sorakuma

そらくま。

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SPEEDI予測「一般にはとても公表できない内容だった」

2012-03-03 | 震災・原発 | By: sorakuma

千葉日報でこんな記事が取り上げられていました。

SPEEDI予測「公表できない」 文科省文書に記載
http://www.chibanippo.co.jp/c/newspack/20120303/71388
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東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成されていたことが2日、同省関係者への取材で分かった。
文科省は「事務方が作ったメモだが不正確。公表の具体的な判断はしなかった」と内容を一部否定している。
事故直後のSPEEDIの試算公表をめぐる文科省の議事録などは公表されていなかった。
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一部大臣が存在すら知らなかったとしているSPEEDIですが、実際には「一般には公表できない内容と判断」する内部文書が作成されていたようです。
これが事実であれば、その他、議事録は作っていなかったという、子供じみた言い訳も覆るのかもしれません。

政府の秘密主義は今回にかぎったことではありませんが、事態が深刻な状況となるほど、私たちに知らされることはないのかもしれません。
4号機の燃料プールの問題、そして2号機の温度の問題など、あるとき突然情報がストップした時、それはまさに公表できない事態が進行している状況なのかもしれません。

南相馬で採取された黒い物質、プルトニウムの可能性。

2012-02-29 | 震災・原発 | By: sorakuma


2月27日に採集、検査した結果、南相馬市原町区の新小川橋付近から、セシウム134と137の合算で、1キログラム当たり106万ベクレルの高濃度汚染物質(=藍藻など)が検出されました。
線量にして、(おそらくガンマ線のみで)7μSv/h。
さらにこの検体からは(あくまで簡易的な機械で測る限りでは)微量のプルトニウムが検出されているとのことです。
この黒い物質は、場所によって線量は大きく異なるものの、南相馬市の広い範囲で確認されているといいます。


こちらの動画では、画質は荒いですが、ガンマ線のみの計測で15μSv/h、アルファ線とベータ線で100μ/Svの検体や、
ガンマ線のみの計測で38μSv/h、アルファ線とベータ線で212μSv/h(計250μSv/h)の検体など、非常に致命的なレベルでの放射能の検出結果が公開されています。

黒い物質の放射線量が、紙一枚で遮られたことからも、少なくともアルファ線が放出されていることは間違いありません。
こちらの動画はいつまで閲覧できるかはわかりませんが…

非常に高濃度の汚染物質では、ガイガーカウンターの検出音がアブラゼミの鳴き声のように聞こえます…。
これほど不吉な音を、私は他に知りません。

【CTBT放射性核種探知観測所】大気中への凄まじい放射能汚染の実態と、今なお続く放射能の拡散について

2012-02-29 | 震災・原発 | By: sorakuma

2月27日、高崎に設置されたCTBT放射性核種探知観測所からの2月22時点の汚染データが公開されました。

「高崎に設置されたCTBT放射性核種探知観測所における放射性核種探知状況」(2月22日時点)
http://www.cpdnp.jp/pdf/120227Takasaki_report_Feb22.pdf

まず注目したいのは、事故直後の大気中への凄まじい放射能汚染の実態です。
3月、4月と、桁違いの放射能が放出が続いていることがわかります。
クリックすると画像が拡大されます。

いずれも深刻な放射能汚染が続いていた時期ですが、とりわけ3月15日、3月20日~23日、3月29日~30日、そして4月に入ってからも深刻な汚染の拡散が続いています。

テルル129(半減期69.6分)やテルル129m(半減期33.6日)といった、半減期の短い核種について、少なくとも8月まで検出が続いており、断続的に9月、10月にも検出されています。

セシウムについても、未だ止むことなく検出が続いています。
最新のデータである2月最終週のデータは、セシウムの検出量は減少するどころか増加しています。

そして、何より私たちが知らなければならないことは、これが土壌ではなく、『大気のデータ』であるということです。
大気中の放射能汚染に対する対策は十分でしょうか?

肺へ取り込んだ放射能は、容易に排出されることはありません。
高崎は、東京からわずか100キロほどの距離。北風が吹けば、風に乗って東京へ吹き降ろしていきます。

これから本格的に花粉のシーズンとなり、放射能汚染の懸念も増大します。
花粉症対策用のマスクで構いません。できる範囲で構いません。対策をしましょう。



花粉症対策用マスクで花粉に付着した放射能を防ぐ

NHKが語る『“東京でも避難必要”の危機感』

2012-02-28 | 震災・原発 | By: sorakuma

“東京でも避難必要”の危機感も
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120227/k10013322662000.html

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東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証を進めてきた民間の事故調査委員会が、28日、報告書を公表します。
この中では、政府内部で事故直後から被害拡大への危機感が強まり、当時の枝野官房長官も「東京でも避難が必要になる『悪魔の連鎖』が起きるおそれがあると思った。そうならないよう押さえ込まなければいけないと考えていた」と心境を明かしていることが分かりました。

エネルギー問題の専門家や元検事総長ら6人の有識者が委員を務め、国から独立した立場で原発事故の調査を進めていた民間事故調=「福島原発事故独立検証委員会」は、去年の9月から半年間にわたって日米の政府関係者らおよそ300人に聞き取りなどを行ってきました。
28日に公表される報告書によりますと、事故の3日後の去年3月14日には、福島第一原発の当時の吉田昌郎所長から「炉心の溶融が進み、燃料が溶け落ちる可能性が高まった」との情報が当時の細野総理大臣補佐官に伝えられ、官邸や専門家の間に強い危機感が広がったということです。
福島第一原発では、3月14日から15日にかけて2号機の核燃料が冷却水から露出して破損し、圧力抑制室から大量の放射性物質が外部に放出されたとみられています。
当時、官房長官として政府のスポークスマンを務めた枝野経済産業大臣は、このころを振り返り「核燃料が露出する状態が続けば、多くの放射性物質が漏れて作業員が立ち入れなくなる。近くの福島第二原発など、ほかの原発にも影響が広がって最終的には東京でも避難が必要になるという『悪魔の連鎖』が起きるおそれがあると思った。そうならないよう事故を押さえ込まなければいけないと考えていた」と心境を明かしていることが分かりました。
そのうえで、「こうしたシナリオは官邸で共有されていた」と述べているということです。
官邸が描いていた最悪のシナリオが当時、表に出ることはありませんでした。
政府の情報発信について民間事故調は報告書の中で、「迅速な情報開示と、正確性の確保という2つの要請のせめぎ合いの中で試行錯誤していた様子がうかがえる」と分析し、今後、議論を進める必要があると指摘しています。
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東京でも避難が必要になる恐れがあったと語る政府関係者。しかし、一方で彼らはこんな発言をしているのです。

SPEEDI“存在も知らず”
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120228/k10013333181000.html

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去年3月の原発事故で、放射性物質の広がりを予測するシステム「SPEEDI」が住民の避難にいかされなかったことについて、菅前総理大臣ら、事故の対応を中心となって行った政治家たちが「所管する文部科学省などから説明を受けず、事故から数日たってもその存在すら知らなかった」と民間の事故調査委員会に対して証言していることが分かりました。

原子力事故が起きた際に放射性物質の拡散を予測するシステム「SPEEDI」は、開発・運用に120億円の費用が投じられながら、去年3月の原発事故で住民の避難に生かされず、政府の対応に批判が出ています。
これについて、28日に公表される民間事故調の報告書の中で、事故対応を中心になって行った菅前総理大臣ら5人の政治家が「所管する文部科学省などから説明がなく、事故から数日たってもその存在すら知らなかった」と証言していることが分かりました。
調査の対象となった5人のうち、当時の枝野官房長官と福山官房副長官は、2号機から大量の放射性物質が放出された去年3月15日ごろ、マスコミからの指摘で初めてSPEEDIの存在を知ったと話しているほか、当時の海江田経済産業大臣は「存在すら知らなかったので、データを早く持ってこいと言うことができなかった。本当にじくじたる思いだ」と述べたということです。
SPEEDIの説明がなかったことについて枝野前官房長官は「予測の計算に必要な放射性物質の放出に関する数値が得られなかったためデータの信頼性が低く、説明の必要はないと判断した」と文部科学省から報告を受けたと話しています。
これについて民間事故調は、28日公表する報告書で「SPEEDIは原発を立地する際、住民の安心を買うための『見せ玉』にすぎなかった」と厳しく批判したうえで「住民の被ばくの可能性を低減するため、最大限活用する姿勢が必要だった」と指摘しています。
また、災害時の情報発信に詳しい東京女子大学の広瀬弘忠名誉教授は「原子力災害が起きている最中に指揮官である官邸の政治家が存在さえ知らないというのは通常は考えられない。SPEEDIの存在を政治家に報告しなかった官僚も問題だが、官邸にも危機管理能力がなかったと言わざるをえない」と話しています。
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彼らの言わせれば知らなかったから責任はないとでもいいたいのかもしれませんが、SPEEDIの存在を知らなかったなどということはありえるのでしょうか?

ところが、少なくともSPEEDIの存在を知らしめる、客観的な証拠がありました。

経産省は毎年実施している原子力総合防災訓練。平成22年度にも実施されたこの訓練では、今回のような事態を想定した放射能漏れや住民の避難、そして放射線モニタリングを実施するためのものです。そこにはSPEEDIの存在も明記されています。

首相官邸Webサイトには、訓練を執り行う菅首相が紹介されています。

平成22年度原子力総合防災訓練 – 首相官邸

この時の経験は活かされたのでしょうか。
少なくとも、『SPEEDIの存在さえしらなかった』というのが事実であれば、この時の経験は全て記憶から消え失せていたのでしょう。

枝野前官房長官の言葉、
「予測の計算に必要な放射性物質の放出に関する数値が得られなかったためデータの信頼性が低く、説明の必要はないと判断した」と文部科学省から報告を受けた
というのは、本当でしょうか?

文部科学省は、しかしその信頼性の低い情報を、外務省を通じて米国に提供しています。

拡散予測、米軍に提供 事故直後に文科省
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011601002390.html

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東京電力福島第1原発事故直後の昨年3月14日、放射性物質の拡散状況を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による試算結果を、文部科学省が外務省を通じて米軍に提供していたことが16日、分かった。

SPEEDIを運用する原子力安全委員会が拡散の試算結果を公表したのは3月23日。公表の遅れによって住民避難に生かせず、無用な被ばくを招いたと批判されているが、事故後の早い段階で米軍や米政府には試算内容が伝わっていた。
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そして枝野元官房長官は、官邸筋によるとSPEEDI情報の公開をストップした張本人であるといいます。

政治部・阿比留瑠比 首相の責任 全容解明を – SPEEDIは隠蔽
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120108/plc12010803130003-n3.htm

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中間報告は、政府が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」を活用していれば、「住民はより適切な避難経路を選べた」と指摘している。

中間報告にはないが、官邸筋によるとこのSPEEDI情報の公開をストップしたのが当時の枝野幸男官房長官だった。

 「情報はどこかで一元化して勝手に出さないように」

枝野氏が原子力安全・保安院などにこう指示した3月17日のデータでは、後に全村避難を余儀なくされた福島県飯舘村で「相当な数字が出ていた」(官邸筋)。
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政治家たちは、本当にこういった一連の報道を、「知らなかった」という言葉で塗り替えられると考えているのでしょうか?
こうした情報が公開された後でも、彼らは自分たちのポストを変えるのみで、国政の重要なポストに留まっています。

少なくとも確実なのは、東京から人々を避難させる事態など、決して起こりえないということです。
それは、福島の一部地域など非常に汚染レベルの高い地域においても避難を徹底しない現状を見れば明らかです。
現政府が優先しているのはあくまで経済や、東電を始めとする既得権益者の保護であり、そこに住む人々のことなど考えてすらいないのですから。
今後どれだけ事態が切迫し、大量の放射能被曝が懸念される事態が訪れたとしても、『政府が東京から人々を避難させるシナリオ』など存在しえないのです。

同心円上に降る雨が意味するもの

2012-02-26 | 震災・原発 | By: sorakuma

カレイドスコープさんにて、こんな記事が取り上げられていました。


東日本大震災直前に現われた不思議な熱のリング

震災当時から囁かれている人工地震によって引き起こされたという説。自然が引き起こしたと考えるにはあまりにも不可解な現象が発生しています。

以前、日本において非常に大規模な雨のリングが話題になったことがありました。

この水色の大きな円は、そこに一定量の降雨があることを示しています。
それも、強すぎも弱すぎもせず、正確に円を描くように。
2008年8月4日のことです。当時のGIGAZINEでも大きく取り上げられています。

関西圏に超巨大な謎のエンジェルリングが降臨

当時のGIGAZINEの記事の最後にはこのように記載されています。
「ちなみに18時になった途端にページから見えなくなったので、雨が止んだのかシステムがおかしいのか……」

他にも、2009年の10月26日、台風20号が日本を襲った時、それに紛れるように、3つの同心円状の雨が発生していました。

気象レーダーに現れる”謎のミステリーサークル”
新潟、福島、そして千葉。いずれも過去に大規模な地震が発生しているか、あるいは地震が懸念されている地域です。

日本において過去にいくつも発生していたこのような円形状の雨は、自然に生み出されたものだと言えるのでしょうか?
過去には、偶然「観測」された現象が、いくつかのブログで報告されています。

降雨レーダーにミステリー・サークル発生?

これは2008年2月9日、千葉県の柏で「観測」されたものです。
さらに、当時の気象庁やアメダスのデータも紹介されています。

謎のドーナツ型降水域

特定のポイントを中心に、同心円上に降る雨。特に2008年8月に西日本をおおった雨は、自然なものであるといえるのでしょうか?

最後に、これもカレイドスコープにて紹介されていた、地震の直前に福島に発生していたという電離圏の異常を紹介したいと思います。

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彼ら(ディミタール・ウズノフら)は、「マグニチュード9の地震が起きる前、電離圏の電子密度(電子の量)が、震央で劇的に上昇し、地震の直前の三日間は最高値に達した」と言っています。

それと同期して、震央の上層では、赤外線の放射量が著しく増加していることが衛星の観測で確かめられていました。
それは、地震の直前の数時間はピークに達していたのです。

どういうことかというと、つまり地震の震源の上空の大気が熱くなっていたのです。
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カレイドスコープによると、東日本大震災、3月11日以前の3~4年は日本でも、よく見られた現象であるといいます。
民主党が政権を取ると大震災が起きる、という冗談のようなジンクスもありました。
果たして、それは自然なものだったのでしょうか…。

なぜこの現象が観測されたのか。
それが明らかになる日は来るのでしょうか…。

洋上風力発電を考える

2012-02-25 | 震災・原発 | By: sorakuma

2月20日のニュースに、日本の風力発電の新設が低迷していることが取り上げられていました。
去年1年間、日本で新たに建設された風力発電の容量は、17万キロワットで、世界全体のわずか0.4%。
トップの中国は100倍以上の1800万キロワットで大きく成長しています。

福島第一原発事故の影響を受けて、世界的に再生可能エネルギーへの機運が高まる中、日本では風力発電事業者からの固定価格買い取り制度の詳細が決まっていないのが低迷の背景にある、というものです。

日本の風力発電新設が低迷 世界の0・4%
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012022001001144.html

一方、英国などでは2020年までに32ギガワット(英国全体の1/3)もの発電量を賄う計画が進んでいます。2011年3月14日、震災直後のニュースで報じられています。

三菱重工、世界の洋上風力発電に挑む

その計画に参画している唯一の日本企業として三菱重工が取り上げられていました。
日本には、洋上風力発電を興すための技術と、そして世界第6位の広さの領海があります。

残念ながら前年の結果は冒頭に述べたとおりでしたが、2011年には銚子沖に、2013年には五島列島に洋上風力発電設備の建設が予定されているようです。

また、9月には復興支援の目玉として、福島沖に洋上風力発電所を設置する計画が報じられました。

福島沖に洋上風力発電所計画 政府、復興支援の目玉に

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計画によると、早ければ13年度から6基の洋上風力の建設に着手する。実証試験には洋上風力を研究してきた東大のほか、部品メーカーや風力発電事業者10社以上が参加する。1基当たりの発電出力は2000~5000キロワットで、総出力は最大3万キロワット。5年間かけてデータ収集や海底ケーブルを使った送電、既存電力網との連携などを実証。20年には約30万キロワットに増やす考えで、実現すれば60~120基の大型風車が福島県の洋上に浮かぶことになる。
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地熱発電もそうでしたが、日本の再生エネルギーは、「泥棒来たりて縄をなう」の典型のようです。
政策としての風力発電は、社民党が大きく取り上げていました。キーワードとして大きく「脱原発」の言葉もあります。

大規模洋上風力発電では、1ユニットで原子力発電1基分の発電量に相当する100万キロワット級の発電を可能であるとしています。

日本で洋上風力発電が進まなかった背景には、次の4つについて、欧米と比較し下記の条件が悪かったことがあるといいます。
(1)比較的遠浅の立地条件に恵まれていること
(2)海底地盤も堅牢(けんろう)であること
(3)地震が少ないこと
(4)偏西風などの風況条件が良いこと

さらに、洋上風力発電を難しくしている要素として、次の3つがあるようです。
(5)初期コストが採算分岐点といわれる1キロワット当たり25万円を上回る40万円以上もかかる
(6)耐用年数が30年以下と短く、費用対効果が低い。
(7)沿岸漁業への悪影響がある。

そんな悪条件を克服すべく、九州大学の研究開発により、次世代の洋上風力発電が研究されています。
風力を集中し、電力供給を安定させる風レンズ風車の開発や、沿岸漁業との両立、さらなるコスト低下と耐用年数の増加が見込まれています。
洋上風力発電では、原子力発電のように放射能漏れの事故を起こすことがなく、持続可能なエネルギー供給体であることがなにより重要だと言えます。

【特集】洋上風力発電 |社民党

一方、アメリカでも洋上風力発電への取り組みは行われていますが、欧州ほど大規模にすすめることはできていません。
その一因として、さまざまな反対運動があるといいます。豊かな地主層は、このプロジェクトが景観を壊すとして反対、地元の漁民は、漁に悪影響があるとして反対。また、ネイティブ・アメリカンの部族も、宗教的な儀式に悪影響があるとして反対しています。
こういった声にこたえ、計画の規模は当初より縮小されつつも、それでも最大出力450メガワット以上の規模を維持するといいます。

「米国初の洋上風力発電」:反対運動で難航

また、積極的に洋上風力発電への取り組みが行われているヨーロッパにおいても、洋上風力発電は必ずしも順風満帆とはいえないようです。
オランダでは、洋上風力発電の稼働から5年経った今でもコスト高に喘ぎ、投資家は別の選択肢を模索している状況です。

オランダの洋上風力発電、コスト高で陰り

日本において急務とされる脱原発ですが、エネルギー政策として代替となるエネルギー供給は何をもって行うか明確に示しておく必要があります。まずその代替となっているのは火力発電ですが、火力発電にはLNG(液体天然ガス)などの安定した供給が必須となっています。
しかし、天然ガス、LNGともに輸送面での問題があります。特に、LNGは液体の性質上、タンカーなどでの輸送が必須となりますが、どこからどのように安定的に、かつ安全に輸送を行うかは最大の課題です。

現実的に脱原発を行うためには、一つの発電資源に頼ったエネルギー政策をとることはできません。
火力を始めとし、水力、風力、潮力、地熱、太陽光と、立地条件にあわせあらゆる分野での発電を可能にしなければなりません。
そのうちの1つとして、洋上風力発電に対する今回の研究が実現していくことを期待しています。

[Youtube]原子力安全委員会 震災後の会議は5分 原子力の番人の実態とは

2012-02-17 | 震災・原発 | By: sorakuma


これはひどい…

次の『詰め腹を切らされる』役割、国民の怒りの矛先の向け先はこの人になるのでしょうね。
しかし、本当に責任を取るべきなのは誰かについては、十分議論されていないように思えます。
何より、現在進行中の事態にどう対応していくかは未だ決まらぬままです。

政府や東電にとっては批判の矛先を逸らすことも大事なのかもしれませんが、今まさに困難に直面している人々にこそ視線は向けられるべきです。

南相馬市の学校給食まるごと放射線検査の結果は不検出、しかし…

2012-02-15 | 震災・原発 | By: sorakuma

東京大学の原子力物理学者、早野先生のTweetで、こんな内容がありました。

南相馬市の一ヶ月にわたる学校給食の放射能測定では、放射能(セシウム)の検出は見られなかった、という内容です。

学校給食提供食の放射線量の測定結果福島県南相馬市

検出されなかった事自体は素晴らしいことなのですが、検出下限の数値の低さが気になりました。数値が低すぎるように思えるのです。
検査方法は、「ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリーによる核種分析」、そして測定時間は2,000秒とあります。
この測定時間で、1ベクレル未満を下限とする放射線の検出が可能なのか?という点です。

例えば、厚生労働相が14日に公開した『食品中の放射性物質の検査結果について(第323報)』で、福島県での緊急時モニタリング等の結果(原乳、豚肉)の検出下限は次のような値となっています。

検出下限値は、1ベクレルよりずっと大きな値となっています。

同位体研究所が公開しているゲルマニウム半導体検出器による定量下限と効率的な測定では、これについて次のように解説されていました。

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厚生労働省の定めた「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」では、周囲に放射性物質が少ない「平時」の状態での測定においては、2Lの容器〔マリネリ容器〕を用いて牛乳を測定した場合、1時間測定で定量限界は、0.8Bq/Lとあります。 一方、緊急時(現在のような多様な放射性物質が存在する状態)であれば、同じ測定状態でも定量限界は、16Bq/Lとなり、20倍も高くなってしまいます。
この目安は、ゲルマニウム半導体検出器自体の検出能力(相対効率)を15%としているものなので、周辺の環境以外に、測定装置(検出器)が、より高い能力(例えば相対効率20%、25%など)を持つ装置であれば、定量限界は、改善されると思われます。 いずれにせよ、定量下限(限界)は、検体の種類や形状、装置の設置場所、検出器の能力(相対効率)、検体中の放射性物質の存在状態などにより変動する事に留意が必要です。
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さらに同位体研究所では、牛肉を例に、U8容器(内容量100g程度)を用いた測定における測定時間と定量限界の変動を下記表のようにまとめています。

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同位体研究所では、通常定量限界を10 Bq/kg以下となるよう測定時間を設定しており、標準では測定時間は、2,000秒(33分)と設定しています。この測定時間であれば概ね定量下限値は、5〜10 Bq/kg程度を達成できます。 しかし、低濃度の放射能の検出を行う場合、測定時間はより長時間必要となります。 また福島の一部の地域のように多種類の核種が存在する場合には、相当の測定時間をとっても定量限界を向上させる事は困難です。
このように測定時間を長くとるほど検出には有効ですが、一方で1検体当たりの測定時間が長くなり、検査可能な検体数が少なくなります。 このため、ゲルマニウム半導体検出器の測定においては、標準的な測定時間と定量限界を踏まえて、実際の検体中の放射性物質の含有量や、核種の状態を踏まえて測定時間を適切に設定してゆく事が必要です。
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こういった同位体研究所の見解を見るかぎり、今回の南相馬市の学校給食で、わずか2,000秒間の測定において、これだけ高精度の測定が行われているかについては、正直疑問符がつきます。
…少なくとも、公開情報のみからは検査の妥当性を判断することができないのではないでしょうか。

以前NHKで報道されていた「放射性物質は大丈夫?まるごとチェック!あなたの食卓」について、首都大学東京の福士教授の行った検査結果に不備があったことを紹介させて頂きました。
今回の事例もまた、食品からの内部被曝はないという前提で作成されたプロパガンダでなければ良いのですが…。