去ゾーンです)これが運ばれて来た土じゃない。だから河川がこの辺(肩の位置まで)増水したのでしょうね。その間、ずっと河口まで流れて、減水する時に、ゆっくりとその時に沈殿する。」
流木に泥が付着していました。この流木についた泥から1キロ当たり1万3250ベクレル/Kgのセシウムが検出されました。
●河川敷の汚染が増水すると、再び下流に流され、そこで、新たな汚染エリアを作りだすのです。
●阿武隈川を管理する国土交通省に川の除染をいつ始めるのか尋ねました。
解答は「環境省のガイドラインに従い、陸地の除染作業が一定程度進捗した後に実施を検討する。具体的な計画はまだ立てられていません」
水によって、移動する放射性物質、稲作への影響も危惧され始めています。
伊達市では、3000軒の農家がコメを作っています。この町も事故後に降下した放射性物質で水田の土が汚染されました。去年一部の水田の米から食品の暫定基準値1キログラムあたり、500ベクレルを越えるセシウムが検出されました。しかし、同じ地区でも水田によって、汚染が出た所と出ない所が在りました。
米の汚染の原因は、事故後の土の汚染だけでは説明できないのではないか。農家が注目したのは、水田に引く水でした。柳沼正弘(柳沼正弘)さん(農家)は、去年作った米から200ベクレルを越える汚染が見つかりました。柳沼さんの水田には大雨が降ると濁った泥水が入ります。柳沼さんは、この泥水が気がかりでした。
柳沼さんの発言「山の水から、あれからみんな集まって来るからね、それが入って来るからね」
柳沼さんの水田で空間線量を調べてみました。地上10センチメートルの空間線量率は、一枚の田を60に区切り調べたところ、水の取り入れ口は、毎時2.74μシーベルト、最も高く、出口に行くほど空間線量率は低くなりました。水田に入る水も汚染に関係していると考えられます。(図が在ります)
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●セシウムは、どのようにして稲に入りこんでいるのでしょうか。
●東京大学・栽培学が専門の根本圭介(ねもとけいすけ)さん。
根本さん(東京大学・栽培学)は、泥水の中に含まれる土に注目しています。
(51分20秒)
●東京大学・栽培学の根本さんの発言
「土の中には色々な成分が在るわけです。中には、もう一遍、そのセシウムを酵素の隙間にはめ込んだら、もう容易には離さないような、そういう粘土の成分も在りますし、同じ粘土でも、表面にゆるくセシウムを保持して、またそれが、容易に離れるような粘土の粒子も在ります。」
根本さんが考えるセシウムが稲に入りこむメカニズムです。
バーミキュライトに固定されたセシウムは、イネには入りません。しかし、拘束力が弱い一部の泥からは、セシウムが分離されることが在り、それが水中に伸びた根を通じて稲に入りこむ可能性が在ると言うのです。
●私達の調査では、阿武隈川の水に含まれる放射能は、殆どの場所で、検出限界以下でした。(ですのに)米から1キロあたり、100ベクレルを越える汚染が出るものなのでしょうか。
●根本さんは(東大根本研究室で、)稲を水だけで栽培する実験をしました。
1リットルあたり1ベクレルのセシウムの入った水で栽培すると、茎や葉から1キロ当たり590ベクレルのセシウムが検出されました。米に移行するのは、その数分の1と考えられますが、それでも、稲はセシウムをかなり濃縮することになります。
●根本さん(東大・栽培学)のパソコン画面では、以下のようにまとめられていた。
「0.1ベクレル/リットルの水だけで栽培すると76ベクレル/Kgに稲が内部被曝している
1ベクレル/リットルの水だけで栽培すると、590ベクレル/Kgに稲が内部被曝している
10ベクレル/リットルの水だけで栽培すると、5700ベクレル/Kgに稲が内部被曝している。
●根本さん(東大・栽培学)の発言
「実際の田んぼで、このような吸収が起こるとは私達は勿論考えていませんけれども、もし、仮に土からではなくて、水から稲が直接放射性セシウムを吸収したとしますと、かなり高い確率でセシウムを実際に吸収してしまう。そういうことをこの実験は意味しているのです。
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何とかして、汚染の無い米を作りたい。柳沼さん(農家)の元を訪れた根本さん(東大栽培学)は、一つの提案をしました。
「こちらに波板を入れて、(田んぼを半分に区切り)・・・・」水田の一部には泥水が入りにくくした水路から澄んだ水を引きます。もう一方には、去年と同じ濁った水を入れて比較します。泥水が本当に汚染の原因なのか、対策を考えようとしているのです。
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4月下旬会津坂下町において、
町の詳細な汚染の実態を把握しようと調査を始めたのです。
●避難所の施設の中庭の芝生の中のブランコの在る地上1メートルで、0.28マイクロシーベルト/時
(※年間、2.45ミリシーベルトになる。ここもチェルノブイリ法では、移住の権利が認められるゾーンだ)
●ここは、5か月前ホットスポットが見つかった旧宮川です。
(55分33秒)
「高さ50センチで1.13μシーベルト/時」
(※年間、9.9ミリシーベルトになりチェルノブイリ法では、強制避難ゾーン)
(55分37秒)
新たに測定したところ、土壌汚染は2倍近くに、1万7000ベクレル/Kg(※5か月前は8790ベクレル/Kg)
に上がっていました。
この川の汚染を取り除くことで、下流の阿賀野川の流域の汚染を防ぐことにもなります。
町では夏から川辺の除染を始めることにしています。
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天然アユの漁場。宮城県丸森町。
阿武隈川漁協は、3月1日安全が確保できないと、自主的に禁漁を決定しました。
漁協は、今後町の協力を得ながら川の汚染の実態を調べて行くつもりです。アユやヤマメの豊かな漁場の復活をめざします。
宮城県阿武隈川漁協組合長、渡邊俊夫さんの発言
「川をとにかく昔のように取り戻したいのですよ。」
東京工業大学・水環境学の木内豪さん(きのうちたけし)
「多分、底泥の汚染も含めて長期間で考えなくてはいけないと思いますけれども」
宮城県阿武隈川漁協理事・佐藤多利衛さんの発言
「我々は、これからあきらめないでやっていこうとするには、方法としては、やっぱり、汚染状況のきちんとした調査、増水するたびに、汚染状況を改善されているのか、。改善されていないのか、なおかつ、その中で魚の検体も調べていかなきゃならないんでしょうね。投げないでね。あきらめないで。」
福島原発事故から1年と3カ月、この間、水が放射性物質を運び、川のあっちこっちで水のホットスポットを作っていました。
●半年間にわたる調査の結果出来た川の汚染地図です。
(※冒頭と最後の地図がそれです。ただ、高い棒グラフが立っている地図だが、そこには、一切の数値も地名も出していない。伏せられたようだ。)、
古来、瑞穂の国と呼ばれ、豊かな水の循環の中で暮らしてきた日本。
そこで入り込み移動し続ける放射能汚染を「止める手立て」が今求められています。